ソーシャルログインとは?ECサイト導入前に知っておくべき基礎知識をわかりやすく解説
ECサイトを中心に、年々広がりを見せる「ソーシャルログイン」普段利用しているSNSで、簡単に会員画面にログインできることから、利用率の向上や離脱防止に役立っています。この記事では、ソーシャルログインの概要や仕組み、メリット・デメリットをわかりやすく解説していきます。また、ユーザー側からだけでなく、ECサイトの運営側から見るメリットや注意点などもご紹介していきますので、これからソーシャルログインの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
ソーシャルログインとは?
ソーシャルログインとは、ユーザーが普段から使用しているSNSのアカウント情報を利用して、ECサイトなどのWEBサービスに簡単にログインできる機能のことを指します。連携できるSNSには、Google・LINE・Twitter・Facebook・Apple ID・Yahoo!・Instagramなど各種あり、SNSのロゴマークと共にログインを促すボタンが表示されるのが特徴で、「OAuth(オーオース)」や「OpenID Connect(オープンアイディーコネクト)」という認証用のサーバーを利用しユーザーのアクセス権限を許可する仕組みになっています。
ソーシャルログインは、約10年前から存在していましたが、多くのユーザーがSNSのアカウントを持つようになったことをきっかけに、ここ最近急速に広がりを見せています。
ソーシャルログインの仕組み
SNSのアカウントを利用して手軽にログインできるソーシャルログインですが、どのような仕組みでアクセスしてるのか解説していきます。多くのソーシャルログインは、「OAuth(オーオース)」や「OpenID Connect(オープンアイディーコネクト)」などのプロトコル(手順・様式)を利用してアクセスを許可しているのが特徴です。
プロトコルとは、コンピューター同士がネットワークを通信する際に決められている手順や決まり事で情報を送信する際の端末の選定、形式、エラー対応などがそれに当たります。ユーザーは、ログインしたいSNSのアカウントを選び、表示されたボタンをクリックすることでサーバーへ連携依頼をかけ、利用を許可する画面から合意すればログイン完了です。
ソーシャルログインのメリット
ソーシャルログインはユーザー側とECサイトやWEBサイトを運営者する側の双方にメリットがあります。
【ユーザー側】ソーシャルログインのメリット
ユーザーは、ソーシャルログインを活用することで、大きくわけて以下3つのメリットが挙げられます。
1:情報入力が簡単になる
SNSアカウントには、氏名、メールアドレス、誕生日、アカウントIDなどの情報がすでに登録されているため、新たにアカウントを作成しなくても自動的に情報を反映することが可能です。
ユーザー側は、必要最小限の入力作業で済むため、会員登録にかける時間の短縮や入力ミスの防止に繋がります。その他にも、スマートフォンでログインする際は、画面が小さく入力やタップがしづらいこともあるため、そのような際の登録にもソーシャルログインは便利な機能です。
同じ情報を何度も入力する無駄な手間を省いて、手軽に新しいサービスを始められることは、ユーザーにとって大きなメリットでしょう。
2:アカウント管理の負担軽減
アカウントが複数になれば、その分だけIDとパスワードを管理しなければなりません。しかし、ソーシャルログインを活用すれば、普段利用しているSNSのアカウント情報だけでログイン可能なため、新たにIDとパスワードを覚えておく手間を省くことができます。
サービスを利用する度に、それぞれのアカウントを管理しなければならないとなると、それだけでユーザーは、ECサイトやWEBサービスの利用を躊躇するようになってしまいます。ソーシャルログインを使用することで、ログイン時に面倒となるアカウント情報の入力の手間を省くことができるのは大きなメリットでしょう。
3:セキュリティの強化
簡単に新しく利用するECサイトやWEBサービスにログインできることはメリットですが、その分セキュリティ面を心配される方も多いはずです。ECサイト運営側のメリットにも繋がりますが、ソーシャルログインは、多要素認証や二段階認証などを利用してログインするため、セキュリティを強化することができます。
具体的には、アカウントの盗用やなりすましなどの不正アクセスを防止するため、ユーザーのSMSへ認証コードを送信したり、指紋などの生体認証で本人確認後、ログインできるようになっています。このことから、IDとパスワードだけを使ったログインよりも、格段にセキュリティ強化できるのも、ソーシャルログインを利用するメリットです。
【ECサイト運営側】ソーシャルログインのメリット
続いては、ECサイトの運営側から見たメリットについて解説していきますので、参考にしてください。
1:フォーム入力による離脱率を下げ登録率を上げる
上記でも触れたように、ユーザーは新たにWEBサイトを利用する度に面倒な入力作業を行わなくてはならないため、登録時に離脱するケースが多くあります。
そこで、既存のアカウントを利用してソーシャルログインを行えば、登録時の離脱を防ぎ、自社のECサイトやWEBサイトへ誘導できる可能性が高くすることができるのです。会員登録段階で不要な機会損失を防ぐための有効施策だと言えます。
