EC市場拡大の光と影、倒産増加の原因は?【東京商工リサーチ調べ】

ECのミカタ編集部

2015年度の倒産は調査開始以来、最多・・・

 株式会社東京商工リサーチ(以下、東京商工リサーチ)が2015年度の「通信販売・訪問販売小売業」の倒産状況の調査を行った。通販業界は参入障壁が低く、市場の拡大も加わり、地方の企業でも充分成長できる市場だ。一方、安定した経営のためには固定客が必要であるが、消費者の嗜好変化や口コミなどの評判に左右されやすく、マーケティングなど経営のかじ取りは難しい。また、通販サイトでの不正ポイント取得など、急成長に伴うコンプライアンス違反が発生しており、業界全体で取り組むべきモラルの向上など業界全体で取り組むべき課題がある。


 2015年度の「通信販売・訪問販売小売業」の倒産状況の調査結果では、倒産が74件(前年度比25.4%増、前年度59件)に達した。
これは調査を開始した2009年度以降では2014年度(59件)を上回り、年度ベースでは過去最多になった。また、負債総額は167億円4,600万円(前年度比228.7%増、前年度50億9,400万円)で、前年度より32倍増に膨らんだ。負債10億円以上の大型倒産が2件(前年度0)発生したことで、1件当たりの平均負債額が2億2,600万円(前年度比162.7%、前年度8,600万円)に増加した。

 調査を詳しくみると、インテリア用品や美術工芸品など「その他」が最多の26件(前年度比85.7%増、前年度14件)だった。次いで、アパレル関連などの「衣服・身の回り品小売」が22件(同29.4%増、同17件)、衣食住にわたる各種商品を扱う「各種商品小売」が14件(同33.3%減、同21件)で、家電などの「機械器具小売」は8件(前年度1件)と急増した。

業績不振に陥ると再建が難しい・・・

 形態別では、企業の解体・消滅である倒産が69件(前年度比27.7%増、前年度54件)で、全体の9割(構成比93.2%)を占めた。これに対し、再建型の民事再生法は2件で、企業の再建が難しいことを物語っている。原因別では、販売不振(業績不振)が49件(前年度比16.6%増)だった。次いで、他社倒産の余波が8件(同142%増)、事業上の失敗が7件(同40.0%増)、既往のシワ寄せ(赤字累積)が4件(同33.3%増)の順である。

 従業員数別では、5人未満が58件(前年度比11.5%増、前年度52件)になり、小規模事業者の倒産が全体の約8割(構成比78.3%)を占めた。また、2010年度以降に設立された事業者は20件(構成比27.0%)で、設立から日が浅い5年以内の新規事業者が約3割を占めた。

 2015年度の通信販売・訪問販売小売業の倒産件数が調査開始以来で最多になった要因には、スマートフォンやパソコン経由の取引拡大を背景に、中小企業のネット通販への参入など、据野の拡大が過当競争に拍車をかけていることが挙げられる。

 EC市場は、比較的参入しやすい市場ではあるが、その後の集客など、順調に売上を伸ばすのはなかなか難しい。新規顧客獲得はもちろん、一度来てくれたお客さんに再度来訪してもらったり、購入を促すなどさまざまな施策が必要になるが、特に中小規模の企業では、人手不足・時間が足りなくて手が回らないという状況になりがちだ。それが倒産にまでつながりかねない。

 EC市場は、参入しやすくとも、参入したら売れるというものではない。市場が拡大する中にあってはなおさらだ。入口だけでなく、その後の道のりも計画立てて考える必要がある。それは、分かってはいても、日々の売上に追われ始めると目前しか見えなくなることも多い。そうなる前に、あるいはそうなっていると感じたら、早めに助けを求めることも必要だ。市場が拡大するということは、それに関するサービスも充実するということで、今は、中小規模の企業でも利用しやすいサービスがさまざまにある。力を借りられるところは頼って、EC店舗には、ぜひEC業界をより盛り上げてもらいたいと思う。


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