EC業界News1週間まとめ〜経産省調査、楽天に学ぶ「物販」

石郷“145”マナブ

こんにちは。メディア編集部 石郷です。トランキーロ!って言葉がマイブームです。わからないとは思いますが、どんな意味か、分かりますか?
さーて、今週、注目されたニュースはこちら!

【速報】楽天・Yahoo!のセール合戦、父の日開催!
https://ecnomikata.com/ecnews/9499/
EC市場規模13兆円、基盤となる日本市場動向とは?【経済産業省調べ】
https://ecnomikata.com/ecnews/9545/
モールで値下げせず、売り上げをあげるたった一つの方法
https://ecnomikata.com/ecnews/9507/
【行ってみた】てるくにでんき20周年パーティ【ECのミカタ】
https://ecnomikata.com/ecnews/9501/
「楽天がお中元に新提案、ECの進化に伴う変化とは 」
https://ecnomikata.com/ecnews/9527/
特別企画:ASPカートが見据えるECの未来【ECのミカタ】
https://ecnomikata.com/ecnews/9339/

電子商取引に関する市場調査〜ヤフーの英断に納得

電子商取引に関する市場調査〜ヤフーの英断に納得

 ショップの間で、特に関心が高かったのは、経済産業省の出した「電子商取引に関する市場調査」の話題です。2015年のBtoC-EC市場規模は、13兆7,746億円(前年比7.6%増)に。EC化率は、4.75%(対 前年比 0.38 ポイント増)となりました。

 BtoC ECをいくつかの分野に分けており、いわゆる物の売り買いをする「物販系分野」では、7兆2398億円で、伸び率が6.4%とあります。ただ、一方で、スマホなどでネットが身近になったことで、生活をより便利にしてくれる、デジタル系やサービス系での伸びは、それを上回るペースになっていて、よりネットが生活に密着している感じがします。

 具体的なところでいえば、電子書籍などの「デジタル系分野」では1兆6334億円で、伸び率が8.1%と高く、旅行や飲食のサービスを示す「サービス系分野」ではもっと伸び具合が顕著で4兆9014億円、伸び率9.4%と高くなっています。ふと、これを見ていると、ヤフーが約1000億円を投じて、高級ホテルの予約サービスの一休を完全子会社したことを思い出しましたが、このデータだけでは楽観視はできないですが、その着眼点は、納得のいくところではあると思います。

生活家電等は市場規模1兆3,103億のうち、EC化率は約3割!

 また、ひとえに、物販系分野と言っても、ジャンルは様々ですが、市場規模が大きいとされるのは「衣類・服装雑貨等」「生活家電・AV 機器・PC・周辺機器等」 「食品、飲料、酒類」「雑貨、家具、インテリア」。これらの 4 カテゴリーは全て市場規模が 1 兆円以上で、4 カテゴリー合計で物販系分野の 7 割以上を占めています。

 では、EC化率はどのくらいかというと、目立ったところでは、生活家電、AV機器、PC周辺機器は市場規模1兆3,103億のうちEC化率は28.34%で3割に迫ります。雑貨、家具、インテリアでは市場規模1兆2,120億円のうちEC化率16.76%で、これらのカテゴリーでは着実にネットショップを使うという人が増えています。ちなみに、衣類・服飾雑貨については市場規模1兆3,839億円でEC化率9.04%、食品、飲料、酒類に至っては、市場規模1兆3,162億円でEC化率は2.03%で、まだそれほど浸透しているとは言えないかもしれません。

 また、時代を映し出す要素としては、BtoC-ECのうち”物販”に限定した市場規模が7兆2398億円のうち、スマートフォン経由の市場規模は1兆9862億円。スマートフォン比率は27.4%になっているわけです。ここ最近、ヤフーや楽天がスマホのアプリを使うとお得になる動きはこうした流れを踏まえれば、うなづけます。

 EC市場規模を考える上で、スマホの影響は大きく、結果、「買い物」をしやすくしてくれているように思えます。スマホ経由での購入機会が増える一方で、スマホの進化により、実店舗とECとの垣根もなくなって、結果、実店舗に取られていることも、若干、EC化率の伸びに待ったをかけているかもしれません。でも、スマホを握りしめ、環境に合わせ、実店舗とECのどちらで買うのがベストかを、お客様自身が、選択しやすくなることは、「買い物」が触発され、ECにも好材料だと私は思います。ただ、大事なのは、店舗の側の意識で、旧態依然のやり方にとらわれるのは得策ではなく、環境の変化を考慮した施策を一つ一つ考え、打っていくことが大事なのかなと思いました。

モールで値下げせず、売り上げをあげる極意とは

モールで値下げせず、売り上げをあげる極意とは

 注目度が高かった記事が、「モールで値下げせず、売り上げをあげるたった一つの方法」です。テラオの佐々木さんやコルクの佐渡島さんのトークショーを切り出した記事です。ここでは、商品があることによるシチュエーションが大事だって話をされていて、その中で、コルクの佐渡島さんが、他人の感情や日常を変える商品を生むかどうかが大事だと話しています。価格やポイントじゃない価値って大事だよね、と思います。

