「荷物が当たり前に届く」を持続可能に セイノーとウィルポートが【オープン型ラストワンマイル配送プラットフォーム】の提供開始
ウィルポート株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:藤原 康則、以下「ウィルポート」または「同社」)は、セイノーホールディングス株式会社(本社:岐阜県大垣市、代表取締役社長:田口 義隆、以下「セイノーHD」)と「オープン型ラストワンマイル配送プラットフォーム(以下 O.L.P.)」の提供を開始した。
立ちはだかるラストワンマイル配送の課題
中堅及び小規模事業者が活用できるラストワンマイル配送プラットフォームの構築を目指すウィルポートは、セイノーHDと中堅及び小規模事業者が活用できる「オープン型ラストワンマイル配送プラットフォーム(以下 O.L.P.)」の提供を開始した。
それに加えて、O.L.P.の全国展開推進を目的とした業務提携に関する協議を開始したことをあわせて公表している。O.L.P.とは、ラストワンマイル領域における様々な荷物、両社に限らない物流会社・ドライバーを一元的に管理するオープンプラットフォームだ。
現状のラストワンマイル宅配においては、荷主や物流事業者により配送管理方法が統一されておらず、紙によるアナログ管理も未だ多く存在し共同配送や混載を難しくしている。
またコロナ禍によりデリバリーへのニーズは加速度的に高まっており、ネットスーパー事業、フードデリバリー事業への小売店、飲食店の新規参入が増える一方、それを届ける足回りのラストワンマイル配送リソースは常に不足している状態にある。
O.L.P.と各社の役割
O.L.P.の実現により、配送管理方法をデジタルに移行することでラストワンマイル領域の様々な荷物を混載し、物流事業者の稼働率向上による効率化、及び高まるニーズに応えるラストワンマイル配送リソースを提供することが可能となるという。
また同社は、ドライバー向けには業務を行うに当たって必要な車両、燃料、保険、資材等の業務支援パッケージをO.L.P.上でワンストップで提供することにより、運び手の確保と地位向上に寄与していくとしている。
最初の取り組みとして、両社が取り組む日用品・食料品の即時宅配サービスにおいて、両社の配送ネットワークが重なる地域での注文・ドライバーを共有し、1日の中の繁閑差波動による非効率の解消を開始しているとのことだ。
各社の役割として、ウィルポートはO.L.P.のシステムの開発・提供・保守運用と提携ドライバーのプラットフォームへの登録及び通常宅配・生活支援物流案件のプラットフォームへの登録を担当するとともに、ウィルポートが特許を有する「通信機能付き無電源宅配ロッカー」の提供を行う。
セイノーHDはココネット、LOCCOをはじめとするラストワンマイルグループ会社の日用品・食料品即時宅配サービス案件及びドライバーのプラットフォームへの登録、物流センターや幹線輸送などの手配、車両や車両関連備品、保険等をワンストップで準備可能な業務支援パッケージの提供を行う。
「荷物が当たり前に届く」を持続可能にする
ラストワンマイル領域において、宅配便取扱量は直近の10年間で約12億個増加しており、2035年には年間88億個に達するとの予測が発表されている。それに加えて、日本における買い物弱者は農林水産省の推計では850万人超とされており、コロナ禍を背景とした日用品・食料品の宅配ニーズの急激な高まりも相まって、日用品・食料品の即時宅配サービスは、生活に欠かせないラストワンマイルのインフラサービスになっている。
一方で、ラストワンマイル領域における運び手不足は解消されておらず、ドライバーひとりあたりが担う荷物量は増加している。2024年には自動車運転業務の労働上限時間制限により運び手不足がさらに深刻となる、いわゆる「2024年問題」への対応も迫っており、『荷物が当たり前に届く』という物流の根底が崩れる危機に瀕している。
ウィルポートは、ラストワンマイル物流事業のパイオニアとして、これまで、自社開発した「配車管理システム(TMS)」と配送網による「ラストワンマイルプラットフォーム」を基軸として自社ブランドのお届けサービス「ブラウニーさん」を全国展開するなど、買い物弱者対策として狭小商圏における即時宅配サービス(生活支援物流)を提供してきた。
今後はさらに、ウィルポートの得意とするラストワンマイル共同配送に特化したノウハウとシステムを活用した生活支援物流を支えるラストワンマイル配送プラットフォームにより、他社のドライバーも含め働きやすい環境を目指すとしている。
またセイノーHDは、社会インフラとしての環境・産業・生活への貢献、効率化、質の向上につながるオープン・パブリック・プラットフォーム(O.P.P.)の構築を進めており、特にラストワンマイル領域においては買い物弱者対策や第2の宅配クライシス等の社会課題解決を積極的に推進。
グループ会社のココネットは、買い物弱者支援として食品の配送「お買い物サービス」やご用聞き、見守りといった地域のコンシェルジュ機能を提供しており、ハーティスト(食品・日用品のお届けスタッフ)を北海道から沖縄まで全国38都道府県に展開している。さらに同グループのLOCCOでは、置き配専業として宅配を再定義し運び方に多様性を持たせることで、運び手不足の確保を推進している。
その上で『荷物が当たり前に届く』を持続可能にする、という両社のビジョンが一致し、ウィルポートとセイノーHDがそれぞれ構築している配送ネットワークを共有することにより「オープン型ラストワンマイル配送プラットフォーム(O.L.P.)」の提供開始に至ったのだ。加えて、O.L.P.の全国展開推進を目的とした業務提携に関する協議を開始している。EC市場の活況にあわせて、その生命線とも言えるラストワンマイル配送の課題に対応する両者の協業は、ECの未来に一筋の光をもたらすことになりそうだ。