レコメンドとは。ECサイトで導入するメリットや種類、取り入れ方などを紹介

ECのミカタ編集部

レコメンドとは。ECサイトで導入するメリットや種類、取り入れ方などを紹介

マーケティング用語である「レコメンド」とは、ユーザーの購買意欲を向上させる目的で活用される「おすすめ機能」のことだ。ECサイトを運営するにあたり「レコメンド機能の導入方法や活用方法を詳しく知りたい」という担当者もいるのではないだろうか。

今回は、レコメンドの概要や導入するメリット、レコメンドの種類と取り入れる方法などを紹介する。レコメンド機能を取り入れる際の注意点もあわせて紹介するので、マーケティング施策を講じる際の参考にしてもらいたい。

目次

●レコメンドとは?意味や目的
●レコメンドを導入するメリット
●レコメンド機能の種類
●レコメンド機能を取り入れる4つの方法
●レコメンド機能を取り入れる際の注意点
●まとめ

レコメンドとは?意味や目的

レコメンドは「推薦すること」「おすすめ」といった意味を持つ英語だ。ECサイト運営におけるレコメンドとは、消費者のWeb上の閲覧や購入履歴などのデータから一人一人の好みを分析し、おすすめの商品やサービスを表示することを指す。このようなレコメンド機能を導入する場合は、運営サイトに適したレコメンドエンジンを用いるのが一般的だ。

ECサイト運営側はレコメンド機能の活用によりさまざまなメリットを得られるが、消費者側も、レコメンドされた商品やサービスを閲覧するだけで、自分のニーズに添った情報が獲得できるといったメリットを得ることができる。


レコメンドを導入するメリット

レコメンドを導入するメリットを確認しておこう。

趣味嗜好に応じた商品表示が可能となる


レコメンドは消費者の趣味嗜好に応じた最適な商品表示が可能となるため、対話しながら消費者の好みを聞き出す実店舗における接客に似たものだと言える。レコメンド機能を活用することで、「もともと購買意欲がなかった人の購入」や「予定の金額以上の購入」が期待できるだろう。

購入単価の向上が期待できる


レコメンド機能は、他の商品も併せて購入してもらえるといった購入単価の向上も期待できる。例えば、商品Aを購入した消費者は、商品Bを購入する傾向が高いなどのデータから、おすすめ表示することで新たな商品購入につながる可能性が高まる。このように関連の商品を一緒に購入してもらう販売手法は「クロスセル」と呼ばれる。クロスセルを活用した商品表示により、オプションやサポート商品の同時購入も促せるのだ。

サイトへの信頼度がアップする


レコメンド機能による表示は、訪問者からすれば「自分の購買行動や好みを理解している」と感じられることから、サイトへの信頼度アップにもつながるだろう。このサイトを利用すれば、自分の欲しい物を提供してもらえると分かれば、利便性が高まり、リピーターとしての利用も期待できる。


レコメンド機能の種類

レコメンド機能には、いくつかの種類がある。それぞれの特徴を紹介するので、導入する際にどの種類が適切か照らし合わせながら確認していこう。

ルールベース型


ルールベース型とは、サイト運営側が定めたルールに基づいて商品をおすすめする手法だ。消費者の属性や行動などは関係なく、押し出したい商品があり、レコメンドする目的が明確な場合に取り入れることが多い。

例えば、ECサイトの目立つ部分で目玉商品をアピールしたり、季節関連のおすすめ商品を打ち出し季節感を出したりするといった方法がある。

コンテンツベースフィルタリング型


コンテンツベースフィルタリング型は、商品のデザインや種類、色といった情報に基づき、類似した商品を表示するものだ。商品が登録された時点で、一定のペースでレコメンドされるため、消費者の好みと一致すると高い購入率を期待できる。

一方で、事前に商品の種類に応じたカテゴリー分けの設定が必要となる。そのため、商品数やコンテンツページが多い場合には、事前の振り分け作業に時間がかかり、運用までに多くの時間を要するケースがある事を知っておきたい。

協調フィルタリング型


協調フィルタリング型は、サイト上の行動や閲覧履歴が似ている消費者を分析し、関連性の高い商品を表示する。消費者の行動や購入履歴を活用しているため効果が高い傾向にある。なお、商品と消費者のどちらに重点を置くかによって、「アイテムベース」と「ユーザーベース」の2種類に分けられる。

