生活クラブがデジタルシフトを急ぐのはなぜか? ECのシステム基盤を刷新した狙いと成果を聞いた

ECのミカタ編集部 [PR]

23669_thumbnail_top_thumbnail.jpg 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 事業本部 事業三部 事業企画広報部門 副部長 利用企画課 課長 石井明氏(中央右)
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 事業本部 事業三部 事業企画広報部門 副部長 山本江理氏(右)
日本電気株式会社 リテール・サービス業システム本部 プロジェクトマネージャー 岩尾智宏氏(左)
日本電気株式会社 リテール・サービス業システム本部 主任 戸谷和宏氏(中央左)

生活協同組合の生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(以下、生活クラブ)が、デジタルシフトを進めている。2019年2月にECサイトと公式サイト、レシピサイト、顧客データベースなどのシステム基盤を刷新。WEBでの組合員登録の仕組みを刷新したほか、レシピサイトから食材を注文できるようにするなど、オンラインでも「生活クラブ」を利用しやすくした。今後は、新たな顧客データベースを活用し、会員獲得やCRMを強化するという。

「生活クラブ」がデジタルシフトに取り組むのはなぜか。また、同社が描く、顧客との理想的な関係性とは。生活クラブがデジタル化を進める理由や、その成果について、生活クラブの石井明氏と山本江理氏、そして、システム基盤のリプレイスを担当したNECの岩尾智宏氏と戸谷和宏氏に話を聞いた。

デジタルシフトが遅れれば「時代に取り残される」という危機感

「ECサイトや公式サイト、レシピサイトをリニューアルしたのは、生活クラブのビジネスモデルを現在の消費行動にフィットさせるため。ライフスタイルの変化に合わせて、カタログ事業の補完物に過ぎなかったECサイトを、紙媒体と同等かそれ以上のものにグレードアップすることは、組合員からの要望も大きく対応が急がれていました。」

生活クラブの石井氏は、ECサイトや公式サイトを今年2月にリニューアルした理由について、こう説明した。消費行動の変化に伴い、デジタルシフトの必要性を痛感していたという。

「生活クラブ」は、日本国内におよそ570ある生活協同組合(生協)の1つ。1965年に東京・世田谷区で発足し、1968年に生協法人化した。食品の安心・安全と、美味しさにこだわった独自の商品を強みに事業を展開。現在は33の単位生協(独立して事業を行なう消費生活協同組合)を束ね、組合員数は約39万8000人、供給高は約904億円となっている(2018年度実績)。

半世紀にわたり、多くの組合員に支持されてきた「生活クラブ」だが、2000年代に入ると組合員数や供給高は伸び悩んだという。その原因は経済・社会の状況変化に対する全般的な対応遅れにあったが、その中の重要な柱のひとつとして「注文方法の改善」はには期待が大きかった。

「生活クラブ」で商品を注文する際は、主には紙のマークシート(OCR注文書)を使う。毎週送られてくる商品カタログの中から、欲しい商品を選択し、注文書を配達担当者に手渡す。

こうした仕組みは長年、組合員から親しまれてきた。しかし、近年は欲しい商品をインターネットで探し、スマホで注文するなど、デジタルで完結する購買行動が浸透した。また、通勤中に欲しい商品を探し、そのまま注文するなど、隙間時間を使ってインターネットで買い物をする消費者も、若い世代を中心に増えている。

「生活クラブ」は2004年にレシピサイトを開設し、2010年代の初頭にECサイトとコミュニティサイトを開設。2015年にはWEBで組合員登録ができるシステムも導入した。段階的にデジタル化を進めていたものの、「ユーザーの利便性を考えると、改善すべきことは多かった」(生活クラブ・石井氏)と言う。

「リニューアル以前は、組合員以外はECサイトの商品を閲覧できませんでした。また、資料請求はオンラインで行えるものの、加入手続きは原則として対面のみ。インターネットで商品を探したり、サービスを申し込んだりするのが当たり前になった若い世代にとって、使いにくいサービスだったと思います」(生活クラブ・石井氏)