2:ユーザーのSNSアカウント情報を取得できる
ソーシャルログインを導入することで、ログインしたユーザーの氏名やメールアドレス、誕生日などの基本データが取得が可能になります。また取得できるアカウントデータはSNSアカウントによって異なり、例えばYahoo!のアカウントの場合はオークションなどで使用することが多いため、居住エリアの情報も含まれます。
このようなユーザー情報を取得することによって、SNSを通してコミュニケーションが取れたり、IDマーケティングや販売促進活動に利用することができるため、自社のECサイトで売上に繋がるプランを立てることも可能です。
また、顧客データを蓄積し検索履歴や購入履歴と紐づけることで新たなニーズを発見することもできます。一般的なログイン情報だけでは得られないソーシャルデータを活用して、新しいサービスを生み出すことができるのもメリットです。
3:セキュリティ対策の負担軽減
個人情報を取り扱うECサイトにとって、ユーザーのIDやパスワードを安全に管理することは、常に考えなければならない問題です。しかし、ユーザー側のメリットでお伝えしたように、SNSが提供している多要素認証や二段階認証はセキュリティ面での恩恵をそのまま受けることができます。
そのため、ユーザーが持つIDやパスワードなどの管理が不要となり、なりすましや不正ログインなどのリスクも軽減することが可能です。
ソーシャルログインのデメリット
ソーシャルログインは、ユーザー側とECサイト運営者側の双方に大きなメリットがある機能ですが、もちろんデメリットもあります。デメリットを理解したうえで、自社のECサイトに導入すべきか慎重に検討しましょう。
アカウントの連携元の仕様変更による影響
ソーシャルログインは、アカウント元となるSNSが提供するAPIを使用しています。APIとは「Application Programming Interface」の略称で、外部のアプリと連携できる状態にする窓口の役割を持つものです。
そのため、SNSの仕様が変更されることもあるため、連携元に合わせて自社のECサイトの仕様も継続的に整備する必要があります。内容によっては、サイトのシステムを大きく変更するなどの影響を及ぼすこともあるため、連携元であるSNS側の動向を把握することが必要です。
導入には費用がかかる
ソーシャルログインの導入には、外部のサービスを使用する場合と、自社でシステム開発を行う場合の2パターンがあります。
どちらとも、導入費用や開発コストは発生するため、メリット相応の費用が必要です。また、実装してしまえば終わりという訳ではなく、SNS側の仕様に合わせた調整や整備も必要となり、このメンテナンスを怠るとログインできなくなってしまうため、必要不可欠な作業となります。
実装には専門知識が必要
自社のECサイトでソーシャルログインをシステム開発する場合、APIやOAuthに関する専門的な知識が必要です。
そのため、専門的な知識を持つ人材を確保できなければ、ソーシャルログインの実装は難しく、エンジニアがいない場合は人材の確保や外注によるコストも考えなくてはなりません。ソーシャルログインの導入には、実装、そして運用にかかる費用に見合った利益が見込めるかを考慮して検討するようにしましょう。
ソーシャルログインの導入と実装方法
ソーシャルログインのメリット・デメリットを理解したところで、次は具体的にどのような方法でソーシャルログインを導入するのかご紹介していきます。ソーシャルログインの導入方法は、大きく分けて2種類の方法を使用し実装します。
APIを利用して連携する
1つ目は、APIを利用して連携する方法です。APIを利用して連携する方法とは、ソーシャルログインでログインしたいそれぞれのSNSに合わせて完全オーダーメイドのAPIを開発し、実装する方法を指します。それぞれのSNSに合った仕組みと、自社が求める機能の両方を適用できることがメリットです。
デメリットとしては、API取得の手間や、ユーザーの使いやすさが考えられた導線設計が必要となるため、実現には高いレベルでの専門技術を要します。SNS側の仕様変更による継続的な整備も必要になるなど、デメリットを十分に理解したうえで導入を検討しましょう。
外部サービスを利用する
2つ目は、外部サービスを利用して手軽にソーシャルログイン機能を実装する方法です。外部サービスを利用することで、月額の利用料は発生しますが専門知識は不要となるため、人材を確保する手間や費用を削減できます。一般的なソーシャルログインサービスの相場は、初期費用3~10万円、月額費用5~10万円だと言われています。都度発生する整備費用は、月額の利用料に含まれることが多く、自社開発のコストと比較したうえで検討してみることがおすすめです。
まとめ
ソーシャルログインの導入はSNSアカウントから簡単にログインできるため、ユーザーは入力の手間や会員登録のハードルが下がります。また、ECサイトの運営者側は、新規顧客の獲得やアカウント情報をマーケティングに活かすなど、ユーザーにもサイト側にも多くのメリットがある機能です。
コストや運用、そして個人情報の取り扱いには十分注意したうえで、今後さらに普及されるソーシャルログインの導入を検討してみてはいかがでしょうか。