Amazonログイン&ペイメント導入成功の軌跡を追う!
Amazonログイン&ペイメント、導入成功の鍵
2015年、EC業界に衝撃を持って受け止められた「Amazonログイン&ペイメント」。自社ECサイト上でAmazonアカウントによりログインし決済できるというサービスだが、それをいち早く導入したEC店舗が、Super Classicだ。持ち歩きできる、必要最小限のサイズにこだわった最薄の財布など、機能性と利便性を兼ね備えた商品を、ネットだからこそしっかりとした商品説明ページを使って提案し、購入者から高い評価を集める店舗だ。どうして他に先駆けて「Amazonログイン&ペイメント」を導入したのか、また実際の効果はどうなのか、Super Classic代表の南和繁氏に話を伺った。
Super Classicは、どんな店舗で、その売れる理由とは
「Super Classic」の商品は特に百貨店やECでは、特にその商品の良さをお客様が理解しやすく購入されている印象だ。というのも、同店の商品を目にとめるお客様は「皆、商品を見て、ぱっと見、その良さを理解してもらえなくて、まず頭にクエスチョンマークが浮かぶことが多い」(南氏)。
同社が扱う財布にしても、機能性と利便性を兼ね備えているのだが、それは見ただけではわからない。そこで、百貨店の何がいいかというと、そこで販売員がお客様に声がけしてくれるから、お客様との間にコミュニケーションが生まれ、そのぱっと見では伝わらない商品の奥深さも理解して、購入に至るというわけだ。
また、ECでは、声がけする代わりに、WEB上で誰もがその機能性や利便性を写真なり、文章なりでさらに表現できるわけで、表現の幅は無限。つまり、ここで分かることは、商品力はあるのだから、引き込みをちゃんとすれば、商品の内容に興味を持ってもらえるということだ。
だから、同社はここに注力していたということなのだ。それを思うと「もしこの事業を10年前、まだECを使う人が少ない時代に始めていたら、そこの部分の引き込みができませんから、結果として、うまくいかなかったでしょう。今の時代だからこそ売れていると思うのです。」と氏。「売るのにそれだけの手間と時間をかけなければならない分、他では売りづらい商品であり、逆に、あまり売られていないというのも、他との差別化要因になっています。そこで、僕達は、ただ単に商品を売るだけじゃなくて、そうやって商品の世界観を伝えつつ、お客様に対してライフスタイルの提案をしているところが評価されているのだと思います。」
Amazon ログイン&ペイメント導入のきっかけ
そんな中において、「Super Classic」の売上は、自社サイトの割合が高く、だいたい半分を占めている。リピーターが多いというのもその理由の一つである。一方、それも新規のお客様となると話は別で、決済の手順としてはAmazon.co.jpで購入するほうが簡単なので、以前から、自社サイトの商品説明を読んで、Amazon.co.jpで購入するという流れはあったのだ。Super Classicの商品の購入者は30~40歳の男性で、比較的ITリテラシーが高い方が多く、そういう人達は、あまりいろいろなサイトに個人情報を入力することを好まない傾向があるようだ。それゆえに、Amazonで購入することを選ぶ人が多くなるのだ。
また、最近はスマホでしか買い物をしない人も多いという。広告やテレビ番組等で気になるものを見つけたら、そこですぐに買いたいからだ。すぐに買わない場合でも、一旦検索して、その気になった商品をカートに入れておいて、それをリマインドとして活用するわけだ。スマホでの購入となると、個人情報の入力の簡便さやセキュリティが非常に重要になる。
であれば、最初から、チェックしたそのサイト自体で、Amazon.co.jpと同じように注文ができれば、どれだけ便利なことか。「海外で『Amazonログイン&ペイメント』がスタートしたときから、このシステムはすごいことだと思っていたんです。だから、日本でリリースされるなり、自社サイトですぐにやりたいと思ったんですね。」と熱っぽく氏は語る。
Amazonログイン&ペイメント導入後の変化
そこで、「Amazonログイン&ペイメント」のことを、システム会社(アイピーロジック社)に話して、自社サイトで導入できるように依頼し、実現に至った。
実際、「Amazonログイン&ペイメント」を導入してみて驚いたのが、Amazonマーケットプレイスでの売上・既存顧客は減らなかったことだ。今年の施策の中で一番効果が高かったのが「Amazonログイン&ペイメント」の導入であったと氏は振り返る。「僕はECを2009年からやっていますが、その頃は効果が高い広告枠や施策が多かった。でも最近は費用対効果がならされていてかなり厳しい。化粧品などのリピート商材は、ひとつのコンバージョンに対して7000円とか、広告費をかけられるかもしれないが、それでは僕達は利益がなくなってしまう。」とも。
