国内外での販路拡大にも強み J・Madeが目指す新たなEC支援構想に迫る
物流・ロジスティクスに基盤を持ちながら、販路開拓・物流改善まで、流通の枠を超えた取り組みで注目される株式会社 J・MADE(ジェイ・メイド)。新たな拠点の開設も具体化するなど、EC事業者に対応したサービスを強化しているという。
いまや、国内と国外双方で幅広く事業を展開する同社だが、そこへの道筋は、けして平坦ではなかったようだ。今回、羽田空港にも間近な大田区に所在する同社の一大物流拠点にて、お話をうかがった。
生産者との絆をもとに「物流支援・調達購買・販路開拓」サービスの提供へ発展
-まず貴社の事業展開の経緯についてお聞かせください。
当社は、平成28年の設立ですが、代表取締役がもともと大手航空貨物会社の出身で、初期の段階から航空輸送の知識とネットワークを活かしながら日本の生鮮食品を国内外へ展開することに注力してきました。代表は、地方の農業産品や魚介類、そしてそれらの生産者への想いが深く、少子高齢化や各地で後継者問題が顕在化する中で、良いものを消費者とつなげて、地方の活力向上に寄与したいとの考えから、物流だけでなく、自らがそういった商品の販路を開拓し、実績を積み重ねてきました。
-物流の面だけではなく、出口戦略、つまりマーケティングを含めた販路開拓もお任せできるのですね。
はい。「物流だけでなく、国内外からの仕入調達や販売支援まで幅広いサービスを提供しています。現在は特に海外に関してはコロナの影響もあり拡大できておりませんが、経済の成長著しく、日本製品への視線が注がれているベトナムにおいては、大手食品会社との合弁会社を今年の4月にハノイで設立しています。
現地への展開ですと、例えば展示会の出品や富裕層向けの飲食店や店舗などでテストマーケティングの支援などを行っています。また商品の調達ルートとしては、ベトナムだけでなく中国のパートナー会社との連携により、マスクが不足していた時期に特に日常でマスクが必要な食品工場ラインをお持ちのお取引先様へタイムリーに現地から調達し供給させて頂きました。
-食品関係がお強いのですね。
当社は、3温度帯、「常温(ドライ)・冷蔵(チルド)・冷凍(フローズン)」に対応していますので、特に食品関連は幅広い品物を取り扱えます。賞味期限管理が可能なEC用のWMS(倉庫管理システム)を導入していますので、受発注から倉庫管理、発送まで含めた効率的かつ一貫した運用が可能です。
当社の強みは次のようなものになります。
・3温度帯での卸(toB)と一般消費者(toC)向け物流センター
・都心に物流拠点が立地
・航空、船便貨物の輸出入代行
・WMS(倉庫管理システム)で効率的かつ一貫した運用
・配送面も充実、都内店舗や駅ナカ等への共配も可能
・物流だけでなく、お客様の商材の国内外の販売支援や仕入調達も対応
大手ホテルの課題解決で培ったノウハウと基盤
-ホテル業のクライアントがおられるのですね。
そうです。海外展開が順調に進む中で起こったのが3.11、東日本大震災です。ご存じの通り、まさに未曽有の災害で、その影響は東北のみならず、日本国内、そして海外へも及びました。特に日本の産品については、海外への展開に制約が生まれ、急遽、国内での展開に注力することとなったのです。その過程で国内での農業産品や魚介類の販路開拓が進みましたし、それとあわせて広く知名度のある大手ホテル業を展開されている顧客の課題解決の支援をさせていただくことになりました。
-具体的にはどういった課題解決をされたのでしょうか。
そのホテル事業者様につきましては、ホテル内で扱う食品や、消耗資材など幅広い商材を当社の物流センターで取り扱わせていただいています。ホテルというと、まさに小さな街のように、生活する上でのありとあらゆる物品が必要となります。当社でお受けする以前は、食品や備品などそれぞれのベンダーが各ホテル施設の中の、宴会場や高階層のレストランなど部署毎に必要な商品を納入していました。
