コンタクトセンターで最も多かったカスハラ被害とは? 日本コンタクトセンター協会調べ
株式会社TMJ(以下:TMJ)は2024年12月26日、同社のコンタクトセンターに勤める従業員を対象にした「カスタマーハラスメントの現状と対策に関する調査レポート」を公開した。本記事ではEC事業とも関連の深いコンタクトセンター業務についての項目を中心に、一部を抜粋して紹介する。
調査概要
◆調査対象:株式会社TMJ社員のオペレーター
◆調査人数:313名
◆調査期間:2024年7月31日~8月30日
◆調査方法:アンケート調査
◆出典元:日本コンタクトセンター協会調べ 「カスタマーハラスメントの現状と対策に関する調査レポート」(株式会社TMJ)
※図表の構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しています
カスハラ被害は「暴言・怒声」が最多
本調査では、対象のコンタクトセンター従業員が業務中に受けたカスハラ被害で最も多かったのは「暴言・怒声」(83%)という結果が明らかとなった。2位は「長時間拘束」(72%)、3位は「クレームの過剰な繰り返し」(69%)と続く。
これは、顧客からの不適切な発言や高圧的な態度が、従業員に直接的な心理的負担を与えていることを示しているといえるだろう。
また、こうしたカスハラ被害を経験した従業員の9割(90%)がなんらかの「ストレスを感じた」と回答しており、カスハラが従業員に与える影響は小さくないことが浮き彫りとなった。
従業員に過度な負担を強いるケースも
カスハラが発生した主なきっかけは以下の通りとなった。
◆顧客からの無理な要求:68%
◆顧客の勘違い、従業員の接客態度・言葉遣い:49%
「無理な要求」には、現実的に対応困難な要望や過剰要求が含まれており、従業員に過度な負担を強いるケースがあげられる。また「勘違い」では、商品やサービスに対する誤解や認識不足が原因で怒りや不満が向けられる状況が多い傾向が明らかとなったという。
対応策として最も実施していることは「話を聞き続けた」(63%)、2位が「毅然と対応」(55%)、3位が「謝り続けた」(47%)という結果に。これらはその場のトラブルを鎮静化させる手段として機能しているが、根本的な解決には至らない場合も少なくないとTMJは指摘する。
カスハラ被害を経験した約9割の社員が精神疾患
カスハラを防止するために必要な措置について質問したところ、「法律・条例による防止」が1位(68%)、2位は「消費者への啓蒙活動」(58%)、3位は「企業・コールセンターのマニュアルの整備」(52%)が上位にあがった。
今回の調査では特に多いカスハラの内容について「暴言・怒声」があがり、カスハラ被害を経験した約9割の社員が精神疾患やストレスなどを抱え身体的にネガティブな影響を受けていることが判明した。
東京都では2025年4月1日より、公正かつ持続可能な社会の実現に寄与することを目的に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されるが、TMJはこうした防止条例が施行される一方で、また新たな課題が生まれることも予測している。
同社は業界団体方針を踏まえたカスハラ防止策を講じる予定であると同時に、社内のルール整備とケアの強化を図っていく姿勢も示す。EC市場の発展に伴って、今後もコンタクトセンターにおけるカスハラに関する課題も話題にのぼることだろう。従業員が心身ともに健康で働ける事業・社会の実現に向けて、適切な対応を心がけたい。