同社は、EFO(Entry Form Optimization:情報入力フォームの最適化)についても、PDCAサイクルを回したり、A/Bテストをやったり、施策を行っていたが、しかし、システム会社と50万、100万もかけて、購入率が《2%》上がったら良い方、それでやっと費用対効果が合うというレベルだったという。それだけに、「Amazonログイン&ペイメント」導入による数字の変化はすごいと感じたようだ。
具体的には、自社サイト全体のPCユーザーで購入に至る率が、導入前は33.01%だったのが44.2%に、スマホサイトでは28.73%が42.66%になった。これは利益に直結する重要な点だ。「それまで僕達は、コンバージョンレートを1%上げようとか、流入を2%増やそうとかいうことを目標に様々な施策をしていたけれど、結局、そこから決済までで3分の2がカゴ落ちしていた。コンバージョンレートを1、2%上げても、カゴ落ち分はマイナスになる。それでは意味がない。そのカゴ落ちを劇的に防いでくれたのが、「Amazonログイン&ペイメント」だったのです。」
決済以外もカバーする、優れた点
そして、決済の手数料は氏によれば、「すごく安くて、さすがAmazonだ」と思ったようだ。「僕は今、マレーシアに住んでいるんですが、マレーシアでは決済手数料が高いクレジットカードは店舗が導入しません。店舗が導入しないと使えるところが少なくなる。使えるところが少なかったらお客さんが持たないし、普及しないんです。それと同じで、(手数料が)安いから店も導入しやすくなり、普及をして、一般的になれば、それがまた、私たちのお店のことを使いやすいと思ってもらえる要因が増えるわけです。」とその意味を説く。
さらに、「Amazonログイン&ペイメント」は、AmazonのIDでログインしようとも、お客様の同意があれば、そのメールアドレスなどクレジットカード番号以外の配送に必要な情報には、店側が取れるということになっているので、このサービスを導入するだけで新規顧客獲得につながるというのも大きい。最近はメルマガで売るというビジネスモデルの注目度は下がってきているように思われるかもしれないが、Super Classicで言えば、メルマガに登録している人の購入率が高い。特に、新商品を訴求する場合など本当に欲しいという層にプッシュする方法としては、結局メルマガが最も効率が良い方法となる。
「だから、「Amazonログイン&ペイメント」の導入で獲得できるメールアドレスがどれだけ、私たちにとって大きいかということです。「Amazonログイン&ペイメント」は、自社サイトでやっていることとなんら変わることのない環境で取り組めるだけの自由度が高いシステムであり、しかも顧客を増やす施策にもなるのだから、やはり、多くのEC事業者にとって取り入れる意味があると、痛感します。」
Amazonログイン&ペイメントによって、様々な変化が生まれる予感
また、一度「Amazonログイン&ペイメント」の注文で、クレジットカードに関するお問い合わせや調査依頼があった場合に、Amazon側でサポートをしてもらえるというのも、店にとってはメリットのある話だ。「Super Classic」で言えば、物流の出荷担当スタッフにとっては、仕事の8割以上がトラブル対応だという。もし、同店がお客様と直接やりとりするとなれば、クレジット会社との対応も含めて、一件につき30分~1時間は潰れることもあるという。そういう部分での調査のための時間を減らせる部分も、事業社にとっては、非常に助かる要素なのだ。
Amazonログイン&ペイメントという新たな購入フローができることで、お金が流れやすくなるということは、企業に利益が出て、社員に分配され、お金を使う人が増え、非常に、経済にとって良い循環を生み出す、ということでもある。ECを支援するサービスはこのような良い循環を促してこそ、その存在価値があるといえよう。
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繰り返しになるが、ECの利用者には、さまざまなサイトに情報を入力する煩わしさや不安が常につきまとう。Amazonという信用がそれを解決するだけでなく、それはEC事業者側にも明確なメリットも多く、それは、このSuper Classicで先ほど示した購入率の通り、数字に表れることも多い。特にSuper Classicのような独自性のあるEC事業者にとっては、自分の店舗の独自性をよりお客様に実感いただける機会も増加する。ニッポンの消費を変え、ニッポンのECを素敵に変えていく「Amazonログイン&ペイメント」は、これからのニッポンの未来を明るく、照らしてくれるのだ。