2015年EC市場規模は前年比7%増、13兆7700億円に(経済産業省調べ)
2015年度「電子商取引に関する市場調査」発表
経済産業省より2015年度の「電子商取引に関する市場調査」の結果が発表された。それによれば、2015年のBtoC-EC市場規模は13兆7746億円、前年比7.64%増となった。2014年度までの過去5年間、BtoC-EC市場規模は前年比10%以上の伸び率で成長してきたことを考えると、市場全体は拡大しているものの、その伸びは鈍化している様子がうかがえる。
経済産業省は伸び率が低下した理由として、以下の3点を挙げている。
まず、「個人消費そのものがやや落ち着いていた」ということだ。内閣府が発表するGDP統計や、総務省が発表する家計調査などによれば、2015年は日本の消費額全体が落ち込んだ。消費の落ち込みの影響は受けたものの、BtoC- EC市場は成長過程にあるため、前年比超えの結果となったとみることができる。
次に「消費者の店舗回帰」。オムニチャネルに代表されるネットと店舗を融合させたチャネル戦略により、購買チャネルとして店舗を選択する消費者が、一時期に比べて増加したとの見方だ。
最後に「CtoC-ECの拡大」だ。これはメルカリやFril(フリル)などのフリマアプリ市場を指す。メルカリ上での月間流通金額は100億円を超えており、このようなCtoC-ECがBtoC-EC市場の一部を切り崩しているとの見方がある。
スマホ比率が伸長、「アパレル」「医薬品」で40%に
次にスマートフォン経由の市場規模についてみてみよう。BtoC-ECのうち”物販”に限定した市場規模は7兆2398億円であった。そのうち、スマートフォン経由の市場規模は1兆9862億円となり、スマートフォン比率は27.4%、まさに4人に1人以上がスマートフォンを活用して購入していることが明らかになっている。
ただ、スマートフォン比率はカテゴリーによってばらつきがあり、比率の高い「アパレル」、「医薬品」においてはそれぞれ40%程度を占めている。「アパレル」のスマートフォン比率が高いのは、女性や若年層など、アパレルに関心が高いユーザー層と、スマートフォンのヘビーユーザーが多い層とが合致しているため。「医薬品」のスマートフォン比率が高いのは、インターネット販売の解禁により、大手ドラッグストアが積極的に需要開拓を行っている傾向がみられるためと考えられる。
一方、”個人”というより”家庭”で消費される傾向がある「家電」や「食品」は他のカテゴリーよりもスマートフォン比率が低く、「家電」で約20%、「食品」で20%を下回る結果となっている。
かねてからEC市場は成長しているが、その成長は単一のものではないだろう。2015年ではフリマアプリやスマートフォン比率といった点でこれまでとの違いが見られたように、EC市場は日々変化している。成長市場に身を置くからこそ、流行や変化を敏感に感じ、求められる店舗を作ることが求められているのではないだろうか。