夢の実行を手助け「Makuake」の真相に直撃!
大きな夢を掲げても、お金の問題で諦めてしまう。それが価値のあるモノならば、もったいない。その問題を解決するために、「Makuake」が誕生した。「Makuake」とは、夢を実行するための必要な資金を支援してもらう人を募集するプラットフォームである。その真相を知るために、株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングの取締役 坊垣佳奈氏に話を伺った。
想いが通じれば、人は支援する!
「叶えたい夢がある。絶対夢が叶ったら面白い!」と思っている人は、いないだろうか。夢を持つことは、誰にでもできる。だが、その夢に向かって行動する人は少ない。行動をしない理由は様々あるが、その一つが「お金」である。大きいことをしようとしている程、お金が多くかかってしまう。自分だけではどうすることもできずに、夢を夢のままで終わらせてしまう人が多いのではないだろうか。それをサポートしてくれる存在が、株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング(以下、サイバーエージェント・クラウドファンディング)が運営するクラウドファンディングサービス「Makuake」である。
「Makuake」とは、プロジェクトを実行するために必要な資金を、インターネットを通じて支援してもらう人を募集するプラットフォームだ。そのプロジェクトが「面白い」と認識すると、人は応援したくなる。それが世の中のために必要なことならば、なおさら賛同をしてくれる。
クラウドファンディングは、個人が夢を叶えるというイメージが大きい。その例は、震災の際の寄付サイトだ。「人の役に立ちたい」という素敵な思いが寄付サイトとなり、多くの寄付を集める。そのような個人が夢を叶えるという背景があるが、「アメリカでは、どちらかというと新しい商品の開発の段階でプロモーションと兼ねて行っているのがメインであるため、そちらの方が広がる」と坊垣氏は考えた。このように考えを変えてみることによって、企業の事例が伸びていった。その事例の1つは、以下の通りである。
【事例】
車の部品を売っている中小企業がある。その企業には、「電球の領域に参入したい」、「オシャレなLED電球を作りたい」という夢がある。だが、いきなり商品を作って店舗に置いてもらうことは難しい。その分、リスクもかかってしまい、そもそもニーズが分からなければ売ることができない。その問題を解決するためにもMakuakeを活用し、まずはニーズの調査を行った。その結果、1,000万以上の人の回答が集まった。
名前を知られていない会社なのに、回答してしまう心理は「モノを作りたい想いや背景などを汲んで支援したくなるのではないだろうか」と坊垣氏は語る。たしかに、店舗に並んでいる商品には作り手の想いや背景が書いてあるわけではない。それは、店舗もECショップも同じことだ。だが、Makuakeではそれを知ることができる。その想いに感動し、心が動かされ、「支援をしたい」という気持ちになるのだ。また、「このMakuakeは店舗に向けて開発したが、実際は思っていた以上に個人が多く支援している」と坊垣氏は話す。それは、やはり人の想いが心を動かしていることが分かる。
Makuakeの出資の状況!
実際にお金を出資する人の年齢層は幅広く、20代後半から40代が主に支援している。例えば、大学生が出している商品は大学生同士の口コミが広がり、支援が集まる。また、スマートフォンで撮影すると実家のテレビにすぐ届く「まごチャンネル」という商品は、支援をしているのは子供の親だが、実際に使っているのは子供の祖父母となる。そのため、実際に支援をするのは親世代の30代だが、使うのは祖父母世代ということもよくある。Makuakeも、ECサイトと同様に商品別に支援をする年代が異なる。MakuakeとECサイトの違いは、世の中に存在しない新しいものを開発する所だ。
出資の仕方は、主にクレジットカードを利用する。これに関しても、ECサイトと変わりが無いが、Makuakeは商品を購入するだけではない。例えば飲食店だと支援をしてくれたユーザーに食券を渡すこともできるため、ECサイトよりも幅広く、ユーザーとコミュニケーションが取れる。また、映画に出資すると、エンドロードに自分の名前が載る。それを知ったときに、ユーザーは「価値があるモノにお金を出して良かった」と思うことができる。このように、出資をすると特典が付くことが多い。さらに企業によっては、そのユーザーを呼んで座談会を開き、商品を購入した人に直接話を聞くこともできるため、リアルなマーケティングとなる。
平均の出資額は、約70万~80万である。だが、半年程前までは30万~40万だった。この半年の間に、「いかに商品を面白くオシャレに見せるか」を考えて実践すると、ページにアクセスする人が増えていった。そのため、純粋に1つ1つにちゃんとお金が集まるようになった。出資額が増えた大きな理由は、「コンサルティングをちゃんとしていることが大きい」と坊垣氏は話す。他サイトでは、管理画面を用意して「作ってね」という感じの所もあるが、Makuakeはちゃんと知識を教えて、確実に商品が売れるようにしているそうだ。このような土壌を作っていくことによって商品が売れるようになり、さらに支援する側も安心してお金を出すことができる。このように、ちゃんと支援していくからこそ、それが結果となり、出資額が増加していった。
商品の価値を知ってもらいたい!
Makuakeは、金融機関とも提携している。夢を叶えるために、お金を金融機関に借りようとしても、なかなか貸してくれないことが多い。そのような状況が続くと、価値があるモノがどんどん埋もれていってしまう。それを解決するためにも金融機関と提携している。Makuakeで「こんなにお金を出資してくれる人がいる」と証明することができれば、今度は逆に金融からお金を貸してもらえるようになる。金融機関も価値があることを認識すれば、プロジェクトを支援してくれる。これ以上、価値があるものが埋もれていかないためにも、Makuakeが世の中の認識を変えていく。
その他にも、Makuakeで誕生した商品が「渋谷モディ」や「伊勢丹新宿本店」で展示されている。これにより、多くの人に商品を見てもらうことができる。実際に夢が叶っている姿を見ることができ、その姿に勇気付けられて「もう一度夢を追い続けよう」と心に決める人も多いだろう。それがMakuakeの狙いでもあり、自分の心に眠っている夢をもう一度覚めさせようとしている。夢を諦めると、後悔として残る。人生を振り返ったときに「あの時、もしも夢を追い続けていたら、今とは違う人生を歩んでいたのではないだろうか」と思うことがあるかもしれない。そう思う人を一人でも多く減らすために、Makuakeは夢を持っている人を応援し続けているのだろう。
坊垣氏は、「今後は、海外にも進出したい」と語る。もちろん、国内でお金を集めることも大切だが、海外の人にも日本の価値がある商品の良さを知ってもらいたいそうだ。「爆買い」という言葉があるが、そもそも爆買いをしている人は、商品の良さを分かって買っているのだろうか。そこに注目をし、海外進出を見込んでいる。ただ、ここで大切なことは「Made in Japan」であるということだ。海外に進出しても、商品を作っているのは日本であることを徹底していきたいそうだ。
Makuakeは、ただ夢がある人の背中を押しているのではない。ちゃんとしたサポートをしてくれ、支援者が集まり、夢が実現するための力を貸してくれる。そして、Makuakeで夢への想いが人に伝わることができれば、支援をしてくれる人が多くなる。まずは、言葉で想いを存分に伝える必要がある。しっかりとした言葉で熱い想いを述べると、必ず人に伝わる。そういう想いを持った人が集まるMakuakeだからこそ、支援をしてくれる人が集まるのだ。今後も、これを利用して夢を実現する人が増え、価値がある商品が開発されていくことだろう。