10月の宅配便再配達率約11.1% 前年同月比約0.7ポイント減 国交省「宅配便の再配達率のサンプル調査」
国土交通省は、再配達に関する調査を2023年10月に実施、結果を公表した。本記事ではその概要についてポイントを絞って確認する。
再配達率は前年同月比0.7ポイント減
国土交通省が行った調査によると、2023年10月の宅配便再配達率は約11.1%となり、前年同月(約11.8%)と比較して約0.7ポイント減、本年4月(約11.4%)からは約0.3ポイント減となった。
本調査は宅配事業者の側から定量的に調査を行うことによって、宅配便の再配達状況の時系列変化を把握。ドライバー不足などの人手不足が深刻化する状況において、今後の再配達率削減に向けた各施策検討のための基礎資料を得ることを目的にしている。
調査開始は2017年(平成29年)10月以降であり、これまでの再配達率の推移は以下のグラフの通り。
※1 出典元:宅配便再配達実態調査 概要(p2)
コロナ禍以前と比較すると大幅に減少、近年調査においても緩やかに減少傾向にあることが見て取れるだろう。
調査概要
◆調査範囲
以下、3エリアが含まれる営業所単位ごとに、調査対象の宅配便名で運送を行う各事業者の取り扱う貨物。
▷都市部:東京23区で人口密度が高く単身世帯の占める割合が高い区
▷都市部近郊:東京都郊外の市町村で世帯人口が多いところ
▷地方:人口の少ない都道府県の市町村で人口密度が低く世帯人口が多いところ
※人口・世帯等については2015年度国勢調査に基づく
◆調査対象
▷佐川急便(飛脚宅配便)
▷日本郵便(ゆうパック、ゆうパケット)
▷ヤマト運輸(宅急便)
◆調査期間
2023年10月1日〜31日
◆調査方法
国土交通省が調査対象の各事業者に対し、貨物の配達総数及び再配達個数を任意の報告として求め、その結果を集計。
物流現場、事業者、消費者全体の意識改革が求められる
現在、再配達半減に向けた取り組みとして「ポイント還元を通じた消費者行動変容」に関する実証事業を行うとされ、2023年度1次補正予算44億5000万円が組まれている(※2)。荷物の受け取り側である消費者自身が、コンビニ受取や営業所受取、置き配といった再配達防止のための選択が可能になる環境が整えられつつあるようだ。
また、物流現場に対する長年の商慣習への意識改革も進められている。特に11月、12月は年末商戦などの影響により、物流業界の稼働は一層激しい。こうした状況においても、適切な労働環境が遵守されるために、現在「トラックGメン」による集中監視が実施されている状況だ。
今後もEC化率の上昇などによって宅配物の個数は上昇することが想定される一方で、再配達率の最終目標としては「6%」という数値が掲げられている。
今後も安定した物流環境を維持させるためには、物流現場や事業者側だけではなく消費者自身の行動変容が必須となる。各々がスムーズに取り引きを完了できるため気を配りつつ、一刻も早い目標達成に向けた配慮を心がけるべきだろう。
※2 出典元:宅配便再配達実態調査 概要(p4)
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