ECサイト、レシピサイト、公式サイトを刷新

「生活クラブ」は2019年2月、ECサイト「eくらぶ」と公式サイト、レシピサイトを全面リニューアルした。

■ECサイト「eくらぶ」
組合員登録をしていない一般消費者からも、すべての商品を閲覧できるようにした。商品のレビュー機能も新たに実装。

生活クラブのECサイト「eくらぶ」(https://shop.seikatsuclub.coop/eclub_top.html

■生活クラブ・単位生協の公式サイト
生活クラブ連合会や、各単位生協の公式サイトを一新。商品に対するこだわりや、環境への取り組みを紹介するコンテンツ、生産者を紹介する動画などを配信し、ブランディング強化に力を注いでいる。

生活クラブの公式サイト(https://www.seikatsuclub.coop/

■レシピサイト「ビオサポレシピ」
複数のレシピサイトや交流サイトを統合し、「ビオサポレシピ」をオープンした。レシピサイトとECサイト「eくらぶ」と連携し、生活クラブのカタログなどに掲載された公式レシピに使われている食材を、オンラインで注文できるようにした。

レシピサイト「ビオサポレシピ」(https://recipe.seikatsuclub.coop/

今回のリニューアルでは、システム基盤をリプレイスし、NECのEC・通販統合ソリューション「NeoSarf/DM」を導入。その基盤上でECサイトなどフロントエンドをリニューアルして稼働させているほか、商品管理、顧客管理、地域生協のニュース配信、組合員向けのメール管理なども「NeoSarf/DM」の基盤上で動かしている。

さらに、基幹システムや決済システム、メルマガ配信システムなど、外部ベンダーのシステムと「NeoSarf/DM」を連携し、事業全体をシームレスにつないだ。

顧客データベースも刷新、生活クラブが抱えていた課題とは?

2019年2月のシステムリニューアルに伴い、顧客データベースも新たに構築した。組合員情報に加え、資料請求を行った見込み客なども一元管理できるようにした。

リニューアル以前は、資料請求を行ったユーザーや、入会を検討中のユーザーなど見込み客の情報は、地域の担当者が管理しており、必ずしも一元管理できていなかったという。その結果、見込み客に対して効果的なCRMの施策を打てていなかった。

また、データベースの登録手順も煩雑で、現場の作業負担は重い。こうした課題を解消することも、システムリニューアルの目的の1つだったという。

「組合員を増やすには、入会を検討している見込み客に対して効果的にアプローチし、さらに、加入初期の組合員が継続しやすいよう、丁寧にケアすることが必要です。そのためのCRMのシステム基盤を実装することが、2019年2月のシステムリニューアルの大きなテーマの1つでした」(生活クラブ・山本氏)

目指したのは「入会から注文までオンラインで完結」する仕組み

新規の組合員を獲得する方法も、時代の変化に柔軟に対応する必要があった。夫婦共働きの世帯が増え、昼間の在宅率が下がったこと、WEB上で消費行動を行うことに抵抗がない若い層が増えていることから、そういった方々にも生活クラブにアクセスし、参加する機会を増やしてもらいたいというのが、今回のリニューアルの大きな理由の1つだという。

「ECサイトや公式サイトをリニューアルするにあたり、重視したことは、資料請求から入会、注文までオンライン上で完結する導線を作ること。Webで資料請求を行い、ECサイトで品ぞろえを見て、オンラインで加入し、ECサイトですぐに注文できる。消費者のライフスタイルの変化を踏まえると、こうした仕組みを実現することが必須だと考えていました」(生活クラブ・山本氏)

複雑なECの仕組みを「NeoSarf/DM」で構築

生協である「生活クラブ」のECの仕組みは、一般的なネットショップとは大きく異なる。

例えば、取扱商品のほぼすべてが、毎週入れ変わる。そのため、ECサイトに掲載する商品と価格を毎週変更しなくてはならない。「生活クラブ」特有の業務に合わせ、「NeoSarf/DM」にカスタマイズを施した。

