増税、コスト増に揺れる配送無料サービス
EC市場の発展に伴い膨らむ配送コスト
米のネット通販無料配送サービスの対象となる最低購入金額が高騰してきており、無料配送は結局高くつくとウォールストリートジャーナルが伝えている。
米のAmazon、米家電販売チェーンのベスト・バイ、米ギャップなどの小売大手は各社が提供する無料配送サービスにかさむコストをカバーするため、最低購入金額を引き上げている。
同誌によれば米の小売り大手113社で無料配送サービスをうけることができる商品購入額の平均が76ドルだった昨年に比べ今年は82ドルに値上った。
Amazonに関しては、3月に配送を始め様々な特典を受けられるプライムサービスの会員費を79ドルから99ドルに引き上げた。配送にかかる燃料費や税金の上昇が値上げの要因の一つと言われており、これは無料配送をネット購入を促すため施策として積極的に利用してきたものの、EC市場の成熟により各社の苦しい内情が少しずつ顕になってきた状況を示している。
米大手宅配業者のUPSやフェデックスなども小包を重量だけでなく、梱包の容積も配送料設定に織り込むなどの調整に乗り出しているという。
11月のホリデーシーズンに突入することも一つのポイントだ。ブルームバーグによれば今年のホリデーシーズンの小売売上高は最大4.5%増加し昨年を上回る伸びになると予想している。年一番のイベントで財布の紐が緩むホリデーシーズン前に各社とも最低購入金額を引き上げ、より多くの商品購入を促し負担となってきた配送コストの回収を狙う。
国内家電量販店は奮闘中
国内に目を向けると、消費税増税に合わせたヤマト運輸や佐川急便による法人ユーザーに対する配送費の値上げを行っており、同じような構図が見えてくる。多くのEC業者は大幅な法人価格の値上がりに戸惑いを隠せなかったはずだ。国内Amazonでも大きなサイズの商品や重量の重い商品などに取扱手数料が付くようになり、実質配送費がプラスになった。
手厚いサービスでEC利用を誘導したものの、市場規模の発展とともに配送コストが運営を圧迫するこの構図はどの世界でも変わらないということか。
そんな中ヨドバシカメラは全国配達料金無料、即日・翌日・指定日配達も無料、更にポイントも従来通りと、手厚いサービスを続けている。ビックカメラも参加のコジマ、ソフマップと物流拠点を統合し配送効率向上を2015年2月までに進めるという。国内家電量販店の配送サービス強化はどこまで耐えられるのか、今後も動向をチェックしていきたい。
−編集部−