CRMの要は顧客理解とPDCA 数値ではなく顧客の顔が見えていますか?
新規獲得の競争が激化する中、リピート獲得のためのCRM、そしてMAツールが改めて注目されています。しかし、CRMを成功させるためには、ただツールを入れれば良いわけではなく、あるポイントがあります。CRM/MAツールを提供する株式会社プラスアルファ・コンサルティング 執行役員 カスタマーリングス事業部 副事業部長 山崎 雄司氏にお話を伺いました。
面倒なセグメント作業の環境を変えるMAツール
ここ数年、リピート獲得のために改めてCRMを検討課題としている企業様が増えていると感じています。それに伴ってMA(マーケティングオートメーション)を導入する企業様も増えています。CRMの本質は、顧客一人ひとりを理解しPDCAの繰り返しの中から顧客との信頼関係を構築していくことです。信頼関係があるからメールにも興味を持つし、開封してもらえるというのが、本来の道筋です。
しかし、ECの忙しい現場では、なかなかそこまで手が回りません。顧客の理解とPDCAがきちんと回っていないことが、CRMがうまく機能しない原因となります。顧客の理解には事前準備として顧客データや商品マスターなど様々なデータを処理・加工する必要があります。さらにPDCAを回すとなると、これまでやっていた面倒な作業を効率化しなければなりません。
人は面倒だと感じると思考停止する癖があり結果やらなくなってしまう。それが、CRMが進まない一番の問題になっています。
こうした環境を変えるのが、カスタマーリングスです。カスタマーリングスは、煩雑なデータの処理・加工、そしてアクションまでを一気通貫で自動化し、効率化することができます。アクションの結果も蓄積されるので、自ずとPDCAが回るようになります。
機能だけで比較しないツール選択のポイント
こうした背景からツール導入は進んでいますが、失敗するケースも少なくありません。
MAツールを選ぶときに注意したいのが、ツール導入前に行っていた作業や運用ルールが反映できるかを確認することです。カスタマーリングスは、ルール設定の自由度が高く、自動化に様々なアレンジができるという特徴があります。今まで行ってきた作業が踏襲できることはもちろん、よりグレードアップできることもあり、この点を評価いただいて導入される企業様も多いです。
MAツールを機能面で横並びにしてみると、どのツールにもそれほど大差はないように思えます。しかし、実際にツール導入前に手作業で行っていたことが、ツールによっては反映されないということが起きてしまうのです。
例えば、初回購入者を二回目の購入につなげる施策を行う場合、二回目に定期コースを買った場合のみリピーターに引き上がったとして評価していたとします。これを「F2転換」と呼ぶのですが、ツールを導入したら二回目に何を買ってもF2転換と判断されるようになってしまったということが起こることがあります。こうなると、事業KPIも変わってしまいます。
「顧客の実感」を得る数値でなく人を見る
CRMにおいて、セグメントは非常に重要です。対象者の属性によって、いつ、どんな情報を、どのように届けるかということが全て変わるからです。カスタマーリングスでは、データマイニングにより優良顧客を導き出すなど、セグメントのための分析機能の強化を行っています。
セグメントを行い、施策のPDCAを回す中で、分析をブラックボックス化しないということも重要です。MAツール導入で起こりがちなのが、例えば、データを分析して、この商品を買っている人はこれも一緒に買っているというパターンがあることは分かったけれど、そうなるロジックが分からないため、再現性が無い。これがブラックボックス化です。こうなると、ツールなしでは何もできなくなってしまいます。
そこで、カスタマーリングスでは、分析結果についてロジックが分かりやすいような仕組みになっています。例えば、リピート顧客の割合を示すグラフがあったら、さらに、この人達がはじめて買った商品は何なのかということまで確認することができます。
アパレルなど実店舗で小売りをやっている場合は、顧客と顔を合わせ、こういう洋服を着ている人にはこの洋服が良いなど、その人がどんな人かを考えた上で接客をします。ところが、ECでは全てを数値化できるが故に、自分達の商品を買ってくれている人がどのような人なのかという「顧客の実感」がなくなりがちです。カスタマーリングスでは、数値をただ並べるだけでなく、顧客がどんな人なのかが実感できるような、そんなアウトプットを重視しています。
<ECのミカタ通信 2018 SPRING vol.15より抜粋>