佐川急便、C&Fロジを公開買い付け コールドチェーン物流効率化に
SGホールディングス株式会社(以下:SGホールディングス)は、2024年5月31日に実施された取締役会において、株式会社C&Fロジホールディングス(以下:C&F)に対して公開買付け(以下:TOB)を実施することを決議した。
約1237億円で全株式を買付
C&Fは東証プライム上場で、名糖運輸などを傘下に持っている。今回、SGホールディングスはC&Fの全普通株式2155万7194株を取得し、完全子会社化を目指す。
現在、C&FにはAZ-COM丸和ホールディングスが3000円でTOBを実施中であり、今回の決議はSGホールディングが対抗買収に乗り出した形だ。
買付価格は1株あたり5740円と、AZ-COM丸和ホールディングスの提示した3000円を大きく上回る。全株式を取得する場合の買付代金は約1237億円となり、C&Fは2024年5月31日に買収提案に対して賛同を表明。6月3日よりTOBを開始し、全株の取得を目指す。
業態にとらわれないパートナーと連携する
C&Fは法人向けの低温食品の輸配送や、倉庫保管を得意としている。そのため、今回のTOBではコンビニやネット通販における冷蔵・冷凍食品の市場拡大も見込めるだろう。
さらに、同業他社の買収によって、不足する運転手の迅速確保が可能。物流拠点の統廃合などによって、コスト面での合理化も進めやすいはずだ。
SGホールディングスは「公開買付けの開始に関するお知らせ」において「物流ソリューションの提供を通じて顧客や社会の課題解決につながる新たな価値を創出するためには、自社の力だけではなく、顧客、取引先、及び業種・業態にとらわれないパートナーと連携して取り組んでいく必要があるものと考えております」と述べる。同業種に対するTOBを通じた、様々なシナジーが期待されるだろう。
低温物流市場の市場拡大が期待
SGホールディングスは今後の取り組みとして、以下の内容を掲げている。
◆営業体制及び顧客基盤の活用
◆コールドチェーン物流の効率化
◆国際・海外向けサービスの強化
◆メディカル関連分野の拡大
◆食品加工メーカーの自家物流の取込み
中でも規模が拡大する低温物流市場においては、SGホールディングスとC&Fが連携して営業活動を実施することで、食品加工メーカーの自家物流を取り込むなど、さらなる売上拡大が見込めるだろう。
人員や車両、施設の相互活用を通じて、2024年問題に対する対策も行った今回のTOB。今後の動向に注目、期待したい。