洋服の青山とTHE SUIT COMPANYが推進する「パーソナライズ化」をメインとしたWEB戦略とは?

ECのミカタ編集部 [PR]

昨年から今年にかけて大規模リニューアルを実施した洋服の青山とTHE SUIT COMPANYのECサイト。両サイトではトータルで売り上げ50億円の目標を掲げながら新たなWEB戦略を積極的に実施し、成果を上げている。具体的な施策や、中でも重きを置いているパーソナライズ化について、青山商事株式会社でEC業務を担当する長谷川敏氏(洋服の青山)と、小島蘭野介氏(THE SUIT COMPANY)にお話を伺った。

ビジネスウエア2業態で多店舗展開、ECも業界に先駆けて開始

――御社の事業概要を教えてください。

長谷川:当社のビジネスウェア事業では、洋服の青山とTHE SUIT COMPANYの2業態を展開しています。洋服の青山は47都道府県すべての出店する当社の主力業態で、郊外を中心に700店舗以上(5月末)を展開しています。

ターゲットは入学式や入社式にスーツを購入する10代後半の方から20代以降のビジネスパーソン、さらに仕事をリタイアされた方までと幅広くアプローチしています。

小島:THE SUIT COMPANYは洋服の青山に次ぐ第二の柱として2000年に立ち上げたブランドで、都市部や駅前立地に多く出店しています。サブブランドのセレクト商品を扱うUNIVERSAL LANGUAGE、レディース専門のWHITE THE SUIT COMPANYなども合わせて67店舗(5月末)を展開。

20~30代を中心とするビジネスパーソンに向けて、ハイファッション・ハイクオリティな商品を提案しています。

――ECはいつから展開されているのでしょうか。

長谷川:2006年に、現ECサイトの前身となる「WorldWideSize」を開設し、既製服のサイズが合わないお客様向けに、適合サイズを取り寄せて店舗で試せる試着予約サイトとして、サービスを展開しました。その後、「洋服の青山プレミアム」としてネット限定のハイグレードラインに絞ったECサイトへと進化し、2010年には、いわゆるオンラインストアとして店舗と共通の商品を販売し始めました。

ECのユーザー層は、2〜3年前は40〜50代男性が主力層でしたが、最近では20-30代のニーズも徐々に高まってきており、層の偏りはなくなってきている印象です。女性はもともと若干店舗よりも構成比が高い傾向にありましたが、コロナをきっかけに最近はより多くの方にご利用いただいています。

小島:THE SUIT COMPANYのECは、2000年から展開していました。当時はインポート素材のドレスシャツなどの商品をごく一部の顧客様にECで販売をしておりました。

コロナを機に、店舗併用顧客の増加を目指すことが全社共通の意識に

長谷川 敏氏(洋服の青山)

――コロナ前まではどのようなWEB戦略で運営されてこられたのでしょうか。

長谷川:洋服の青山のECサイトは昨年10月にリニューアルしました。これまでのサイトは、カラーを多用してセールやキャンペーン情報を強調するページづくりでしたが、リニューアルでは白を基調とした配色を行うことで、サイト全体に清潔感を演出し、商品の色柄やスタイルを際立たせて、商品本来の魅力を前面に打ち出しています。

小島:THE SUIT COMPANYにおいては、以前は商品にスポットを当ていかに良く魅せるかに拘っていましたが、以後は実際のリアルなコーディネート、関連アイテムのご提案を意識したサイト設計にしています。

――コロナ禍のWEB戦略について、以前と変わった点はありますか。

長谷川:以前から、インターネット経由で最寄の洋服の青山に商品を取り寄せ、実際のサイズ感など確認することができる「試着予約サービス」や、ネットで店頭在庫を確認して商品を取り置くことができる「商品取り置きサービス」などの店舗送客施策を、オムニチャネル戦略として強化しておりました。

その背景には、店舗とECを併用する方は、青山の最大のファンでいらっしゃるがゆえLTVが高い傾向にあるという事実がありました。しかしながら、洋服の青山は実店舗数が非常に多く、ECは店舗と比べると売り上げ率が低く、なかなか店舗や現場を巻き込んだ社内啓蒙がうまくいかないという課題がありました。

そんな中、去年の緊急事態宣言でネット通販の存在感が増す中で、「来店したくてもできないお客様のために青山商事として何かやりたい」「ECがイベントをするなら一緒にやりたい、応援したい」という声が現場から出てきたのです。社内のECへの期待感が増し、EC独自のスペシャルセールや全社セール「お仕事応援フェア」など今までになかった施策を展開することとなり、全社的にも盛り上がりをみせました。

小島 蘭野介氏(THE SUIT COMPANY)

小島:今年3月に立てた中期経営計画での今期の最重要命題は、店舗とECの相互利用を促進するOMO戦略です。THE SUIT COMPANYでは、以前から会員基盤の統合や在庫の一元管理などを実施してきたことや、お客様が使いやすいEC環境を提供することに注力してきた結果、現在では店舗とECの両方を利用する併用顧客が大幅に増えています。