そうしますと、納品にかなりの時間が掛かり、その車両が滞留することにより周囲で渋滞が発生します。また多くの人が頻繁に出入りすることになり、宿泊客の方にとって落ち着いた雰囲気を乱すことにもなりかねません。なによりセキュリティ的にも課題が発生します。
当社がお受けしてからは、それらの課題に対して抜本的に対応することを主眼としました。ベンダー各社は当社の物流センターへ一括納入いただき、HACCP対応に準拠した3温度帯の環境作業下で仕分業務を行い、保冷車両の定期便にてホテル事業者様ご指定の品物をご指定の時間と場所(9ホテル)にまとめて配送するスキームを構築しています。
そのことで、ホテルの建物の周りの渋滞は解消されましたし、セキュリティの面でも大幅に改善しました。また、なにより物品の受け入れ業務も一括化できるので、業務の効率化にも貢献しています。さらにホテルさんですから、かなり高い納入品質も求められます。従って、より丁寧な運用に関しても、国内でもトップレベルのノウハウと知見を得ています。それらの知見やノウハウをもとにEC事業者様におきましてもビジネスにもとめられる広範な課題に対応できます。
新たな拠点開設を具体化、EC対応も強化へ
-これからの展開についてもお聞かせください。
「物流支援・調達購買・販路開拓」を基軸に、スタートアップや中小規模のEC事業者様のニーズにも積極的に対応させていただきたいと考えています。たとえばスタートアップ段階にあるEC事業者様の場合、仕入れ・保管・管理・納入先の開拓までご相談に乗らせていただけます。
実は事業拡大に伴って、現在、東京圏で新たな物流拠点を具体的に選定しています。新拠点が開設されれば、既存の物流拠点と連携して、ボリュームの面でもサービス提供の幅の面でもより強化されることになります。また、まだ構想段階ですが、たとえば当社で保管させていただいた品物を、当社で買い取らせていただき、販路のネットワークを活用して販売するというメニューもあり得ると考えています。
さらに、ホテル事業者様とのお取引で強化された配送の基盤をもとに、まずは東京圏で、仕入れ・納入・保管管理・納入先への配送といったスキームの展開強化を目指しています。これが実現すれば、たとえば食品関連のEC事業者様の場合、仕入れからEC販売、そして飲食店などのリアル店舗への納入も一括して当社がお受けすることもできるということになります。
それらを通し、海外・国内を問わず、日々変化するEC市場において、物流とロジスティクスに基盤を置き、調達や販路開拓を提供する企業としての責任を果たしていきたいと考えています。
産品への愛がもたらしたJ・Madeのアドバンテージ
物流・ロジスティクスを基盤に、仕入れから販路拡大まで、幅広いニーズに対応するJ・Made。3温度帯への対応やWMS(倉庫管理システム)の活用など多くの強みを持っているが、お話を伺う中で強く感じたのは、日本の農業産品や魚介類の生産者に寄り添う姿勢と、それらの産品への愛が原点にあるという点だ。
インタビュー後の雑談の中で、馬場氏からは、石川県金沢市において、地元の漁師の方々と信頼関係を築かれ、ノドグロやトビウオ、甘えびやアオリイカ、カニといった地元ならではの産品を新たな消費者へと届ける事業の展開も聞けた。金沢と言えば加賀百万石であり、風情溢れる街だ。加賀野菜なども栽培され、小京都としての趣のある食文化も花開いている。そういった所まで止めどもなく、お話が展開され、その想いの深さに感銘を受けた。
こうした背景があるからこそ、それぞれの事業者にも寄り添い、抱える課題にも適切に対応し、成果を重ねることにもつながっていることが確信できた。また配送面でも柔軟な対応ができ、共配によってコストの削減も期待できる。これからECを展開しようとするスタートアップ段階にある事業者、課題を抱えるEC事業者は、一度、同社に相談してみてはいかがだろうか。