【独占潜入】ヤマトロジスティクスの最新ソリューションで商品の価値を上げる
消費者視点に立てば、同梱物も梱包も「商品」に含まれる。それらの価値を向上させることは、結果的にCS向上にも繋がる。しかし、実現のためにはいくつもの課題がある。
そこで物流の現場で最新のソリューションを活用し、商品の品質を安定、さらに商品発送までのリードタイム短縮を提案するのが、ヤマトロジスティクス株式会社(以下、ヤマトロジスティクス)だ。同社の販売物流サービスカンパニー 東日本オペレーション主管支店 厚木ロジセンター センター長 長川 作世氏に、最新のソリューションを伺った。
厚木に誕生したヤマトグループの総合物流ターミナル
「厚木ゲートウェイは、ヤマトグループのスピード輸送ネットワークと付加価値機能を一体化させた総合物流ターミナルで、2013年8月に竣工しました。ヤマトロジスティクスの厚木ロジセンターは、ECで販売される食品、健康食品、雑貨、アパレルなど様々な商材に合わせた最適なサービスをお客さまに提供しています。もともと厚木はEC事業者様の拠点が多いと言われており、EC物流へのニーズが多い場所です。ヤマトグループは、厚木ゲートウェイの稼働後、2016年に中部ゲートウェイ、2017年に関西ゲートウェイを開設し、関東・中部・関西を結ぶスピーディーで高効率な輸送ネットワークが完成しました。3拠点間の多頻度幹線輸送により、国内主要都市間の配送リードタイムを短縮することができるようになりました。厚木ゲートウェイでも、このネットワークを活かし、東日本のEC事業者様だけでなく、中部・関西のEC事業者様にとっても、リードタイム短縮というメリットを提供できるようになります。
こちらの施設(厚木ゲートウェイ)は、全館25度前後の室温に保たれています。その中には約400坪の低温倉庫と約30坪の冷凍倉庫があり、三温度帯の管理ができます。」(長川氏)
厚木ゲートウェイが完成した当初は常温(定温)の倉庫のみだったが、設立から4年目の2016年11月、クライアントの要望を受け、低温倉庫と冷凍倉庫を設けたという。
「お客様のニーズに合わせて施設の機能拡充を行っています。」長川氏がそう語るように、厚木ロジセンターは開設後も順次様々な設備や機器を導入し、クライアントのニーズに沿った仕組みづくりを行っているのだ。
「保管料を抑えたい」お客さまに応える在庫フリーサービス
「既に自社の倉庫を持っているEC事業者様の場合、お客さまへの配送リードタイムを短縮するために消費地圏の近くに拠点を増やしたいという思いはあっても、外部の倉庫に支払う保管料が新たに発生することを懸念するケースが多々あります。そのようなEC事業者様には、我々の『在庫フリーサービス』をご提案しております。『在庫フリーサービス』は、EC事業者様のメインとなる物流拠点から翌日発送する分のみをトータルピックし、厚木ロジセンターなどヤマトグループの拠点に運び込み、流通加工や梱包、発送業務をするサービスです。もちろん、翌日分だけでなく1週間分を纏めて保管するといった運用も可能です。ヤマトグループに必要最小限の在庫を預けていただくだけで、加工や発送までトータルでサービスを利用することが可能となります。
実際に、九州に自社倉庫を持つEC事業者様がこの『在庫フリーサービス』を利用されています。現在、厚木ロジセンターで運用していますが、関東のお客さまへの配送リードタイム短縮と保管コスト削減が実現できた、とご好評いただいております。入庫された商品をすぐに発送作業するため、ウェアラブル端末やデジタルピッキングシステムを導入し、入庫処理から発送処理まで、確実にかつスピーディーに作業できる環境を整えています。」(長川氏)
最新ソリューションを積極採用!日々変化する厚木ロジセンター
百聞は一見にしかず、ということで実際に施設内を案内していただきながら、最新のソリューションについて話を伺った。
■ITを活用した作業効率化
「これは、先ほどお話した九州のEC事業者様の商品の入庫処理に使用しているウェアラブル端末を活用した音声認識システムです。『在庫フリーサービス』では、入庫された少量多品種の在庫をいかにスムーズに仕分けするかがポイントになります。
従来は、商品が入庫されると、A4の用紙に品番、商品名、数量を記入し入庫検品を行ったあと、その用紙を見ながら棚付けをしていました。このEC事業者様の商品には2つの温度帯、また単品で発送するものと、セット商品にして発送するものがあるため4種類に仕分けする必要がありました。商品の種類が数百種類あるので、入庫検品や、棚付けの作業などを行うにも、商品知識がある人しか作業を担当することができず、また作業に多くの時間がかかっていました。」(長川氏)
