2023年の「物価高」による倒産はコロナ禍最多の645件に 3月以降は50件超の高止まり~東京商工リサーチ公表

ECのミカタ編集部

2023年の「物価高」倒産 コロナ禍最多の645件 前年比2.2倍増、3月以降は50件超の高止まり

東京商工リサーチは2024年1月15日、2023年における「物価高」倒産に関するまとめを公表した。本調査は、2023年(1〜12月)の企業倒産(負債1000万円以上)のうち「仕入コストや資源・原材料の上昇」「価格上昇分を価格転嫁できなかった等により倒産(私的・法的)した企業を集計、分析している。

「物価高」が企業収益にも大きく影響、小・零細規模へのダメージも深刻か

「物価高」を起因とした倒産が急増している。

2023年の「物価高」倒産は645件と、前年285件と比較して2.2倍と大幅に増加。負債総額は4130億4700万円と前年比126.5%となった。

負債額別では、最多が負債1億円以上5億円未満の273件(同116.6%増)。また、10億円以上も41件(前年比36.6%増)発生し、事業規模に関係なく物価高の影響を受けている。そして、1億円未満も276件(構成比42.7%)を占め、小・零細規模ほど物価高を吸収できていない状況が見て取れる。

コロナ禍で停滞していた経済活動が本格化する一方、円安やロシアのウクライナ侵攻などを背景に、原材料や資材、原油などの価格上昇が物価高を招いている。こうした物価高は家計だけでなく、企業収益にも大きな影響を及ぼしているのだ。

物価高で実質賃金が20カ月連続で前年同月を下回る

産業別では農・林・漁・鉱業と金融・保険業を除く8産業で前年を上回った。最多は、製造業の139件(前年比162.2%増、前年53件)。以下、建設業130件(同170.8%増、同48件)、運輸業127件(同67.1%増、同76件)の3産業が100件以上となった。

形態別は、最多が破産の568件(前年比124.5%増)で、「物価高」倒産の約9割(構成比88.0%)を占めた。コロナ禍の支援策で過剰債務問題が浮上するなか、新たな資金調達が難しい企業は多い。さらに物価高や人手確保に伴うコストアップが大きな負担となっている。

東京商工リサーチは「物価高で実質賃金が20カ月連続で前年同月を下回っている。GDPの約55%を占める個人消費の停滞は、企業業績の回復にも影響するだけに、物価高への抜本的な対策が急がれる」と指摘。

倒産増加率についても30年ぶりの高水準を記録している。2022年比の増加率は、バブル崩壊後の1993年以降で最大だったという(※1)。業績回復の遅れに物価高が追い打ちをかけ、資金繰りに窮する企業が増加していることも一因だと考えられる。

本年は「2024年問題」と称される新たな課題に直面することが想定される。事業者は最新情報に気を配りつつ、常に急な事態に備える姿勢が求められるはずだ。

※1関連記事:倒産が「増える」と回答した業種上位に「道路貨物運送業」 2024年問題で~東京商工リサーチ公表


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