なぜキャッシュレス決済を導入すべきなのか?QRコード決済の普及で変わる小売市場
「2018年は多くの方が初めてコード決済に触れたキャッシュレス元年であったと考えています」そう語るのは、SBペイメントサービス株式会社 営業本部 営業2部 3課 課長の澤中 寿千氏だ。
昨年末の「PayPay」の大規模なキャンペーンをきっかけに一段とキャッシュレス決済の存在感は増しているが、キャッシュレス決済を導入するメリットとはどこにあるのだろうか。
SBペイメントサービスが最新ソリューションを展示している「リテールテックJAPAN」に潜入し、キャッシュレス決済の現状と導入メリットについて話を伺った。
キャッシュレス決済を導入すべき理由
この数年で参入企業が増え、メディア各社でも特集を組まれている”キャッシュレス決済”。PayPay株式会社が提供する「PayPay」のキャンペーンは非常に話題になり、キャッシュレス決済の認知拡大に一役買ったと言っても過言ではない。
しかし日本のキャッシュレス割合は18.4%程度であり、中国の60%、米国の45%(*1)という数値に比べると大きく引き離されているのが現状だ。ところが澤中氏は「大きく離されていると言っても、キャッシュレス決済市場が成長する土壌はできている」と語る。
その土壌とは、2020年に向けて訪日外国人が増加すると予想されることや、2020年3月までに対面決済におけるクレジットカードのIC対応が必須化されることを指している。また、経済産業省も2018年4月に策定した「キャッシュレス・ビジョン」の中で2025年までにキャッシュレス決済の割合を40%にまで引き上げるという目標を掲げており、国としてもキャッシュレス決済を推進していく方向だ。
この市場の拡大が予想されている中でも、今注目されているのがQRコードやバーコードを利用して決済をするコード決済だ。MDB Digital Searchの有望市場予測レポートによれば、4年後の2023年度にはQRコード決済の市場規模は8兆円にものぼると言われている。
同じキャッシュレス決済でも交通系ICカードやチャージ式の電子マネーの場合はチャージ限度額も低く、一回あたりの決済金額があまり大きくない。しかし、QRコード決済の場合は口座やクレジットカードと連携させることによって、高額な決済も可能となる。また、アプリにQRコードを表示させるだけであり、利用も簡単だ。
「今はみなさんがスマホをお持ちですから、欲しいと思ったタイミングですぐにスマホで購入できる。これが電子マネーとQRコード決済の違いです」と澤中氏。
(*1)2018年4月 経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」世界のキャッシュレス動向
シンプルなQRコード決済はオペレーションもスッキリ
市場が成長する土壌ができつつあるということもあり、QRコード決済だけでもさまざまな企業が提供を開始しており、新規参入も相次いでいる。ECサイトでの決済手段を増やす場合も同様であるが、一つ一つの決済手段を契約していては、手間も時間もかかってしまう。それを解決するのがSBペイメントサービスが提供する決済ソリューションだ。
SBペイメントサービスは『S!can(スキャン)』という、「PayPay」や「UnionPay(銀聯)」など複数のQRコード決済をまとめて導入できるアプリや、QRコード決済だけなく電子マネーやクレジットカードにマルチに対応する『VEGA3000』という決済端末をはじめとする豊富なラインアップを提供している。
『S!can』は手持ちのスマートフォンやタブレットにアプリをインストールするだけでQRコード決済の導入ができる。さらに、レシートを発行したい場合には、レシートプリンタ搭載端末『SUNMI(サンミ)』も用意している。またPOSシステムと連動をしたい場合には、API連携も可能だ。
「『S!can』の大きな特徴は提示されたQRコードを自動識別できる点です。お客様が提示したQRコードがどのサービスのQRコードであるかを、店員が確認する手間を減らすことができます。また対応QRコード決済は順次拡充していくため、最新のサービスに対応することが可能です。一方で、『VEGA3000』の特徴としてはICチップ対応とインバウンド対応、省スペース化が可能である点です。複数の決済手段をひとつの端末でまとめるとともにレジ周りもスッキリさせることができます。お客様のニーズに合わせたベストなソリューションをご案内できます。ぜひ体験してみてください」(澤中氏)
実際に『S!can』を試してみてまず驚いたのは、とにかく操作が簡単なことだ。決済をする際には、『S!can』にログインして金額を入力、お客様が提示したQRコードを読み込むだけで決済が完了する。現金を取り扱わないのであれば、支払いの間違いやお釣りの間違いなど、人的ミスを減らせるのも嬉しい。
「銀聯」や「Alipay」「WeChat Pay」のインバウンド向け決済にも対応しているので、海外からの観光客が来店した際にも、スムーズに決済が出来るだろう。
