松下四維・日郵振華物流・三井住友海上中国、EVトラックを用いた実証実験を開始

ECのミカタ編集部

パナソニック四維モビリティテクノロジーサービス北京有限公司(以下「松下四維」または「同社」)は、三井住友海上火災保険(中国)有限公司(以下「三井住友海上中国」)、日郵振華物流(天津)有限公司(以下「日郵振華物流」)と共同で、中国の工業地帯で大型EVトラックを用いた自動車部品輸送の実証実験を開始することを公表した。

電池異常の検知や劣化状態を可視化

パナソニック ホールディングス株式会社と北京四維図新科技股份有限公司の共同出資による合弁会社である松下四維は、三井住友海上中国、日郵振華物流と共同で、2023年7月から中国の工業地帯で大型EVトラックを用いた自動車部品輸送の実証実験を開始する。

今回の実証実験では、日郵振華物流が大型EVトラックを導入し、中国の天津市内にある工業地帯において、工場間の自動車部品輸送を実施するとのことだ。松下四維は、電池分析クラウドサービスBetteRRRy(ベタリー)を用いて、電池データを分析し、電池異常の検知や劣化状態を可視化することでEVトラックを安全で経済的に運用するサポートをするとしている。

各社の狙いと主な役割

各社の狙いと主な役割

◆日郵振華物流

・自動車部品物流事業における脱炭素化推進を目指し、大型EVトラックを実際の輸送業務に試験導入し、環境貢献性・経済性・安全性の検証を行う。

・大型EVトラックには松下四維の電池分析クラウドサービスBetteRRRyを搭載し、電池状態の可視化や異常検知を行う。

・実証実験における電池状態のデータについてBetteRRRyを通じて三井住友海上中国に提供する。

◆松下四維

・物流業界でのEV利用促進に向けて電池分析クラウドサービスBetteRRRyを提供

・電池の異常予兆検知や異常アラート発信による運用の安全性向上

・電池劣化状態の可視化に基づくコンサルティングによる運用の経済性向上

◆三井住友海上中国

松下四維との連携を通じて、以下2つの新たな保険商品の開発・提供の検証を行う

・電池のバックアップサービス責任保険電池発火などの異常予兆を検知した際、対応を講じる費用を補償する(レッカーや点検・修復に要する費用など)

・電池の修理・交換等保険(商品開発中、商品名未定)

電池に、電池無償交換のメーカー保証範囲外で異常な劣化が発生した際、修理や交換に要する費用を補償する

EV導入や運用を支援し、環境課題の改善に貢献

EVの利用は、脱炭素の潮流を受けてグローバルに拡大しており、今後は日本へも波及することが予想されている。EVの利用で世界最大の市場を有する中国においては、電池の異常や劣化などによる安全性や経済性のリスクが、EVを利用するうえで課題となって横たわる。特に物流事業者など車両の保有台数が多く、使用頻度が高い企業は、環境負荷低減に向けてEV導入を進めるにあたり、こうしたリスクに対して強い危機感を持っている。

そこで今回、松下四維、日郵振華物流、三井住友海上中国が中国の工業地帯で大型EVトラックを用いた実証実験を開始することになったのだ。そこでカギとなるのが電池分析クラウドサービスBetteRRRy(ベタリー)である。パナソニックグループが約30年のリチウムイオン電池開発で蓄積してきた知見と独自のAI技術を応用して開発した電池分析クラウドサービスとなっている。松下四維では、電池状態の正確な把握によって製造、一次利用から二次利用、電池リサイクルに至るまでバッテリーのエコシステムを様々な企業とともに構築し、EVを含む新エネルギー車の生涯価値最大化を目指すとのことだ。

松下四維では、これまでに中国の大手物流事業者やEVリース会社など多くの車両を高頻度で運用している事業者向けに電池分析クラウドサービスを提供してきた。今後も拡大し続ける市場に合わせて、電池に関わる課題を解決しながら、EVの導入や運用をサポートし、環境課題の改善に貢献するとしており、さらなるEV化や日本において取りざたされる、いわゆる「2024年問題」などECを支える国内の物流課題解決にもどうフィードバックされるか注目と言えそうだ。


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