トラックGメンを「トラック・物流Gメン」へ改組・拡充 荷待ち時間の削減等へ向けた取り組みを強化
国土交通省は2024年11月1日、物流全体の適正化を図る観点から「トラックGメン」を「トラック・物流Gメン」に改組し、倉庫業者からの情報収集も実施することを公表した。
「長時間の荷待ち」削減へ向けた取り組みを強化
「トラックGメン」は2023年7月21日、発荷主企業だけでなく着荷主企業も含め、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視を強化することを目的に創設された。
同年10月31日までの期間で働きかけ251件、要請10件の実施や全トラック事業者63251社を対象にした調査、九州自動車道 基山SAにてトラックドライバーへの聞き取り調査等を実施。また、11月、12月にはトラックGメンの「集中監視月間」と位置づけ、悪質な荷主等に対して「要請」「勧告・公表」を実施し、監視を強化するなど精力的な活動を進めてきた。
過去に「トラックGメン」が要請した事例としては「長時間の荷待ち(8件)」「契約にない附帯業務(1件)」「無理な配送依頼(1件)」「過積載の指示(1件)」とほとんどが長時間の荷待ちが占める。荷待ち時間の削減等にあたっては、倉庫業者の取組みは寄託者である発・着荷主の協力が必須であり、サプライチェーン全体の取引環境を適正化するために倉庫業者からの意見聴取や情報収集も必要な状況であると国土交通省は指摘。
こうした状況を踏まえ、情報収集機能の強化を図り、物流産業全体の取引の適正化を目指して「トラックGメン」を「トラック・物流Gメン」へ改組、体制を拡充するに至った。
11月〜12月を「Gメンによる集中監視月間」に
「トラック・物流Gメン」への改組によって、倉庫業者からもトラック事業者に対し違反原因行為をしている疑いのある悪質な荷主等についての情報収集を進める。
体制については現行162名のところ、地方運輸局等の物流を担当する部署の職員29名と、各都道府県のトラック協会が新たに設ける「Gメン調査員」166名を追加し、総勢360名規模(357名)で対応。併せて、倉庫業の業界団体においても情報収集窓口を設置し、地方運輸局等と連携し情報収集を行う。
昨年に引き続き、2024年11月〜12月を「Gメンによる集中監視月間」として、プッシュ型の情報収集等を実施し、適正な取引を阻害する疑いのある悪質な荷主等に対する監視を強化するとした。
集中監視月間が行われる年末商戦だけではなく、持続可能な物流のためには常日頃から適正取引を心がける必要があるだろう。EC市場の発展には健全な物流サービスの維持が必須となる。繁忙期を迎える前に、無理な配送依頼を避ける取り組みを改めて進めたい。
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