エスキュービズム・テクノロジー主催 オムニチャネル時代本格到来セミナー

ECのミカタ編集部

中堅小売・外食に広がるIT革新 オムニチャネルという大潮流

小売外食を中心にソフトウェアのソリューションを提供するエスキュービズム・テクノロジーが主催する、「コンビニだけじゃない。中堅小売り業の現場で進むIT革新」をテーマにしたオムニチャネルセミナーを、弊誌編集部の島名が受講した。同社製品のタブレット型POS「Orange Tablet」などの導入実例など交えながら、必要とされる情報の解説と整理でオムニチャネル時代の今をヒモ解く。

オムニチャネル成功のポイント4点

壇上で講師を務めるのは、株式会社エスキュービズム・テクノロジー代表取締役社長の武下真典氏。オムニチャネルを成功させるポイントとして、以下の4点をあげた。

1:ロードマップの策定
2:社内の体制づくり
3:データ連携、システム統合
4:店舗用ハードウェアの刷新

1では、所属する業界中の自社ポジション、強みと弱み、コンペティター動向の調査、ユーザーのニーズや購買行動の特性分析など、自社を取り巻く環境の分析を行う。
氏が一番大切と考えているのはこの2であるという。店舗運営部門、オンライン部門、カスタマーサポート部門、情報システム部など、縦割りの組織でそれぞれが企画運営する従来の体制では、成果の横取りなどの意識的な問題が起こりがちである。販売チャネルごとの囲い込み意識をなくすためには根本的な組織改革が欠かせないとし、会社のマーケティングを統括する部門を設立し、組織的なオムニチャネル化推進が必要であると説いた。
3では、チャネルを連携させたマーケティング戦略を立案、分析するために、各チャネルの情報、特に店舗とネットの情報を統合することが大切とする。
4では、店舗とネットの情報を統合するために、購買履歴や行動履歴のデータ化及びその確認ツールが必要であるという。過去の接客履歴を参照するため、タブレット端末などで接客しながら記録を行う。

以上4点を踏まえ、オムニチャネル時代の本格到来、中堅小売や外食産業におけるIT革新の波について説明をしていく。

オムニチャネル・セミナー

・エスキュービズムテクノロジー紹介

小売、外食業を中心に1,000社へのシステム導入実績を持つ、同社システムの紹介。店舗での「Orange Tablet」、オンラインでの「EC-Orange」がメインプロダクトであり、独自の特許技術やベンダーフリーな仕組みで競合との差別化に成功している。ユーザーの意見を生で聞いており、直取引が多く、欲しいニーズを反映しているという点では他社の追随を許さないサービスを誇る自信があるとする。

・オムニチャネルの実態

2012年あたりより使われていた「オムニチャネル」というキーワードは、単なるバズワードとして認識されていた。しかしセブン&アイが参入してきたことにより、他の経営層に火をつける結果につながり大手小売業が本腰を入れるようになる。また、エスキュービズム・テクノロジーが半年以上の期間を費やして独自調査を行った「オムニチャネル構築実態レポート」では、顧客囲い込みのためのデータ統合が話題となった。調査した28社の企業の4割が既にオムニチャネルに取り組んでおり、その全ての企業が効果を実感していると回答した。
レポートデータより、O2Oとオムニチャネルの区別はあまりされていなく、O2Oで会員獲得や来店増という成果はでているものの、客単価向上やリピート率改善には至っていない。O2Oによって新規顧客の獲得はある程度できるため、既存顧客の囲い込みが大きな課題となり、自社ターゲットと異なる顧客を集めても一見顧客で終わるためより制度の高い顧客獲得が求められる。中堅小売や外食企業は、「広くたくさんの」顧客を集める時代から、「自社に適した」顧客を選ぶ時代になってきている、などの調査結果が浮き彫りとなったとする。

・中堅小売、外食IT革新事例

店舗系小売りは自社顧客を囲い込み着実にリピーター化している。オムニチャネル事例として、丸善&ジュンク堂とハードオフコーポレポーションの実例を紹介する。

オンラインがオフラインに影響を与え、5人に1人が店舗取り置きを利用しているという丸善&ジュンク堂の実例では、他書店と比べ同社の実店舗における客単価は2倍であり、Amazonより品揃えが多く早く本が手に入る書籍ECサイトをコンセプトとしている。全国約100店舗の倉庫在庫を在庫情報統一することによりAmazonよりも多い在庫数を誇り、オンライン注文より最短一時間で取り置き可能なフローを実現している。店舗ですぐに実物を受け取りたいユーザーを意識した成功例といえる。

商圏範囲の店舗近郊から全国への拡大に成功したハードオフコーポレーションの実例では、中古品買い取りを店舗で行いPOSレジに登録するとそのままオンライン販売サイトに商品がアップされる仕組みを構築。これまでは買い取った店舗でしか販売ができず商圏が限られていたが、全国のユーザーがターゲットとなるため、マッチング率が非常に向上した。

外食IT革新事例の特徴としては、店頭で顧客属性をタブレット活用によりとらえ質の高い接客に活かしている。

写真プリントを主な事業内容とするプラザクリエイトは、楽天ポイントによる囲い込みを実施しレコメンドPOSレジで客単価アップを実現。楽天ポイントを読み書きできるPOSレジを日本出始めて開発し、600店舗をレガシーPOSからタブレットPOSへと変更した。圧倒的な数をほこる楽天会員を潜在顧客とし、店舗商圏内の楽天会員にDMを送り積極的にはたらきかけることによりリアルマーケティングの概念を変えようとしている。レジでカードを読み取ると過去購入履歴やおすすめ商品がレコメンドされるため、店員のセールストークがより効果的に行えるようになった。カードで集客しPOSでレコメンドすることにより、さらなる客数増加を目指している。

ディズニーランド、リッツ・カールトンなどと並ぶ最高級のホスピタリティをほこるサニーテーブルレストランCasitaでは、最高級のおもてなしを提供するため老朽化したシステムを捨て、感動接客を目指しエスキュービズムのOrangeシリーズを導入した。美味しい料理を提供するだけでなく、ユーザーの心まで満たすようなレストランでありたいというコンセプトを徹底し、マニュアルを超えた接客を同社タブレットが協力支援した。

これら成功事例より、効率化とおもてなしを両立するIT革新の波が小売・外食産業に押し寄せており、オムニチャネル導入による顧客満足度と購入頻度の向上実例をすでにいくつも生み出していることが分かると武下氏は語る。
さらに氏は、このままオムニチャネルシステムが完成すれば、もう一度O2Oにフィードバックが訪れ、高利益率O2Oとでも呼ぶべきのより精度の高い新客獲得施策が生まれるのではないかと予測する。O2Oによる新客獲得をデータ統合しオムニチャネルで定着化を図り、高利益率O2Oで回す。このフローをうまくまわしていける企業が今後の未来では勝ち残っていくのではと、自説の展開をもって締めとし、今回のセミナーは幕を閉じたのであった。



取材/写真/文:島名


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