初期費用なし・保管料が最大1/10! ローコストを実現する物流倉庫の秘密とは?
ECビジネスを成功させるために欠かせない物流サービス。ショップの商材や運営方法が多種多様な形に細分化されていくなかで、物流会社についても、多くの選択肢から最適な企業を選定する必要がある。
そんな時代背景を受け、物流のトータルサービスを提供している北関東物流株式会社では、これまでの主要事業だったBtoB向けの物流に加えて、BtoC向け物流の取り扱いが増えてきたという。同社ならではの物流リソースを活用したコスト削減の仕組みについて、代表取締役の神成光輝氏に話を伺った。
初期費用なしでローコストに。エリア限定・大ロットなら共同配送が格安
――まずは北関東物流のサービス概要について教えてください。
当社は、通過型および在庫型の物流センターサービスや共同配送事業をメインとしています。通過型の物流サービスは主に小売企業様向けで、導入前のしっかりとしたヒアリングを経た“オーダーメイド”のサービスをご提供しています。主に卸・メーカー企業様向けに行っている在庫型物流サービスは、商品の保管から在庫管理、出庫、納品までをトータルに行う“荷主代行”が基本です。
荷主企業様だけでなく納品先様とも連携することにより、精度や納品率、生産性の向上、在庫の削減を目的としたハイブリッドディストリビューションセンター(HB-DC)の取り組みを行っています。
――北関東物流の特徴や強みは何でしょうか。
当社は「ローカルロケーション(郊外立地)」や自社倉庫の使用により、坪あたりの賃料を低く抑えることで、保管コストを安く抑えたいというお客様に対してローコストなプランをご提供することができます。当社の基本パッケージとなる物流システムを適用できる場合は、基本的には初期費用はいただきません。例えば「温度管理をしてほしい」や「特別なラベルや名入り段ボールを使ってほしい」などのイニシャルコストがかかるような仕様を採り入れることも、別料金にはなりますが対応可能です。当社にご依頼いただくことで大ロットの配送料でも安く抑えられることと、状況に応じて料金や配送方法をカスタマイズできるのが特徴です。
また、弊社は北関東を中心に宮城などにも拠点があり、これらの地域には、自社のトラックと協力会社の物流配送網を使った共同配送が可能です。例えば、法人顧客に対して毎回10個ぐらいのオーダーがあるなど、中ロットの配送を定期的に行いたい場合に有効です。一般的な配送会社では通常料金での扱いになるのに対して、当社では共配料金として割安で配送することができます。
――ローコストとのことですが、競合とどのくらい異なるのでしょうか。
自社で物流倉庫を持つ大手ECサイトの保管料と比較すると、当社の保管料はおよそ1/5~1/10です。入出庫のコストは扱う物によって違ってくるのですが、これは10cm×10cm×10cm程度のサイズのおもちゃを取り扱った場合の事例です。商材によっては、通常時なら5倍、繁忙期なら10倍程度の価格差が出るかと思います。
共同配送は大ロットでも個口でも、配送1件に対して料金をいただくのが一般的で、荷物の容積と平均個数によって料金が決まります。つまり、個配だと他社とそこまで変わりませんが、荷物を特定のエリアに大量に・定期的に送る場合に費用が安くなります。出荷する個数や頻度はカスタムが可能ですので、お気軽にご相談いただければと思います。
即日納品対応、大型EC商材の取り扱いも可能
――対応エリアや納期について教えてください。
北関東や東北まで、東日本地域をメインのエリアとしています。東日本大震災の際には、北関東はかなり揺れましたが倉庫に影響はほとんど出ず、当社が東北への物流の最前線基地になりました。そういった経験からもBCP対応への強みがあり、物流の継続性を保てます。
また、配送の納期も大手配送業者と遜色ありません。当日受注・当日出庫を基本としていて、離島を除く九州などの遠方では、翌日配送となります。BtoBの世界では、例えば8時に依頼があったものを14時までに納める、というようなスケジュールで対応していて、BtoCの場合でもそのスピード感は変わりません。
――どんな商材を多く取り扱っていますか。
生活必需品や雑貨、本など、温度管理がいらないものを多く扱っています。また、LED照明器具やペット用品など、かさ張るようなものも得意です。逆に冷蔵・冷凍商品はご提供できるエリアが限られてしまう場合があります。また、拠点のほとんどがローカルロケーションなので、手元に在庫を置きたいという企業様には向かないかもしれません。
――取り扱い件数はどれくらいですか。
月間100万ケース、年間で1,200万ケース以上の取り扱い件数があります。1件あたりのサイズが大きい傾向があり、大手の配送会社では引っ越し便扱いになるような荷物も、当社では通常の荷物として扱うことが可能です。
当社は基本的にお客さまとのお付き合いが1~2年で終わることはまずなく、10年以上続くことがほとんどです。お客さまと「良い時も辛い時も一緒に」、一件ずつ丁寧に仕上げていくことを考えています。サービス開始前に十分なヒアリングを行い、「こんなはずじゃなかった」ということがないように心がけています。
EC対応のさらなる拡充へ。キーワードは「倉庫確保」
――ECの物流に対応する上での、今後の課題は何でしょうか。
最近は、巣ごもり消費の増加により、インターネットで買い物をする方が増えました。当社は生活必需品の取り扱いが多いため、ここ2~3ヵ月で特にECの物流量が増えた印象です。その流れを受けて、「倉庫が確保できるか」ということが業界全体でも大きな課題になってくると思います。ちょっとした荷物でもスペースを取ってしまうので、何万坪もの倉庫を用意しても、すぐいっぱいになってしまいます。ここ数年、大規模な物流センターが各地に建設されていますが、それでも足りないかもしれません。
――「倉庫確保」への対応策はありますか。
当社では、埼玉県の東松山市の営業所をECのメイン拠点としています。その他、群馬第一営業所や、栃木県の鹿沼第一営業所にも保管場所を確保しており、複数の拠点でECの物流に対応していきます。これらの倉庫は近くに大手配送業者のハブセンターがあり、WMSなどの物流インフラが整っているなどの強みがあり、先述した“イニシャルコストなし”でできるケースが大半になるかと思います。
今後の貴社の展開や方向性について教えてください
現在の物流センターのキャパシティーを埋めきった後の話にはなりますが、次の展開としてもやはり「保管コストをミニマムに」「ローコストで荷物をお預かりできること」をキーワードに、倉庫を開発していこうと考えています。
並行して、WMSなどのシステム面での強化を図るとともに、人員の拡充、GマークやPマークの取得など、お客様により安心してご利用いただくための取り組みも行っています。