佐川急便等のSGホールディングス、営業利益は前期比34%減に 2024年3月期連結決算を発表
SGホールディングス株式会社が、2024年4月30日に2024年3月期(2023年4月~2024年3月)の連結決算を発表した。物価上昇などの影響を受け、デリバリー事業においては宅配便の取扱個数が減少したことや、ロジスティクス事業においても海上・航空貨物ともに取扱量が減少したことに加え、運賃も底這い状況が継続していることから、営業収益は1兆3169億4000万円(前期比8.2%減)、営業利益は892億400万円(前期比34.1%減)となった。
2024年3月期の業績は
デリバリー事業ではBtoB・BtoCともに取扱個数が減少も、運賃改定などで平均単価は上昇
デリバリー事業においては、物価調整後の家計消費支出の弱まりなどの影響を受け、BtoB・BtoCともに取扱個数が減少。平均単価は、小型荷物の割合の上昇などによる下押し要因があるものの、2023年4月からの届出運賃の改定や、取引ごとの適正運賃収受の取り組みの効果により上昇したという。
「TMS(※1)」については、「GOAL®(※2)」による提案営業などを継続しているが、前連結会計年度に受託した感染症関連案件が剥落(はくらく)した影響などもあり、売上高が減少。
その他、2023年4月からはにLINEにおいて「配達予定通知」や「お荷物問い合わせサービス」などが利用可能となる佐川急便LINE公式アカウントを開設したり、2023年12月には住友商事株式会社、米国のスタートアップ企業でAIロボティクスソフトウェアの開発などを行うDexterity, Inc.と、物流業界初の「AI搭載の荷積みロボット」の実証実験を行う共同プロジェクトを発足するなど、各種デジタライゼーションを推進。
結果、営業収益は1兆285億30百万円(前期比1.8%減)、営業利益は815億3百万円(同18.3%減)となったという。
※1:「Transportation Management System」。従来の「貸し切り・直行」というチャーターサービスを強化し、お荷物に合わせた最適な輸送手 段を提案する、チャーターサービスを指す。
※2:「GOAL®(Go Advanced Logistics)」は2014年に始動した先進的ロジスティクスプロジェクトチームのこと。先進的なロジスティクスの提供を通じ、物流の課題解決に対し顧客と共に突き進むグループ横断型専門家集団を意味するという。
ロジスティクス事業でも海上・航空貨物の取扱量は減少
ロジスティクス事業においては、米国での消費者マインドには回復の兆しも見え始めたものの、物価上昇による金融引き締めなどを背景とした経済成長の鈍化懸念などは継続しており、海上・航空貨物の取扱量は減少。また、海上・航空運賃については一部では上昇も見られるものの、全体としては底這い状況が継続していることから、営業収益は2197億6100万円(前期比30.2%減)、営業損失は48億5400万円(前期は営業利益192億39百万円)に。
今後の見通しは
今後の見通しについてSGホールディングスは「政府の総合経済対策の効果発現や実質賃金の上昇などによる緩やかな景気回復が期待されていますが、資源価格の上昇や為替相場での円安の継続などに加え、世界的な金融引き締め政策の継続や地政学リスクの拡大など、先行きは依然として不透明な状況が続いています。
そのような中、当社グループは、中期経営計画『SGH Story 2024』の最終年度として、引き続き重点戦略である、総合物流ソリューション『GOAL®』の高度化、競争優位創出につながる経営資源の拡充、ガバナンスの更なる高度化に取り組んでまいります」とした。
その他、2024年問題への対応、インフレの進行や世界経済の停滞といった中期経営計画策定時からの環境変化も踏まえ、持続的成長を実現するために、
①成長領域への進出や新規事業拡大など成長基盤の構築、
②パートナー企業への委託単価の引き上げなどの社内外リソースの維持・確保、
③省人化・自動化投資や適正運賃収受の取り組みの継続など事業を持続的に支えるコスト構造の再構築
という3点を重点ポイントとして各種施策に取り組むという。
なお2025年3月期の業績予想は、2024年3月期の業績および足元の状況を踏まえ、営業収益1兆3800億円と発表している。
出典元:2024年3月期連結決算について(SGホールディングス株式会社)