凸版印刷が物流DXを推進、モノフル物流エコシステムへ参画

ECのミカタ編集部

凸版印刷株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:麿秀晴、以下「凸版印刷」または「同社」)は、株式会社モノフル(本社:東京都中央区、代表取締役社長:藤岡洋介、以下「モノフル」)が組成するベンチャーキャピタルファンド「Monoful Venture Partners 1号ファンド」へ出資・参画を行うことを公表した。

物流DXサービスの開発を推進

凸版印刷は、日本GLP株式会社のグループ企業で、物流ソリューション、ソフトウェア開発、スタートアップ投資を手掛けるモノフルが物流経済圏の構築を目的に関係会社を通じて組成するベンチャーキャピタルファンド「Monoful Venture Partners1号ファンド」(以下、MVPⅠ)へ出資・参画を行うことを公表した。

今回のMVPⅠへの参画により、凸版印刷は日本GLPグループ、物流テックスタートアップ企業及びそのパートナー企業などと共に、物流に携わるすべての企業がDXや企業連携の恩恵を受けられる物流共栄経済圏「物流エコシステム」の構築に資する物流DXサービスの開発を推進するとしている。

具体的な取り組みについて

◆タグを活用した配送DXソリューションの開発

凸版印刷がこれまで提供してきた自動認識ソリューションを活用した業界横断型の物流トレーサビリティシステムの構築を目指す。具体的には、長距離通信が可能な資材管理向けアクティブタグ「ZETag®」、真贋判定や不正流通の監視などサプライチェーンの管理を実現する「クラウド型ID認証プラットフォーム」、電子ペーパー搭載RFIDタグ「Near cross®(ニアクロス)D2.9」などのICタグによるRFIDソリューションとMVPⅠへの参画企業が保有する技術やソリューションなどの活用に向けて協議を進める。これにより、荷物を起点とする業界標準トレーサビリティシステムの開発を推進し、物流サプライチェーン全体の最適化を目指す。

◆デジタルピッキングシステムなどを活用した倉庫DXソリューションの開発

アイオイ・システムが提供する倉庫内のデジタルピッキングシステムをコア技術に、日本GLPグループや投資先企業とのサービスを組み合わせ、倉庫支援高度化の実現を目指すべく、検討を進める。これにより、人手をアシストするデジタルピッキングシステムからロボティクス技術による自動化まで庫内ソリューションをシームレスに提供し、業界標準技術の開発により物流業界のDXを推進する。

2025年までに100億円の売上を目指す

公表に際して同社では次のように述べている。

「昨今、EC市場の急成長に伴う物量の増加や多品種・小口配送の増加によるオペレーションの複雑化等を背景に、世界的に物流網の混乱や配送の遅れが発生しています。国内では、人口減少による労働者不足に加え、トラック輸送の時間外労働規制の強化により発生する2024年問題への対応など、物流業に携わる人的リソースの圧倒的な不足が喫緊の課題となっています。このような状況の中、物流業界では、労働環境の改善や人手不足への対策として、機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革する『物流DX』に注目が集まっています。

凸版印刷は、サプライチェーン全体のデジタル化を推進し、2万社以上の多様な企業との取引実績を強みにデータ活用を基軸としたDX事業を展開しています。物流業界向けのDXではRFIDを活用したトレーサビリティシステムや製造工程のデジタル化を支援する製造DXソリューション『NAVINECT®』などを展開するとともに、5G、IoT時代のセンシングやAI、ロボット技術の研究などにも取り組んでいます。2021年6月には、デジタルピッキングシステム国内最大手アイオイ・システムを子会社化。倉庫から配送まで幅広いサービスを展開し、物流DX市場への本格参入を進めています」

その上で凸版印刷によると、さらなる成長が期待される物流DX事業の推進を目的に、業界の知見と実績及び強いインフラを持つ日本GLPグループのモノフルが提唱する「物流エコシステム」構築を目指す考えに共感し、MVPⅠへの出資を通じて共創プロセスに参画することにしたという。それによりGLPグループ、物流テックスタートアップ企業及びそのパートナー企業などとの協業やソリューションの共同開発を進め、物流共栄経済圏「物流エコシステム」の構築に資する物流DXサービスの提供を目指すとのことだ。

今後について凸版印刷は、モノフルおよびMVPⅠを通じた出資先であるスタートアップ企業との協業や物流DX関連の新ソリューションの共同開発を推進するとしている。2025年度までにトッパングループの物流DX事業全体で100億円の売上を目指すとしており、同社の施策によってもたされるECを支える物流の進化に各方面から視線が集まることになりそうだ。

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