後払い決済サービスの選び方 ~ヤマト・ニッセン等~

福島 れい

開業当初から導入を!後払い決済

 ECサイトを運営するにおいて最も重要とも言える”決済”。クレジットカード払いや代金引換、後払い決済など様々な手法があるが、今回は最近注目を集めている”後払い決済”について考えてみようと思う。

 まず、お客様にとって後払い決済とはどのようなものなのかみてみよう。
ニッセンBtoBのHPによれば、ニッセンが行ったアンケート調査において「インターネットを経由した代金支払いに抵抗を感じたことがある」と回答したお客様は62.8%、「ネットショップの支払い方法に後払いがなく購入を諦めたことがある」と回答したお客様も44.6%に上るとされている。

 つまり、インターネット上で支払いをすることに対して不快感や危機感を感じているお客様は半数を超え、その解決策として後払い決済が選択されているということだ。特に認知度が低い中小規模の店舗であれば、この傾向が強まることは想像に容易い。後払い決済は、お客様が抱く決済における不安を解消する手段の1つであると言えるだろう。


 ここからは店舗にとっての後払い決済をみていく。”後払い決済”が注目を集めている理由は、以下の3つの理由からだ。

・導入しやすい料金形態
・商品代金の未回収リスクがない
・導入により、お客様の安心感が高まる

 順番に詳しく見ていこう。
 まず、利用金形態について。後払い決済サービスを提供する企業は複数あり、各社が4~5つの料金プランにてサービスを提供している。各社の料金プランの違いはごくわずかだ。

 最も導入しやすいものでは「基本料金0円+決済手数料4.7%~5.0%」というように決済行われた場合のみ料金が発生するプランになっている。これは、小規模の店舗においては決済件数が少ないため、基本料金が少なく済むほうが得であることに対する配慮と言える。

 また、毎月の決済件数が多い企業においては「基本料金45000円~50000円+決済手数料2.7%~2.9%」というように1回の決済あたりの手数料を抑えたプランが用意されている。大規模な店舗で毎月、多数の決済が行われるのであれば、1回あたりの手数料は少ないほうが得をするためだ。

 つまり、開業当初の小規模店舗から、毎日多数の決済が行われる店舗まで、状況に合わせた料金プランで手軽に導入できるのだ。特に開業当初の店舗において、決済が行われなければ料金が発生しない仕組みが導入を後押ししているように思う。

後払い決済はクレジットカード決済より得!?

 また、後払い決済の手数料に関して言えば、お客様の決済手数料の認識という意味でも導入しやすくなっている。どういうことかというと、例えばクレジットカード決済を利用する場合、手数料はかからないものと認識しているお客様が圧倒的に多い。つまり、クレジットカード決済においてお客様に手数料負担をお願いするのは得策ではなく、全額店舗側で手数料を負担することになる。しかし、後払い決済や代金引換などでは、手数料が発生するものと認識しているお客様が多く、お客様が抵抗感なく手数料を負担してくれるのだ。1件につき数百円ではあるが、店舗側にかかる手数料負担は減少することとなる。

 次に商品代金の未回収リスクについて。決済代行サービスを利用せずに事業を行う場合、商品を発送したにも関わらず代金が支払われない未回収リスクが発生する。実際にホテルやウィークリーマンションで商品を受け取り、代金を支払わないなどといった詐欺も発生しており、店舗においては商品代金の未回収リスクを避ける必要がある。後払い決済をはじめとする決済代行サービスでは、サービス提供会社が立替えてくれるため、未回収リスクを避けることができるのだ。

 最後にお客様の安心感について。後払い決済は、ネットショッピングにおいて唯一、商品を自分の目で確認してから、支払いをできる決済手段であると言える。代金引換の場合でも商品を梱包している箱までとあって、後払い決済を利用した場合にお客様が店舗に抱く安心感は大きくなるのだ。その結果、開業したばかりなどといった認知度の低い店舗であってもお客様が抵抗感なく購入できるようになる。

後払い決済代行サービスの特徴

 ここからは具体的な後払い決済サービスをみていく。

【NP後払い】
 NP後払いは、保証型後払いサービスのなかで最も歴史の古いサービスである。そのため、店舗からの認知度も非常に高いサービスであり、ライオン株式会社や株式会社ニチレイフーズなど多数の企業が導入している。NP後払いの大きな特徴としては、多数の受注管理システムやショッピングカートとシステム連携をしており、すでに出店済みの店舗にとっては導入しやすいサービスとなっていること挙げられる。また、後払いサービスで唯一”フフルルポイント”というポイントサービスを展開しており、お客様にとってうれしいサービスであるという見方も出来る。

【後払い.com】
 後払い.comは”支払代金の上限金額”がないことが最大の特徴と言える。他社では5万円前後の支払い上限金額が設定されているため、単価の大きな商品を扱う店舗にとって、使いやすいサービスと言えるだろう。また、”キャンセル手数料がかからない”ことにも注目したい。導入企業は、パティスリー銀座千疋屋などのEC店舗多数。

【ニッセン後払い】
 ニッセン後払いは、非常に認知度の高いサービスであり、その分お客様に安心感を与えられるサービスと言える。代金支払いの対応場所はコンビニのみとなっており、郵便局や銀行での振り込みができないが、その分、少し手数料が抑えられている印象がある。システム連携に関しても主要受注管理システムには対応しているため、大きな問題はないように思う。導入企業は有限会社ユーアイ・コーポレーションや株式会社アイエス・トレーディングなど多数。

【GMO後払い】
 GMO後払いの最大の魅力は、手数料が最も安いサービスであるということではないだろうか。価格は安いがリアルタイムでの与信が可能、また請求書の形式を葉書、封書と選べるなど、サービスが充実している。導入企業は株式会社ABCマートやカルビー株式会社など大手が多く、GMOグループに対する信頼も厚い。

【クロネコ代金後払い】
 クロネコ代金後払いの最大の魅力はヤマトグループのブランド力だろう。配送時にヤマト運輸を利用する店舗も多く、同時に受け取るお客様も多いため、双方にとってなじみの深いブランドである分、安心感も大きいように思う。一方でシステム連携や実績という面では発展段階にあるとも言える。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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