そこで導入されたのが音声認識システムというわけだ。この端末に入庫予定のデータを事前に取り込み、その後入庫された商品のバーコードをスキャンすると、入庫数が聞かれ、それに対して答えると、必要な情報が記載された用紙がプリントアウトされる仕組みとなっている。
また、プリントアウトされた用紙には商品の数量とJANコードがバーコード化されており、次に紹介されるデジタルピッキングシステムとも連携することで、商品の棚付け作業も容易にする。
これにより入庫から棚付けまでの作業がシンプルになる。今までであれば、商品知識がある人に業務が集中し、属人的になってしまった業務を平準化することができた。更に、ウェアラブル端末にすることで2人1組での作業をしていたところを、1人で完結することができるようになりました。すでに作業現場スタッフの7割から8割がこのウェアラブル端末を使った作業ができるという。
■FRAPS(フラップス)
ヤマトグループ独自のデジタルピッキングシステム『FRAPS(Free Rack Auto Pick System)』は、可動式のラックとデジタルピッキングを併せもつシステムだ。
「近年、ピッキング作業は大きく変化をしています。以前はリストピッキングといって、ロケーションと商品名、個数が書かれた紙を見ながら、作業員が商品を取ってくるという流れでしたが、現在は紙の代わりに、それぞれの作業員が持つハンディ端末に必要な情報が表示されるようになりました。そして、今後はデジタルピッキングの活用が増えていきます。FRAPSは可動式のラックにその日入庫した商品の情報を紐づけ、その後伝票を入れた折り畳み式コンテナを作業レーンに流すと、対象の商品が入った棚のボタンが点灯し、ピッキング数がデジタル表示されます。作業員は点灯した棚から表示された数の商品を取り出せばいいので、簡単ですしミスも削減できます。」(長川氏)
もちろん、ヤマトロジスティクスでは通常のリストピッキングにも対応しており、商品の種類や量に合わせてFRAPSの提案を行っている。FRAPSでのピッキング完了後には、商品に付いたジャンコードでコンビニのレジと同じ要領のデジタル検品を行うことで、ミスをさらに抑制しているという。
■三辺自動梱包機
このフランス製の『三辺自動梱包機』は、2017年11月に日本国内で初めてヤマトロジスティクスに導入されたという。3Dセンサーによって商品の三辺が計測され、その商品形状に合った最適なダンボールを生成し、最終的には伝票の貼り付けまで行うことができる。必要な人員としては、初めに機械の上に商品を置く人と、梱包が終わった商品を移動させる人の計2名で作業が完結する。その他に、EC事業者にとって嬉しい話もある。
「通常ですと、60サイズ、80サイズなどたくさんの種類のダンボールを保管する必要があります。また、商品によっては、適正なサイズが無く、一回り大きなダンボールを使用する場合もあります。しかし、この三辺自動梱包機は、板状のダンボールさえあれば商品に合った最適なサイズの箱を作ることができます。商品サイズにあった箱ができるので、結果的に配送料を抑える効果も期待できます。」(長川氏)
これまで手作業で行っていた部分を自動化することにより、人件費削減だけでなく、作業の平準化による品質の安定が可能になる。この自動化こそが、消費者に届く商品の品質を確保する要となる。
もちろん、すべてが機械化されるわけではなく、人が必要な部分もある。丁寧さが求めされるギフト包装などは、動画を活用した教育を進めるなど、人が関わる部分の作業品質の向上も進めている。
「お客さまの状況にあった最適なサービスを提供することが、品質の担保にも繋がりますから、弊社の営業チームやオペレショーンチームともしっかりと連携した上で運用しています。」(長川氏)
ニーズに合わせた提案で新たな物流業務モデルを生み出す
これまで紹介してきた機械以外にも、システムを導入して作業状況を見える化し、生産性向上を図るなど、様々な最新システムを導入しているヤマトロジスティクスの厚木ロジセンター。まさに通販物流の最先端技術が集約された場所と言えるだろう。
「厚木ロジセンターでは、さらに多くのEC事業者様にご利用いただくために、お客様に応じたマテハン機器の提供など、あらゆるニーズに沿ったサービスの提供を目指していきます。
今回ご紹介した厚木ロジセンターと横浜市鶴見区にある神奈川ロジセンターは、全国に30か所ある弊社の拠点の中でもロールモデルであり、見学もしやすい立地にあります。お客様のお役に立つかどうかをご判断いただくには、ご見学いただくのが一番だと思っております。ぜひ一度ご相談ください。」(長川氏)