トラボックスが2024年問題に対する運送会社の現状と課題を調査 6割が対策未実施、8割以上が適正運賃を受け取れず
トラボックス株式会社(以下:トラボックス)は、2023年10月6日に発表された政府の「物流革新緊急パッケージ」を受け、運送会社を対象に実施した物流2024年問題に関する調査結果を発表した。本記事では調査内容の一部を抜粋して紹介する。
調査結果サマリー
◆約6割の運送会社が2024年問題を目前に対策未実施。小規模会社ほど対策が出来ていない
◆9割以上が荷主から不適正な要求を受けたことがある。「長時間待機(74.9%)」
◆「格安運賃での運送依頼(57.0%)」「契約にない荷役作業(56.0%)」が上位
◆8割以上が適正な運賃を請求できていない
以降で詳細を確認していく。
2024年問題に半数以上が対策できていない
2024年問題への対策について、「対策を実行中」「対策の必要がない(=すでに規制水準を満たしている)」を合わせると39.1%で、半数以上が現時点で対策が出来ていないことが明らかに。
また、トラックの保有台数別の対策状況では保有台数が少ない小規模の運送会社ほど対策の実施率が低いことが見受けられる。
荷主からの不適正な要求は9割を超える
荷主から多い要求は長時間待機、格安運賃での運送依頼、契約にない荷役作業といった内容が目立ち、96.1%が不適正な要求を受けたことがあることが判明。
政府の緊急対策「物流革新緊急パッケージ」でも示されている通り、これらの課題解決が重要な焦点になりそうだ。
また、荷主から様々な要望があるにも関わらず85.3%は適正な運賃を貰えていない。
待機時間や附帯業務に料金が発生すること、高速道路料金は実費が必要になることを荷主に伝え、適切に請求できている運送会社は非常に少なく、経営を逼迫している要因になっている。
政府は必要な法整備を進めると公表
2022年度の道路貨物運送業の倒産は燃油高騰など物価高の影響も大きく、263件と前年度の1.4倍に急増し、2年連続で前年を上回っている。このような状況の中で、2024年問題まで残り半年に迫った現在、影響が大きいとされる運送会社の対応状況、適正な運賃の収受有無、荷主への要望などをアンケート調査。結果としては以前厳しい状況が続いていることが分かったといえるだろう。
政府は10月6日に物流業界の「2024年問題」に関する関係閣僚会議を開き、緊急対策「物流革新緊急パッケージ」を発表。この中で、国が示す運賃水準に関して「荷待ち、荷役の対価を新たに加算する見直しを図り、年内に引き上げ幅を公表する」として、運送業者の適正な運賃確保や賃上げに必要な法整備を進めると公表している。本調査結果の内容を踏まえ、目前に迫る2024年問題への対策を急ぐ必要があるはずだ。
調査概要
◆調査方法:インターネット調査
◆調査時期:2023年9月6日〜10月3日
◆調査対象:全国、男女、20~60代、トラボックス会員の運送会社の代表者・配車担当、307名
本調査は「トラボックス調べ」となる。