『入金待ちキャンセル』を軽減。BtoBでも活用されるAmazon Pay
飲食店を対象に業務用厨房機器・調理道具など20万超のアイテムを提供する日本最大級の厨房機器専門サイト『テンポスドットコム』。商材の特性などから原則として入金確認後に商品を発送するため、簡便でよりスピーディーな決済手段の提供は、顧客の利便性を高める上で重要な課題だった。その課題解決に向けた施策のひとつとして導入したのがAmazon Payである。株式会社テンポスドットコムの統括マネージャー 品川 絵美氏に、Amazon Pay導入の経緯やその効果などについてお話を伺った。
先払いが原則なので、注文時に決済までできる支払い方法の拡充が課題でした
日本最大級の規模で飲食店向けの業務用厨房機器や調理器具、業務家具等を販売する『テンポスドットコム』では、月間注文数が多い時には5,000件を超えることもあるという。先払い方式なので、クレジットカード利用であれば注文時に決済が確定し、すぐ商品発送に至るが、顧客が銀行振込などを選択した場合には入金確認後の商品発送となる。そのため注文は成立したものの、入金がなされないままキャンセル扱いになってしまうケースが少なくなかったという。
「銀行振込のように、後日入金手続きが必要になる決済方法では、どうしてもお客様に"振込"という手続きをお願いすることになります。そのため、クレジットカード決済のように、注文時にスムーズに決済までできる支払い方法のバリエーションを増やすことは、喫緊の課題でした。当社がサイト構築のベースとして利用しているFutureShop2とAmazon Payの連携が開始された2015年に、すぐさまAmazon Payを導入しました。」と品川氏はその経緯を説明する。
しかし、個人顧客による利用が多いAmazon Payを、BtoBビジネスである『テンポスドットコム』が導入することに対して懸念はなかったのだろうか。この点について、品川氏は次のように説明してくれた。
「確かに当社はBtoB向けのビジネスを展開している企業ですから、Amazon Payを導入してもお客様のメリットにつながらないのではないかという声もありました。しかし、実際には日常的にAmazonでお買い物をされている新規開業のオーナー様を中心にAmazon Payを積極的にご利用いただいています。」
注文確定までの時間短縮と入金待ちキャンセルの低減、さらには信用力の向上にAmazon Payが貢献
Amazon Pay導入前にほぼ半々だったクレジッカード決済と銀行振込の利用割合は、最近ではクレジットカード決済(NP後払い分を含む)が約50%、銀行振込が約35%、そしてAmazon Payが約15%になっているという。
「従来、銀行振込を選ばれていた一部のお客様がAmazon Payの利用へとシフトし、結果的に銀行振込の割合が減ったことによって、注文確定までの時間が大きく短縮しました。また、総注文数に占める入金待ちキャンセル扱いの件数が低減したことで、最終売上の底上げにつながっています。さらに、高額な商品のご注文であっても、Amazon Payを利用されるお客様が想定以上に多いことがわかりました。」と品川氏は言う。
また、Amazon Pay導入の副次的効果についても、品川氏は次のように言及してくれた。
「ECサイトでの販売や通信販売だけでなく、全国の実店舗で実際に商品をご覧いただける点やメディアでの紹介を通じて、当社への信用度・信頼感が高まっていることを実感する中、決済方法としてAmazon Payのロゴが表示されることで、さらにお客様からの信用が高まっていると感じます。『テンポスドットコム』なら、安心して買えるという評価につながるという点もAmazon Pay導入のメリットだと考えています。」
飲食店ビジネスのトータルサポーターを目指し、多様なサービスを積極展開
飲食店向けの業務用厨房機器等の販売においては、すでにトップランナーと呼べるほどの市場ポジションを獲得している『テンポスドットコム』だが、ホールディングス経営によって、厨房機器等の販売会社だけでなく、飲食店向けの多様なサービスを展開する関連会社も擁している。今後はそのグループ力を最大限に活用して、飲食ビジネスにおけるあらゆるソリューションを提供するトータルサポーターを目指すという。
「飲食店業界は競争の激しい世界です。外食産業における新規店舗の5年以内の継続率は45%程度だといわれています。当グループとしては、この継続率を90%に引き上げることを目指して、飲食店に多様なサービスを提供していきたいと考えています。その中核に位置付けられるのがテンポドックというサービスです。飲食店の経営やプロモーション等に関する診断と処方箋をリーズナブルに提供することで、個々の飲食店の成長・発展に寄与していきたいと考えています。」と品川氏。
グループ内で独自経営しているステーキ専門店「ステーキのあさくま」でノウハウを蓄積し、そのノウハウをテンポドックを通じて多くの飲食店に提供することで、飲食店経営を支援していくのだという。
「自社で蓄積した飲食店経営のノウハウをパッケージにして、これから飲食店を開業したいという方や、悩みを抱えている飲食店をサポートするサービス展開をしていきたいと考えています。」
BtoBビジネスのさらなる進化はもちろんのこと、飲食店経営などBtoCへの事業拡大にも余念がないテンポスグループの今後から目が離せない。同時に、BtoB中心のEC販売を行う『テンポスドットコム』において、Amazon Payの導入が成果に結びついていることも、Amazon Payの大きな可能性を示す事例として、注目に値するといえるだろう。