ECの倒産相次ぐ!危機を脱するための接客とは

ECのミカタ編集部

2015年度の倒産状況は過去最多!

 ECが増加している今、それと同様に「倒産」も相次いでいる。以前、ECのミカタ上でも、株式会社東京商工リサーチが発表した、倒産に関する調査記事を掲載した。その記事によると、2015年度の「通信販売・訪問販売小売業」の倒産状況は、74件(前年度比25.4%増、前年度59件)に達した。この結果は、調査開始の2009年以降、過去最多となった。

 この要因の一つに「接客」がある。新規顧客獲得はもちろん、一度来てくれたお客さんに再度来訪してもらうなど、購入を促す必要がある。それを理解していても、実際問題、人手不足で余裕が無い。そういう時にこそ、利用して欲しい「ECならではの接客」を3つ紹介する。いかにユーザーが求める接客をし、購買行動に繋げられるかは、売上を向上させ、倒産の危機を防ぐために非常に重要なことだ。

ユーザーの心を掴む接客方法!

LINE
 LINEの利用者が増加している現状を受け、実店舗をはじめ、ECでもLINEの公式サイトを利用していることが多い。特に注目なのが、LINEがアカウントの各種機能を企業向けにAPIで提供し、各企業がカスタマイズして活用する「LINEビジネスコネクト」である。

 このサービスの特徴は、一斉に送信するメールマガジンとは異なり、それぞれのユーザーに必要とされる情報が一人一人に合った内容で送信されることである。これにより、リアルタイムなコミュニケーションができる。

 実際の例としては、株式会社アダストリアが運営する公式WEBストア「.st」と「LINEビジネスコネクト」が連携している。これにより、ユーザーの行動履歴に基づいたレコメンド情報を配信し、ユーザーに欲しい情報だけ届けられるようになった。ユーザーにとって、多くの情報から欲しい情報だけを探して見ることは大変であり、そのうち見なくなる。それよりは、欲しい情報だけを配信すると、ユーザーの心に響き、購買行動に繋がる。
「LINEビジネスコネクト」さらなる活用法はこちら→https://ecnomikata.com/ecnews/9453/

チャット形式でコミュニケーション
 最近では、チャットを利用した接客を行うECが増えてきた。そんなECの1つに、アスクル株式会社が運営する「LOHACO」がある。2014年9月より、テキストベースのチャット形式でユーザーの問い合わせに回答する人工知能型チャットボット“マナミさん”を導入した。

 “マナミさん”を導入する背景には、問い合わせの受付が午後6時で終了することにあった。ユーザーからすると「この商品について今聞きたいのに、問い合わせできないからやっぱり購入するのを辞めよう」となる。せっかく購入しようとしていたのに、それではもったいない。

 その点、“マナミさん”は365日24時間対応してくれるため、ユーザーにそのような思いをさせることは無い。忙しいユーザーは夜遅くにECに来ることもあるため、ニーズに応えて接客することが大切となるだろう。
チャットの活用法はこちら→https://ecnomikata.com/ecnews/9521/

CRM
 ユーザー一人一人に合った接客をし、繰り返し購入してもらうことが「CRM」である。新規のユーザーももちろん大切だが、それと同様に既存のユーザーも大切な存在だ。そのために、ユーザーの属性や購買履歴などから次にユーザーが求める「商品」を想定し、ユーザーに提案する。タイミング良く提案することで、購買行動に繋げていく。

 「CRM」に必要なことは、ユーザーのことを知り尽くすことだ。ユーザーが購入した商品を覚え、コミュニケーションを取る機会があれば、その商品に触れたり、さらに好きそうな商品があれば勧めたりする。そうすると、ユーザーは「自分のことをちゃんと分かってくれている」と認識し、何度もそのECで商品を購入するようになる。

 多くのユーザーを分析することはとても大変だが、それが何よりも「売上向上」に繋がるのではないだろうか。売上向上には、ユーザーの存在が必要不可欠であるため、大切にコミュニケーションを取ることが必要だ。

 EC上では、直接ユーザーの顔を見て接客することができない。そこが実店舗と最も異なる点だ。だが、そこを逆手にとって“ECならではの接客”をしてみてはどうだろうか。今回紹介した「LINE」「チャット」「CRM」に共通していることは、“コミュニケーション”である。ユーザーの中には、直接話すよりも文章を通した方が話しやすい人もいるかもしれない。また、実店舗は、ユーザーの顔を見ながら接客することができるが、人がたくさん来ると一人一人に合った接客ができなくなることもある。それは、ECでも同じことが言えるが、店舗よりは一気に多くの人が来ることは少ない。ECは、接客ツール等も活用することで、実店舗よりもユーザーとじっくりコミュニケーションを取ることができ、顧客満足に繋げることができる。このように、何よりも大切なユーザーとコミュニケーションを取り、好まれる接客をすることで“倒産”の危機から離れることができるのではないだろうか。


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