ユーザーに合わせた検索結果を表示する検索ソリューション『S4』導入で、さらなるWow!体験を
今日のECビジネスにおいて、ユーザーが目的の商品にスムーズにたどり着くための検索エンジンが、正確にニーズに即した検索結果を表示できるかは、ECサイトの成長のための大きなキー・ファクターである。より精度の高い検索エンジンの導入により、さらなる成長を加速すべく、『Supership Search Solution』(以下、S4)を導入したWowma!を展開するKDDIコマースフォワード株式会社(以下、KCF)の安保 友彦・松坂 真紀両氏と、『S4』の開発に携わったSupership株式会社(以下、Supership)の宇都宮 紀陽・風間 健太郎両氏に、お話を伺った。
より精度の高い検索という“感動体験”の提供で、さらなる成長を目指すWowma!
――Wowma!の特徴や、S4導入の背景などをお聞かせください。
安保 DeNAショッピングと、KDDIのauショッピングモールが統合する形で、今年1月に誕生したWowma!は、現在、商品点数が約3000万点、店舗数が約6000店舗にまで拡大し、出店店舗様のご支援、ユーザーの皆様のご愛顧で、総合ショッピングモールとして順調なスタートとなりました。Wowma!は世の中のECでの購買行動が合理性を追求する傾向にある中で、“買い物体験を通じて、感動を提供する”というコンセプトを掲げています。また、ユーザーに対して感動体験を提供することと併せて、出店されている店舗様にとっても、ビジネスの成功につながるようなプラットホームとして価値提供し続けることを目指しています。
そのため、検索エンジンを刷新するにおいても、単に「目的とする商品にたどり着ける」というだけでなく、ユーザー自身が普段は目に留めないような商品と出合える仕組みにすることで、ユーザーには感動のある買い物体験を提供しつつ、出店店舗様の販売チャンスの拡大にもつなげたいと考えました。
松坂 そのためには、「検索エンジンがユーザーのニーズにより幅広くフィットする検索結果を返す」ということが重要になります。また、その前段として、まずはより正確な検索結果を表示できるよう強化しなければならないと考えました。
そうした目的で検索エンジンを検討していくと、Supershipの『S4』が最も適しているだろうという結論になり、導入が決定しました。
ポータルサイトの検索で培った技術を、ECサイトの検索に活かした
――『S4』の優位性はどんな点にありますか
宇都宮 もともとSupershipでは、auが運営するポータルサイト『auWebポータル』での検索エンジンの運用実績があり、今回、KCFが導入してくださった『S4』は、そこで蓄積してきた技術的知見を、主にECサイト内の検索用に技術転用して開発したシステムです。ポータルサイトにおける検索エンジンでは、ニュース検索やリアルタイム検索など、検索の多様性に対応する必要があるため、検索結果を向上させるための辞書などを日々メンテナンスし、蓄積していきます。今回、そうした辞書をベースにしつつ、さらにWowma!用にシーズナルな用語なども追加登録することで、検索精度を高めました。
また、会員がログインしてからの検索行動にあたっては、パーソナル性を加味した検索結果が表示されるようにすることはもちろんですが、弊社が保有するDMPとの連携によって、ログインしていないユーザーに対しても、例えば、ファッションアイテムであれば性別等を判別してメンズ向け・レディース向けで検索結果を出し分けるなど、適切な検索結果の表示をすることが可能です。この点は、S4の大きな強みになっていると自負しています。
短期間に、商品クリック率が120%も向上したという『S4』の実力
――『S4』導入のメリットは実感できていますか
松坂 『S4』の導入は、2017年6月からなので、まだ3ヶ月程度しか経過していませんが、すでにその成果はあらわれています。
Wowma!の場合、検索エンジンが使われる割合は、6~7割といったところですが、『S4』を導入してからは、検索結果の商品クリック率が120%向上しています。これは、検索エンジンのクリック率の高さが下支えとなりつつ、Wowma!の特性に応じた検索エンジンのチューニングが適切になされた結果だと分析しています。
また、キーワード検索の際に、出店店舗様が登録している商品のカテゴリーに応じて検索結果が表示されるようにしたことで、これまではユーザーが検索単位ではたどり着くことがなかった商品でも、商品のカテゴリーからたどり着くようになったことで、店舗様からも高く評価いただけています。ほかにも「検索結果の向上が売上の向上とリンクしている」といったお声をいただいています。
風間 Wowma!に『S4』を導入するにあたっては、導入の2ヶ月ほど前から、事前分析を実施しています。具体的には、あらかじめ、どんなキーワードが多く使われているか、どんな商品が売れているのかといったことを一定期間かけて細かく分析し、その分析結果を辞書の内容や検索表示に反映するように調整しています。
もともとの『S4』の基礎機能もかなり充実したものではありますが、そこに、分析に基づいてWowma!の特性を踏まえた辞書整備や並べ方の調整をしたことで、運用を開始した時点でかなり精度の高い検索結果の表示が可能になっていました。
通常、検索エンジンをリプレイスすると、最初の段階では導入サイトの特性に合わず、十分な効果を発揮できないことが少なくないのですが、Wowma!では、そうしたこともなかったのではないかと思います。
松坂 S4導入当初でも商品クリック率などの低下は見られず、スタートから向上のための改善に取り組めたことは、出店店舗様へ不安を与えることなく機能の切り替えを行うことが出来たのと、現場にとっては工数の削減にもつながった点で評価できる結果だと思います。
宇都宮 また導入後のチューニングも、初期の段階ではデイリーに対応し、さらに精度を上げるべく、担当スタッフが取り組みました。導入して3ヶ月が経過した今では、デイリーでチューニングすることはありませんが、それでもかなりの頻度で、チューニングは継続しています。
次なる戦略は、パーソナライズ化への対応
――今後の展開について、目指す方向性があれば、お聞かせください
安保 検索の利便性向上という点においては、『S4』の導入によって、成果に結び付いたので、その成果を受けた今後の方向性としては、パーソナライズ化を進めていきたいと思っています。現在でもauユーザーに対しては、一定のパーソナライズ化は可能ですが、今後はオールユーザーに対してのパーソナライズ化やレコメンドの精度向上も進めていきたいですね。また、出店店舗様に活用いただく新しい広告メニューも検討中なので、この点でもSupershipのノウハウやナレッジを活用していきたいです。
風間 Wowma!は、今後、着実にユーザー数や取扱商品点数などが増加していくと思いますので、ユーザー数や商品数が増加し続けていく過程で「いかにスピード感を落とすことなく精度の高い検索を維持するか」というのが、弊社が取り組むべき課題となります。ユーザーに合わせた検索結果を表示させる機能に関しては、Wowma!がECサイトでの初の導入先となる予定です。すでに、そのための開発は進めていますので、Wowma!の成長スピードに遅れをとることがないよう、Wowma!がユーザーに提供していく感動体験をさらに高める機能を提供していきたいと考えています。