 コルクの佐渡島さんは、作家のエージェントで、その価値を高めるものとして、ECを見ていて、その考えがECの側から見ているとハッとさせられます。そんな意味で、以前、会いに行った時にも、独特な目線で、こんな話をしていたんです。「確かに、皆さん、売る工夫は、すごくされている。だから、ECって本当に便利なんですよ。でも、便利ばかりでいいのかな、って思うんです。」と。

 どういうことかと聞いてみると、この返事もまた面白い。「例えば、送り迎えをしてくれる彼氏や、食事をおごってくれる異性の友達って、便利だから、すっと友達だと思うんです。でも、なかなか恋人に昇格できないじゃないですか?」というわけなんです。

 その上で、その時、佐渡島さんが、最後に強調したのが「そこで大事なのは、人が本気で付き合うときの態度を取った方がいいってことなんじゃないかと思うんです。」ということを言っていて、なるほどな〜と思いました。この記事でも、同じような考えが垣間見れて、ECにとって本当に大事なものに気づかせてくれるように思うのです。商品の大事さそっちのけで、ポイント還元に気を取られちゃダメなんですよね。セールの真っ最中だからあえて意識するべきじゃないかな〜などと思います。そう、都合のいい人になっていませんか?と。

次のページでは「ASPカートの本質に迫る!」

伝統的なお中元に、ネット通販がもたらす斬新な切り口

伝統的なお中元に、ネット通販がもたらす斬新な切り口


 読まれた記事で気になるところでは、「楽天がお中元に新提案、ECの進化に伴う変化とは 」です。この記事は、一見すると古風な伝統であるお中元を、楽天がアイスにスポットライトを当てて、そういう伝統に、ネット通販を活用することを提案をしていることがポイントだと思います。思うに、楽天はいまや4万店舗以上を抱えて、どうやってその一つ一つのお店にスポットライトを当てようか、という部分を意識しているように見受けられます。時期が来れば、ある一定のテーマで楽天内で、店や商品を“編集”するわけです。
 そう思うと、モールの使命は、ちょっと変化していて、ある意味、“編集力”が求められるようになってきているんじゃないかな。モールのメディア化とでもいいましょうか。

 例えば、今回のように、企画によっては、取り立てて通販では印象の薄かったアイスが、ここまで奥が深く、お中元との相性がいいことを知る機会になります。こういう企画を実施することで、多くの人が、自宅やスマホの空き時間で、店や商品をきっかけに、お中元の良さに気づくことになりますし、非常にいいことだとは思います。

EC業界の“古きを知り新しきを知る”

EC業界の“古きを知り新しきを知る”

 そして、今週から「特別企画:ASPカートが見据えるECの未来」を始めました。ASPカートのパイオニアであるEストアーの石村社長に、失礼ながら、Eストアーの話ではなく、創業時、ASPカートに抱いた思いを聞きに来たと切り出しました。

 思いがけず、こんなことを言いました。かつては、パソコン通信という限られた中でのコミュニケーションしかなかったのが、93年、インターネットが生まれ、そのコミュニケーションは、一気にボーダーレスになった。その光景を、目の前に果てしなく広がる大地と言ってのけ、そして、そこで一人一人がショップを持ったとすれば、それは全世界に自分の商品をアピールできる、こんな興奮はなかったと振り返りました。ネットの醍醐味は、改めて、どこに対しても挑めるくらいに、その可能性に満ち溢れているところにあります。ASPカートで、世の中に、挑む、そのドラマは夢があります。商売の原点をそこに見ました。ASPカートが本領発揮するのは、むしろこれからなんじゃないかなとも思いました。

 そして、その特別企画は、そのASPカートの各社への取材と続きます。トップバッターは「CART STAR」が登場します。6/20 7:00に公開予定です。

 そして、時を同じくして、20年前にネット通販に挑み、そして、荒波を乗り越えた人たちの姿が、東京光が丘にありました。「てるくにでんき」の堂園さんです。僕もまた、彼らが開催する20周年パーティに参加させていただき、とても感慨深くその光景を見ました。最初に、2000年当初の日本テレビの番組に取り上げられた際のVTRが出て、自分のネットショップを始めたのに、そこに誰もアクセスしないから、サクラで自分で訪問していました、といった話をパソコンの前で話す、堂園さんの姿が流れていて、少し胸にくるものがありました。これほどまでネットが浸透するという保証もない中、さぞかし不安もあっただろうと。その勇気には拍手を送りたいなと思いました。

 そして、その場所には、そういった苦い経験を味わった、20年選手が沢山詰め掛け、お互いでお互いを讃えあっていました。インターネットは20年ほど前に門戸が開かれ、多くの人がそれによって、新たなビジネスに巡り合い、そこで得た最大の財産は、この同志にあるんじゃないかと思いました。技術が世界を変え、人々を変えて、人との巡り合いが感動を呼び込む。インターネットの偉大な功績をそこに見た気がしました。

 今もまだ、ネット通販は始めに書いた、経産省の話の通り、成長の途中です。我々、ECのミカタも、そういった店舗さんの近くに寄り添って、いつかまた、この先で、巡り会えてよかったと言われる同志になれるよう、頑張りたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

 それでは、また来週、お会いしましょう。どうか笑顔の1週間でありますよう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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