中国宅配大手の申通快遞が沖縄へ進出、アジアと日本をつなぐ

ANAの国際航空貨物事業を活用して事業を展開


中国大手の運輸会社、申通快遞(セントンクアイディ)が、那覇空港を中継拠点(ハブ)として、アジアでの宅配便事業を展開する。
この事業は11月中旬に国際物流拠点産業集積地域(国際物流特区)那覇地区に現地法人「申通エクスプレスジャパン」を設立し、全日本空輸(ANA)の国際航空貨物事業を活用して行われる。同社の日本での法人設立は初めてだ。

沖縄国際物流ハブを活用すれば、深夜に上海を出発し沖縄を経由して翌日には日本国内に配送が可能だ。もちろんその逆もでき、ヤマト運輸などは国内の産物を翌日にアジア各地に届けている。

申通快遞は1993年に設立された中国の大手運輸会社だ。現在、中国国内で支社1,100社、営業所8,000ヶ所超を運営している。従業員数は15万人に上る。
2013年には中国物流企業トップ10に入っている。

申通快遞は中国の電子商取引(EC)最大手のアリババグループと提携し、同社のネット通販配送の4割を担っている。日本企業がアリババのネット通販で注文した中国製工業製品のサンプルや急ぎの製品の輸送を、本格的に手掛けていく方針だ。
さらに、衣類や生活雑貨などの日本製品をネット通販で購入する中国の消費者向けの配送でも、この物流ハブを活用する。事業展開に当たってはアリババのサイト上で申通エクスプレスの高速輸送サービスを紹介し、需要を開拓するという。

将来は東アジアと東南アジアをカバーする宅配網も視野


日本・中国・東南アジアを結ぶとき、沖縄は非常によい位置にある。その地の利を生かして、沖縄県では3年前から申通快遞の誘致に取り組んできた。今回の誘致成功で、沖縄県は「中国の大手企業が沖縄を拠点に事業展開することで、東アジアの物流拠点としてのステージがさらに前進する」と歓迎を表明した。

報道から察すると、今のところ中国や東南アジアと日本を結ぶことに重点が置かれているようだが、沖縄の可能性はもっと大きい。
実際、申通快遞の沖縄現地法人で取締役に就任予定の水谷昌弘氏は「今後は沖縄を中継拠点に東南アジアなどへの事業展開も視野に入れる」と語っている。

沖縄を拠点に、今後、申通快遞が東アジアと東南アジアをカバーする宅配便網を構築する可能性は十分にあり得るだろう。