レビューの表示方法も「生活クラブ独自の仕組みを構築した」とNECの戸谷氏は説明する。

「生活クラブさんのECサイトは、毎週、取扱商品が入れ替わります。しかも、同じ商品でも価格が変われば、別の商品コードが割り振られる。そういった商品管理の難しさがある中で、例えばレビューは、画像管理コード体系に基づいて表示するなど、生活クラブさんの業務に合わせた仕組みをカスタマイズによって構築しました」(NEC・戸谷氏)

採用の決め手は「生協の実績」と「開発の総合力」

生活クラブがシステム基盤に「NeoSarf/DM」を採用したのはなぜか。その理由について、生活クラブの石井氏は「生協のシステム開発の実績があること。そして、ECシステムだけでなく、ECに関連するシステム全体の開発を、包括的に任せられることが決め手になりました」と説明する。

「NeoSarf/DM」は通販はもちろんのこと、実店舗を持つ百貨店やチェーン店などのオムニチャネルも得意とする。

「『NeoSarf/DM』を導入する際は、お客さまの課題や、やりたいことをじっくり聞きながら、最適なシステムを構築します。生活クラブさんのように、ECサイトやレシピサイト、公式サイト、CRMなど、ECに関連する複数のサイトやデータベースを開発するプロジェクトでは、事業全体の要件定義を行い、全体最適を考えてシステム開発を行います」(NEC・岩尾氏)

「NeoSarf/DM」は、ECサイトのみの構築にも対応するほか、CRMのシステムだけを導入したいという顧客にも対応するという。

「ご要望に応じて、システムをパーツ単位で切り出してご提供することも可能です」(NEC・岩尾氏)

注文の約2割がオンライン経由、CRM強化の体制も整った

「生活クラブ」は今回のシステムリニューアルで、どのような成果を上げたのか。

2019年8月現在、「eくらぶ」の会員数は、組合員全体の約5割。オンライン会員は着実に増え、それに伴いオンライン経由の注文は全体の約2割に達した。

2019年2月に新しいシステムが立ち上がり、今年4月から単位生協でも本格的に運用が始まったという。「生活クラブ」のデジタルシフトは始まったばかり。オンライン経由の組合員獲得やCRMの具体的な成果について、「見えてくるのはこれから」(生活クラブ・山本氏)としながらも、「CRMに本格的に取り組む体制基盤が整った」(同)と、今後の展開に手応えを感じている。

今後は、ECサイトや公式サイト、レシピサイトのアクセス解析を行い、そのビッグデータを販促やCRMに活用していく方針だ。

「どういう時間帯に、どういった客層がサイトにアクセスして、どのようなコンテンツを閲覧し、コンバージョンに至るのか。そういったユーザーの動きを分析しています。システム基盤をリニューアルしたことで、ビックデータを取得できるようになりましたので、今後はそのデータを販促やCRMに活用していきます」(生活クラブ・石井氏)

顧客との双方向のコミュニケーションを大切にしたい

生活クラブの石井氏と山本氏は、顧客との双方向のコミュニケーションをこれまで以上に大切にしていきたいと強調した。

「企業が一方的に情報を流すだけでは、デジタルシフトは成功しないと思っています。お客さまの声を、いかに聞くことができるか。例えば、『eくらぶ』に投稿されたクチコミを起点に、お客さまとコミュニケーションを図るなど、これまで取り組んでこなかった施策も検討していきたいです」(生活クラブ・石井氏)

「CRMの本格運用はこれからですが、統合された顧客データベースと、それに基づくCRMが必要だという認識を、現場を含めて共有することができたのは、大きな成果だと思っています。生活クラブは、お客さまのお名前や住所などを把握していることが、一般的なECにはない強み。『NeoSarf/DM』で生まれ変わったシステムを生かし、本格的にCRMに取り組んでいきます」(生活クラブ・山本氏)


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