電子書籍ストアの利用率調査 楽天koboストアがトップ

ストアに縛られる 電子書籍選び

株式会社ICT総研は15日、2014年度の電子書籍コンテンツ市場動向に関する調査結果をまとめ、電子書籍ストアの利用率は「楽天koboストア」が「kindleストア」をわずかに上回りトップであったことを発表した。
この調査の「電子書籍閲覧端末」とは「電子書籍専用端末」と「タブレット端末」を合算したものと定義している。

紙とインクではなく、ネットワークを介し流通されたデータを専用のリーダーで閲覧するデジタルデータである電子書籍。実際の書籍をテキストデータ化したコンテンツ商品としては1990年に発売されたものもあり、登場からすでに20年以上経過している。
はじめから電子書籍として制作されているもの、元々存在する書籍をスキャンしデジタルデータ化したものが主に電子書籍として扱われている。著名な書籍や漫画が場所を取らず、手元の端末で管理閲覧可能、モノクロであった部分のカラー化や映像メディアの追加、閲覧端末に合わせた独自の試みなど、電子書籍ならではの機能や仕様が追加できることも特徴の一つだ。

スマートフォンやタブレット端末などの普及により、電子書籍に触れる機会が格段に増加している昨今、関連サービスも続々と登場。より多くの書籍を扱い、より見やすく扱いやすいビューワー、より高品質な内容(同じコンテンツでのスキャン精度の違いなど)で消費者は電子書籍ストアやサービスを選択してきた。そして、運営の都合によりサービス停止となり、それまで購入していた電子書籍がサービス終了後は読めなくなるという問題が発生。デジタルデータにまつわる著作権の都合もあり、電子書籍は実際の本を購入することとは異なり、手元に残らない可能性があるという問題に発展した。

電子書籍のストアは、電子書籍メーカー、書店、コンテンツ事業者など様々な企業が独自の方法で展開しており、前述のようなサービス停止のリスクもあり消費者はどのストアを利用すべきか判断しにくい現状にある。
今回の調査ではインターネットユーザー4,409人を対象に電子書籍ストアの利用有無を訪ねており「過去1年以内に電子書籍ストアを利用したことがある」とした回答は23.3%だった。ネットユーザーの4人に1人以下という現時点での利用率に市場の拡大がまだまだ途上であることを示している。

具体的なストア名では楽天kobo電子書籍ストアが利用率6.6%、次点のkindleストア(Amazon)が6.5%、他のストア8社は1.8〜3.7%、その他は複合で6.5%となっていた。取り扱い書籍の多さは各社それぞれ、各端末用アプリなども用意されており、TV CMなどで目にする機会も多かった専用端末の販売まで行う楽天やAmazonは強いようだ。

2017年の市場規模は2,000億円に

ICT総研によると、2017年度の電子書籍コンテンツの市場規模は2,000億円に拡大するという。これはタブレット端末の普及ペースの早さなどを考慮したもので、普及のカギとなるのはコミックに比べて普及が遅れている活字本の普及だと分析する。電子書籍コンテンツは紙媒体の10%に満たない市場規模であるものの「絶版本がなくなる」「物流コストが下がる」「在庫・返品リスクがなくなる」「目的とする記述の発見が容易」「書籍価格が下がる(ことが多い)」「保管場所の心配が不要」などの利点も実感されてくることで、今後も右肩上がりの拡大を期待できそうだ。

とは言え、著作権保護や端末に依存したハードウェアキーによるデータの取り扱い、過去出版物の電子化に関わる権利問題など問題点、何より独自方法による管理されるストアの多さは消費者の迷いを助長し、普及の足かせとなっていることは否めない。今回の調査では若干ではあるもののストア選定の助けになるデータが示されたのではないだろうか。




−編集部−