ひとり・ひとつ オンラインストアを 持つ時代を作る。

ECのミカタ編集部

EC市場の裾野を広げ、全く新しいカルチャーをつくり出しつつある「簡単EC市場」。それはEC業界の発展にとどまらず、今までにない価値観や経済活動の可能性までも感じさせる。市場を牽引する(株)ブラケットの代表取締役CEO光本氏に、その将来性と展望をうかがった。

——「STORES.jp」はECで起業する人向きのサービスですね。

オンラインストアは目新しいものではありませんが、一般の方が作ろうとすると専門的な知識や技術が必要で、外注しなければ作れません。その状況に対して、STORES.jpは誰でも簡単に、webの知識が無くてもオンラインストアが作れるサービスです。今までのショッピングカートが展開されていた市場と、STORES.jpのエリアは違っていて、おそらくストアオーナーもほとんどかぶっていない。新しいユーザー層、新しい市場を作れていると思います。このマーケットは「簡単EC市場」「インスタントEC市場」などと呼ばれています。

——簡単EC市場は、業界を大きく広げているように見受けられます。

2012年9月のサービスリリース以来、8万店以上のストアが開設されていますが、5~6割が個人のショップオーナーで4割が実店舗を持っている方や法人・個人事業主です。イメージとしてはEC市場のピラミッドの中に色々なプレーヤーがいて、上の方では年商何億円という売上を上げるストアに提供されるシステムがある。中間層は月間数十万から数百万の売上を上げるストアに対して、ショッピングカートなどを提供するASP業者がいる。そのEC市場のピラミッドの中でやっているというよりは、それを伸ばした下の部分で、簡単にオンラインストアが作れる市場を開拓しながら作っている認識です。

——EC業界はこれからどのようにマーケットが伸びていくと思いますか。

今までEC業界は、あまり形態として進化していなかったのではないでしょうか。店頭に並べて買うか買わないか。欲しい人は買うし欲しくない人は買わない。ECはそのやり方で10年~15年きていましたが、最近はさまざまな手法が出てきています。ECで消費者がオーダーメイドでものを買う形態もあれば、売る側も今まで主体だった法人だけではなく、個人やスモールビジネス単位の方がEC市場にプレーヤーとして出てきています。最近個人が立てるようになったと言われますが、これはFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアが発展し、個人がメディアになって発言力を持ってきたからこそ。今後はコミュニケーションという軸だけでなく、色んな軸で個人が力を持ってくるのは目に見えています。そのひとつがお金という軸。今はまだほとんどの方が会社に所属し給料をもらっていて、お金という軸では個人が立てる時代にはなっていません。しかし近い将来、自分のコストを自分で稼ぐ時代になってくる。そのひとつの手段として、自分のオンラインストアで稼ぐというカルチャーを作りたい。EC業界には、まだまだものすごい可能性があると感じています。

——新しいマーケットを作ったブラケットは、今後どう展開していくのでしょう。

私たちの最終的なゴールとしては、ひとり・ひとつオンラインストアを持つという時代、カルチャーを作りたいと思っています。ひとりひとつFacebookやTwitter、ブログのアカウントを持っているような感覚でオンラインストアを持つ。そういう世界が作れたら、ものすごく面白いんじゃないか。例えば自分の名刺にFacebookやTwitterのアカウントを書く方が増えていて、名刺交換した後にプロフィールを覗き合うというカルチャーができている。そんな感覚で、自分の名刺に自分のオンラインストアのURLを書き、覗き合うというアクションも出てくる。オンラインストアにも個性や特徴が出てくるので、「オンラインストアの世界感もおしゃれだね」「あの人が売っているものは面白いから買ってみよう」という感じで、個人の間でものの売買が発生する機会が増えてくるんじゃないかと思っています。今の状況はブログが出た頃に似ています。ブログが出た頃はみんなが日記を書くカルチャーはありませんでした。今ではブログがマスサービスになり、ひとり一個ブログを持つ時代になって、みんながブログを書くカルチャーをブログが作っていった。それと同じように今の時点で「売る物がない」という人も、ネタを見つけて展開してくようになっていくのではないでしょうか。

——オンラインストアは自分の世界を表現する場にもなり、夢がありますね。

私たちが今リソースを割いているのは、ストアオーナーに満足していただける「売る体験」を提供することです。集客力のあるメディアやモールと提携し、例えばYahoo!ショッピングに商品を掲載することができたり、アパレル関連の商品であればZOZOTOWNに、ハンドメイド系の商品はユザワヤのwebサイトに商品が出せたりする仕組みを構築しています。今まではBtoCしかありえなかったECの世界で、新しい経済圏を作っていくこともできるんじゃないか。そんなことが自分たちの手でできたらすごく面白いんじゃないかと考えています。


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