長谷川:コロナがきっかけとなり、店舗とECの両方ともが顧客接点のひとつであるということが社内に浸透したと感じています。今後はより双方のメリットを補完することで垣根をなくすことをやっていけたらいいなと考えています。

たとえばECならではの体験として、品揃えのよさがある。試着予約がいい例ですが、1店舗に投入されるスーツの量が限られている中で、ECには全国の店舗にある商品をなるべく掲載しています。これにより地方のお客様が都心限定のスーツをECから試着予約で最寄り店舗に取り寄せて買うようなことも可能となっています。

レコメンドエンジンによるパーソナライズ化で多様なニーズに対応

――ECではパーソナライズにも力を入れておられますね。

長谷川:洋服の青山の店舗スタッフの営業力は当社の最大の強みであると自負していますが、その接客力をECで再現するために、パーソナライズ化は非常に重要だととらえています。

店舗ではスタッフがお客様と会話する中でうまくニーズを引き出して、つど最適な商品提案ができるのに対し、ECは商品一覧からお客様ご自身で気になる商品を探したり、見た商品が気に入らなければまた商品一覧に戻るという作業が必要だったりと、店舗とは違うわずらわしさもあります。

当社ECでは以前からカテゴリベースで関連商品をレコメンドする機能は搭載していましたが、ユーザーに対して画一的な商品提示となっていたため、クリック率が上がらないという課題がありました。

そこで洋服の青山では2020年の秋、THE SUIT COMPANYでは今年の3月に、ECサイトをリニューアルするタイミングでレコメンドエンジンをシルバーエッグ・テクノロジー株式会社の「アイジェント・レコメンダー」に変更。過去の閲覧傾向を分析しながら商品をご提案できるようになりました。

「アイジェント・レコメンダー」を使うことで、お客様や商品の属性に基づく決め打ちの「おすすめ」ではなく、お客様が過去にどんなものを見たり買ったりしたかという行動パターン分析に基づいたダイナミックな「おすすめ」で、1人ひとりに最適化した商品のご提案ができるようになりました。

■アイジェント・レコメンダー
過去の閲覧経路を見ることで、店頭での接客のように個別ユーザーの嗜好にあった商品のレコメンドを実現する。

――パーソナライズ化の成果はどのように感じられていますか。

長谷川:導入した去年11月から年度末までの月平均注文件数が7〜8%ありました。すべてがレコメンドの効果だけではないと思いますが、良い数値が出ています。

小島:お客様が100人いたら100通りの趣向がありますが、そこに細かくアプローチできるようになりました。例えば、今回EC専用商材「ヘヤウェア」を開発しました。ネーミング通りカジュアル寄りな商品でお家でのテレワークをはじめ、近所のカフェにも行けるような商品をコンセプトにしていますが、従来のようにすべての会員にお知らせをするのでなく、過去の購買傾向からアプローチできるようになりCVRの向上につながっています。

長谷川:洋服の青山ではワイシャツが伸びましたね。サイズさえわかればECでも気軽に買えますし、コロナもありテレワークでもきちんと見えるということで需要が高まったことも大きかったと思います。

まだ「アイジェント・レコメンダー」の機能を使い切れていない部分もありますので、より活用しながらパーソナライズ施策を推進したいと考えています。まだ検討段階にありますが、次はレコメンドをメールに載せたいですね。現在利用しているMAツールに組み合わせる形で、決まった日時や文面パターンでメールを出したとしても、レコメンドの部分だけは1人ひとり違う形にしてメールを送れるという機能を使いたいと思います。

またWEBだけでなく、POSシステムと連動しながらリアル店舗の購買履歴も加味してレコメンドを出す機能もあるので、そちらも活用したいですね。出し口もWEBだけではなく、EC担当者が把握する形もとれるので、どのように使うか検討しています。

「アイジェント・レコメンダー」を導入して、人間の分析ではできなかった、お客様1人ひとりへのレコメンドをお出しできることになったのは大きな進歩であり、実現したい理想の幅が広がりました。ゆくゆくはお客様が当社ECサイトを訪問すると、トップページが1人ずつ違うような世界観を作りたいとも考えています。

アイジェント・レコメンダーが気になる方はこちら

OMO戦略でEC・店舗併用顧客を増やし、再度業界を盛り上げたい

――今後の展望をお聞かせください。

長谷川:市場縮小が叫ばれている中、EC事業を含めたDX戦略、OMO戦略が、業界を再度盛り上げることに向けての当社の大きな柱となっており、会社からも大きな期待感や課題が寄せられています。

シルバーエッグさんでは今後もデータサイエンティストを増強されるそうで、当社のビジネスモデルに合ったチューニング、新しいアルゴリズムを提供していただくことになっています。エンジンを活用しながら、より深く売り上げ、顧客体験にコミットしたサービスを展開していきたいと思います。

小島:THE SUIT COMPANYでもエンジンを活用しながら、ユーザーニーズを追求していき、ファッションでのお悩みをしっかり解決できるサイトを目指していきたいですね。

今後も引き続き、店舗とECの垣根をなくしていき、青山商事全体でお客様に満足していただけるような新しい購買体験をつくっていけたらと思います。

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