「長崎にあるアクティビティと宿泊施設が融合した複合型リゾート施設『i +Land nagasaki』様では、土地柄もあり中国の観光客が多く、現金以外の決済手段が求められていました。また、施設内のアクティビティを利用するには都度支払いをする必要があり、そこにも改善が求められていたのです。そこで弊社のソリューションを導入していただき、パートナー企業と協業してリストバンドにQRコードを埋め込みました。そうすることでアクティビティを利用する都度リストバンドをかざし、利用料金のデータを蓄積しておいて最後にまとめてクレジットカードや電子マネーで精算するスキームを実現し、お客様はスムーズにアクティビティを楽しむことができるようになりました」(澤中氏)
もちろん『S!can』は決済が簡単なだけではない。アプリのUIも非常にシンプルで、日ごとの売り上げ管理はもちろんの事、各QRコード決済のブランドごとに売上金額も表示できる。日々発生するレジ締めの作業がなくなるのも導入する大きなメリットとなりそうだ。
今をときめくPayPayが語る、QRコード決済の魅力
SBペイメントサービスのソリューションは、今話題の「PayPay」にももちろん対応済みだ。そこで、PayPay株式会社の営業統括本部 エンタープライズ営業本部 パートナー営業部 部長の岡田 和也氏にもQRコード決済の今後について伺ってみた。
「QRコードは中国やインドで非常に活発的に利用されていますが、お客様も使いやすく、加盟店様も導入しやすいというのがポイントです。これだけスマホが普及していて、簡単に導入できる決済サービスですので、誤解を恐れずに言えば全スマホユーザーに利用していただきたいと思っています」と岡田氏。
実際、リリース後わずか4ヶ月で利用者数400万人を突破。100億円分を還元する「100億円キャンペーン」第1弾ではわずか10日間で100億円を使い切ってしまったという。
キャンペーン後には加盟店数も10倍にまで拡大したというのだから驚きだ。街中を歩いていて、その勢いを感じている人も多いと思うが、大手チェーンを筆頭に様々な業種業態の店舗が導入している。
「加盟店様からも『キャンペーン良かったよ!PayPayを導入して良かった』という声も届いておりますので、キャンペーンに限らず、今後もエンドユーザーの皆様と加盟店様に喜んでいただける仕掛けを展開していきたいと思っています」(岡田氏)
そして、注目したいのはヤフー株式会社とソフトバンクの合弁会社である強みを活かしたオンラインとオフラインの融合だ。
「我々の持つ決済データとヤフーが持つECの購買履歴や検索ログ、ソフトバンクが持つ位置情報やSNS、アプリなどのネットワークデータを集めることによって、新しい手法で”正しいターゲティング”を実現していこうと考えています」と意気込む岡田氏。
具体的に例を挙げるとすれば、ヤフーのアクティブな会員3000万人の中で、加盟店のターゲットに対して販促活動を行い、集客を行うというもの。
そして、実現することで多くの小売事業者に恩恵があるだろうと考えられるのは、決済履歴を活用したオンラインとオフラインでの相互送客だ。例えば、ECサイトで電動歯ブラシを購入した場合、次に必要になるのは関連商品である歯磨き粉やデンタルフロスだ。そこで、近隣のドラッグストアのクーポンを発行することで、新たな送客を生み出す。
PayPayのコンバージョンポイントは”PayPayで支払う”こと。つまり、オンラインでもオフラインでもコンバージョンポイントが明確になり、効果測定の精度が高くなるのだ。
今後の展開について岡田氏は次のように語る。
「我々は10月にリリースしたばかりですので、決済をするポイントでPayPayを使っていただくことが重要です。使える場所がないとユーザー様も困ってしまいますし、結果使われなくなってしまいます。多くのパートナーさんと連携をしていますが、特に同じグループであるSBペイメントサービスさんとは密に連携しながら、多くの決済ポイントで使っていただけるようにするのが当面の目標です。」
多彩な決済手段で柔軟な提案が可能に
PayPayの目指すオンラインとオフラインの融合はもちろんSBペイメントサービスも目指している部分だ。
「もともと我々はオンライン決済を出発点とし、様々なソリューションを提供してまいりました。現在ではオンライン、オフライン双方のお客様にソリューションを提供できる強みを活かして、将来的には、お客様ごとにどこで何を購入したのかという購買履歴などをデータ化し事業者さまに活用いただくことで、お客様により良い購買体験をご提供できればと思います。QRコード決済のブランドも増えて行くでしょうから、タイミングを逃さず素早く対応していきたいですね。」(澤中氏)
様々なソリューションを取り揃え、豊富な決済サービスに対応しているからこそ、事業者のニーズに合わせて適切な提案が可能なSBペイメントサービス。
展示会ではSBペイメントサービスの技術を活用したセルフ券売機も初お披露目となり、テーマパークや駐車場など導入場所を問わないキャッシュレス決済の可能性に驚くばかりであった。
急速な進化に乗り遅れず、決済をきっかけに顧客とのタッチポイントを増やしたいという方は是非一度SBペイメントサービスへ相談してみてはいかがだろうか。