すべての小売業の悩み“在庫”問題を、システマティックに解消する『FULL KAITEN』
ECに限らず、すべての小売事業者にとって、「在庫」を適正化することは、事業成長のキー・ファクターである。しかし、その在庫を適正に保つこと自体が極めて難しいことであり、頭を抱える事業者は極めて多い。そんな「在庫」の悩みを一挙に解消してくれるツールが登場した。フルカイテン株式会社が開発した在庫分析ツール『FULL KAITEN』だ。その優れた機能性について、該社の代表取締役社長 瀬川 直寛氏にお話を伺った。
過去の販売実績データに基づき、SKU単位で、在庫の「適正」「過剰」「不良」をイッパツ仕分け
在庫分析ツール『FULL KAITEN』の大きな機能は、「在庫削減」「仕入れ最適化」「粗利増加」の3つである。特に「在庫削減」については、ほとんどの担当者が高い関心を示すという。多くの小売事業者が、「不良在庫」「過剰在庫」に悩んでいる証左だといえよう。
さて、『FULL KAITEN』では、いま保有している在庫について、その在庫量が「適正」なのか、「過剰」なのか、「不良」なのかをSKU単位で分析してくれる。
「分析にあたって必要なのは、過去の販売実績データだけです。『FULL KAITEN』では、最初に半年程度の実績データをインプットするだけで、SKU単位で、将来の短期的な販売予測値を算出します。そして、現状の在庫数量と販売予測値を勘案して、在庫を「適正」「過剰」「不良」に分類します。この時、『FULL KAITEN』では販売予測のための複数のアルゴリズムを走らせており、どのアルゴリズムによる予測値が最も実績値に近いかを判断して、SKUごとに最適な分析結果を採用することで、予測精度を高めています。」と瀬川氏は言う。
「在庫分析というと、よくあるのが滞留期間を設定して在庫を分類するという考え方です。例えば30日間売れ残って滞留している在庫は「不良」扱いにするといった考え方です。私もお客様からよく滞留期間という考え方は無いのかという質問を受けますが、『FULL KAITEN』にはそのような考え方はありません。理由を説明します。例えば60日で売り切れれば良いぐらいの在庫数のボールペンがあるとしましょう。そして滞留期間を30日に設定したとします。この場合、もしそのボールペンが30日経過した段階でまだ在庫が残っていたとしても、全く問題ないですよね。60日で売り切れれば良いわけですので。
しかし、もしそのボールペンが5日ぐらいで売り切らないといけない程度の在庫数の場合、30日経過した時にまだ在庫が残っていたとしたら、それは問題ですよね。つまり、滞留期間を何日に設定するかというのは在庫を分析する際に重要な要素ではないのです。滞留期間よりも、その在庫がこれから売れるのか売れないのかを起点に在庫を評価しなければ、正しい分類はできません。『FULL KAITEN』はそのような思想でアルゴリズムを開発しています。
皆さん、不良在庫を削減したいとおっしゃいますが、そもそも不良在庫の定義は何なのかという観点での議論が抜け落ちていると私は思っています。在庫数が多いからと言ってそれが不良在庫だというわけではありませんし、逆に在庫数が少なくても不良在庫の可能性はあるわけです。
『FULL KAITEN』を使えば、その在庫がこれから売れるのか売れないのかという予測に基づいて在庫を評価し不良などの分類を自動的に行いますので、在庫管理の精度の向上と業務効率化を両立させることができるのです。」と瀬川氏。
「また『FULL KAITEN』では、時系列で在庫金額の推移をグラフ表示できるので、“売れている在庫なのか、売れていない在庫なのか”という在庫の質も把握しやすくなっています。たとえば、在庫全体は減少傾向にあるにもかかわらず、特定の商品だけ在庫が増える傾向にあるとすれば、その商品の在庫としての質が悪化していることを意味します。その傾向が把握できたら、不良化してしまう前に、何らかの対策を実施することも可能になります。在庫の評価分類を点で行うだけでなく、線(時系列)で把握するからこそ在庫の質を判断できるのです。」と瀬川氏が言うように、あらかじめ在庫の質を把握できれば、特別セールなどをタイムリーに実施することで、在庫の不良化を防ぐことも可能になるのだ。『FULL KAITEN』では、最初に半年分程度の実績データを取り込んだ後は、基幹システムとの連携により、1時間単位で販売実績データを取り込むので、時系列での分析にも強いという特徴がある。
「こうした分析を、マンパワーで処理することはほぼ不可能です。アイテム数が数千・数万・数十万というレベルだと、その時点での分析すら容易くありませんが、それを毎日行わなければ時系列の分析ができないわけですので、およそ人的な対応は無理です。分析自体は『FULL KAITEN』に任せて、ご担当者は“不良在庫や不良化しそうな在庫にどう対応するか”という施策部分にエネルギーを注いでほしいと思っています。」と、瀬川氏は『FULL KAITEN』導入の意義を説明する。