「アイテムベース」は、消費者の行動履歴などをもとに、商品Aと一緒によく購入されている他の商品を探し出し、レコメンドを行う。例えば、敷布団を購入した人に、掛け布団をおすすめするといったアイテムが中心となるかたちだ。

「ユーザーベース」は、消費者の行動や閲覧履歴をもとに、購入パターンの近い消費者を探し出し、商品をレコメンドする。例としては、購入履歴が似ているAさんとBさんがいた場合、Aさんが購入済みのものを購入していないBさんにおすすめするといったやり方だ。

ハイブリッド型


ハイブリッド型とは、上記で紹介した種類を組み合わせ、より最適なレコメンドができるように運用する手法だ。購入履歴のない消費者に対しては、横断的な検索してもらうために関連性の高い商品を紹介するコンテンツベースフィルタリング型が有効だろう。また、購入履歴の多い消費者には、協調フィルタリング型を取り入れ、より好みに基づいたレコメンドが可能だ。


レコメンド機能を取り入れる4つの方法

レコメンド機能を取り入れる手法として、代表的な例として4つの方法がある。自社サイトで何に重点を置くのか、検討する際のポイントも合わせて紹介するため、導入時の参考にしてもらいたい。

ASP型の利用


レコメンド機能に特化したASPを利用する方法がある。ASPとは、インターネットを通して提供されるアプリケーションやサービスのこと。その特徴としては、自社のサーバーなどを用意する必要がなく、低コストかつ短期間での導入が可能なことが挙げられる。ただし、ASPはカスタマイズができない製品が多いことがデメリットだ。

オープンソース型の利用


オープンソース型のレコメンドエンジンを利用して、運用から管理まで自主的に行う方法もある。カスタマイズが自由なほか、データの安全性確保に最適と言える。一方で、高い技術力とサーバースペースが必要となる。デベロッパーやITエンジニアといった専門技術者が常駐するECサイトなら、安心して取り入れられるだろう。

ECシステムに搭載されている機能の活用


ECシステムによっては、独自にレコメンド機能を搭載している場合もあり、そのシステムを活用するのもひとつの方法だ。導入コストが不要なほか、ECシステムに登録されている商品と連携できるため、おすすめ商品の提示といった「ルールベース」での運用がしやすい。

一方で、専門的なレコメンドエンジンと比較すると機能や性能が劣る傾向にある。独自にカスタマイズした機能をフルスクラッチで追加することも可能であるため、初めてレコメンドを取り入れる場合、まずはECシステムに搭載されている機能を確認することをおすすめする。

プライベートDMPを構築


自社内に、インターネット上に蓄積された情報データを管理するプラットフォーム「DMP」を構築し、レコメンド機能と連携する方法もある。ASPよりもコストはかかるが、社内に蓄積した多様なデータや第三者が提供する拡張データとの連携を図ることで、より高度なレコメンド機能を実装できる。

本格的なECサイトを展開していて、商品や会員数、月間トラフィックも一定数発生している場合には、プライベートDMPを導入を検討してもよいだろう。


レコメンド機能を取り入れる際の注意点

最後に、レコメンド機能を取り入れる際の注意点を紹介するので、導入する際の参考にしてほしい。

導入の目的を明確にする


レコメンド機能を取り入れる際は、導入目的を明確にしておくことが大切だ。「売上アップを目指す」「リピーターを獲得する」といった目的を定めておくことで、必要な機能が把握でき、レコメンドをより効果的に活用できるだろう。

費用対効果の検討する


アクセス数によって料金が異なるレコメンドエンジンもあるため、費用対効果を検討することも重要と言える。運用期間や機能とともに、コストパフォーマンスにおいても、料金シュミレーションをして検討しておこう。このとき、アクセス数などECサイトの現状を把握しておくと、運用試算が割り出しやすくなる。


まとめ 

消費者のWeb上の閲覧や購入履歴などのデータに合わせ、おすすめの商品やサービスを表示するレコメンド。マーケティング施策を考える上で欠かせないツールだが、導入だけでは売上に直結するものではないため注意が必要だ。自社のECサイト運営に適した導入方法を検討し、効率的なマーケティングを図っていってもらいたい。


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