止まらぬ郵便・物流事業の減収傾向 価格転嫁が課題に【2025年3月期第2四半期決算 日本郵政G】

奥山晶子

2024年11月14日、日本郵政グループは2025年3月期の第2四半期(中間期・2024年4月~9月)連結決算概要を公表した。この記事では決算情報や郵便・物流事業セグメントの現状をまとめ、最近の動きを解説する。普段ゆうパックやゆうパケットなどで配送依頼をしている、もしくは配送依頼を検討しているEC事業者は参考にしてほしい。

日本郵政グループ 2025年第2四半期 決算の概要

日本郵政グループの2025年第2四半期における連結業績サマリーは以下の通り。

※画像引用元:2025年3月期 第2四半期(中間期)決算説明資料p.1

太線で囲んだ箇所が今期の数値だ。グループ連結では、経常収益が5兆5119億円となり、前年同期比で1062億円の減収。一方で経常利益は4633億円となり、前年同期比で1281億円の増益となっており、減収増益の結果となった。中間純利益増加の主な要因は、金融2社の増益及びAflac Incorporatedに係る持分法投資利益の計上だという。

※画像引用元:2025年3月期 第2四半期(中間期)決算説明資料p.3

日本郵政グループには複数のセグメントがある。「郵便・物流事業セグメント」の営業収益は前期比で23億円減少の9392億円、営業損益が439億円減少の947億円となった。

郵便局窓口事業も減収減益となったが、国際物流事業、不動産事業は増収増益。銀行業と生命保険業は減収増益となっている。

郵便・物流事業の決算概要

次に、郵便・物流事業セグメントの業績詳細を見ていく。日本郵便とその子会社や関連会社の決算をまとめた連結決算の概要は、以下の通りだ。

※画像引用元:2025年3月期 第2四半期(中間期)決算説明資料p.8

右上の棒グラフは営業収益に直結する郵便物等の取扱数量の推移だ。取扱数量はゆうパックやゆうパケット、ゆうメールなどの荷物が増加し、郵便が3.3%減少している。全体量はほぼ横ばいだ。

左下の滝グラフは営業損益の前年同期からの増減分析で、左から2番目の営業収益は、荷物収入が増加したものの、郵便関係収入の減少等により前年同期比23億円の減少となっている。営業費用は引き続きコストコントロールの取り組みなどを進めたが、人件費や集配運送委託費が増加し、赤字幅が拡大した。

郵便・物流事業の業績は、他セグメントに比べるとどうか。営業損益の推移をグラフで見ると、郵便・物流事業は減益が目立つ。

※画像引用元:2025年3月期 第2四半期(中間期)決算説明資料p.15

郵便局窓口事業が217億円、国際物流事業が45億円、不動産事業が101億円の営業利益をおさめる一方で、郵便・物流事業は947億円の営業損益となっている。

第2四半期の動き

この第2四半期で最も大きな話題といえば、10月に行われた郵便料金の値上げ発表だろう(※1)。第一種郵便物のうち50グラム以下の定形郵便物の料金が110円となり、はがきは63円から85円に改正された。これにちなみ、2024年9月2日には記念押印サービスが実施されている。

なお、顧客視点でのデジタル化促進などを掲げた「JP ビジョン 2025+(プラス)」の実現を念頭に、2024年9月27日には配送方法ナビゲートアプリ「ぽすめじゃー」のサービス提供を開始した。「ぽすめじゃー」アプリをダウンロードした上で、iPhone Proのカメラで荷物の写真を撮影することにより、配送方法および運賃が案内されるサービスだ。2025年度中を目処に、郵便局アプリとの統合が目指されている。

そして郵便窓口業務自体は縮小化の傾向にある。2024年9月30日には、11時半から12時半までの昼時間帯の窓口業務休止を試行する郵便局が拡大されることが発表された。

郵便・物流分野は大きな減収と窓口業務の縮小化などが見られる結果となった。10月に実施された郵便料金の値上げ、デジタル化やDXの推進が第3四半期の業績にどのような影響を及ぼすのだろうか。引き続き動向を注視していきたい。

※1 関連記事:日本郵便がレターパックも値上げへ 2024年10月1日からの郵便料金一部改定を発表

参考:新料額の切手類の押印サービスの実施について(郵便局)
配送方法ナビゲートアプリ「ぽすめじゃー」のサービス提供開始~スマホのカメラで撮影するだけで、最適な利用可能サービスと運賃をご案内します~(郵便局)
「昼時間帯の窓口業務の休止」における試行郵便局の拡大について(郵便局)


記者プロフィール

奥山晶子

2003年に新潟大学卒業後、冠婚葬祭互助会に入社し葬祭業に従事。2005年に退職後、書籍営業を経て脚本家経験を経て出版社で『フリースタイルなお別れざっし 葬』編集長を務める。その後『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』(文藝春秋刊/2012年)、『「終活」バイブル親子で考える葬儀と墓』(中公新書ラクレ/2013年)を上梓。現在は多ジャンルでの執筆活動を行っている。

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