今後の販売予測に基づき、在庫リスクと欠品リスクを低減するための「推奨発注数量」を自動計算
『FULL KAITEN』を活用することで、仕入れも適正化することができる。
「今保持している在庫を削減するのは『FULL KAITEN』の在庫削減機能を使えば簡単ですが、もし既に不良在庫に分類されているSKUを仕入れたり、仕入れる数量が多すぎたりすると、いくら在庫削減を行っても不良在庫や過剰在庫は増えてしまいます。ですから、在庫を適正化するためには仕入れの適正化が欠かせないのは言うまでもありません。
しかし精度の良い仕入れを実現している事業者はあまり多くないのが現状です。数千・数万・数十万といったSKUに対して仕入れを行なっていくわけなので、精度を求める作業を人的な対応で行うのには無理があるからです。そのため、“在庫数が××個になったら発注をかける”というような発注点を決めて仕入れを行なっている事業者が多いのですが、この方法は業務の効率化には役立つものの、不良在庫や過剰在庫を生まないための仕入れ精度という観点では役に立っていません。そもそも、商品ごとに売れ方には波があります。そこを加味することなく、一律に“在庫が10個になったから仕入れる”という考え方では、結果的に不良在庫や過剰在庫になってしまいます。」と瀬川氏が言うように、発注点を一律固定してしまえば、いつまで経っても在庫の適正化はおぼつかないだろう。
「そこで『FULL KAITEN』では、販売予測に基づいて発注点を変動させることにより、仕入れも適正化できます。」
不良在庫のキャッシュ化をサポート
在庫管理において重要なのは、どれが不良在庫なのかを分析することではない。あくまでも、“分析結果に基づいて、いかにして不良在庫を削減するか”という在庫削減施策の実施・展開にこそ、その重要性がある。
この点についても、『FULL KAITEN』は役立つ機能を備えている。例えば、「不良在庫」と判断された商品を「削減リスト」に入れて「価格を決める」というコマンドを実行すると、当該の商品をどの程度の割引で売るべきかの設定価格を表示してくれるという機能がある。
「『FULL KAITEN』の中に、あらかじめ販売予測結果に基づく、割引率のテーブルをもたせておくことで、それを当てはめて、在庫処分セールなどの際の割引価格を自動計算するように設計されています。ご担当者は、この分析結果を参考にしながら、キャンペーンなどの施策を企画・実行すれば、効率的に在庫の削減が可能になるのです。」と瀬川氏。
すでに『FULL KAITEN』を導入している事業者の中には、この機能を活用して、わずか1ヶ月程度で1000万円もの在庫削減に成功した事例もあるという。
「1ヶ月で1000万円の削減はかなり大きな成果ですが、1ヶ月で数百万円程度の在庫削減を実現したという事例は枚挙にいとまがありません。しかし私は本来的には不良在庫が増えないようにするための在庫管理こそが重要だと思っています。『FULL KAITEN』をご利用の事業者様は大抵の場合まずは不良在庫を削減されますが、そのあとは不良在庫を増やさないための在庫管理を『FULL KAITEN』で行って頂いています。ポイントは過剰在庫のコントロールです。在庫を適正化し、それを維持したいという課題に対して『FULL KAITEN』はあの手この手で解決策をご提供していますので、きっとお役に立てると思います。」と瀬川氏は自信を覗かせる。
来年2月に『FULL KAITEN』の大幅アップグレードを実施
すでにして、在庫分析ツールとしては高い完成度を誇る『FULL KAITEN』だが、瀬川氏によれば、さらなる進化のための開発も進んでいるという。
「2019年2月には、バージョン2をリリースする予定で、より高機能に、より使い勝手の良いものにしていきます。バージョン2では、これまでSKU単位での分析だったものを、ブランド単位・カテゴリー単位でも分析できるようになります。例えば、アパレルを例にすれば、トップスの在庫がどうなのか、ボトムスの在庫がどうなのかということも分析・把握することができようになります。
また、ECと実店舗を両方お持ちの事業者向けには、店舗毎にどのSKUが不良や過剰になっているかがわかるようになります。つまりセールで在庫を削減する場合に、店舗毎にセール対象商品を変えられるようになるということです。」
在庫の適正化が、企業としての成長を大きく左右するといっても過言ではない小売事業において、『FULL KAITEN』は、まさに救世主的なツールと言えるかもしれない。