複雑な海外配送作業を自動化するプラットフォーム「AnyLogi」とは?
越境EC市場は2026年には4兆8200億USドル(※)まで成長すると予測されている。一方で海外配送の際、法規制や関税への対応などの複雑なオペレーションが大きな障壁となっている。そうした課題を解決する海外配送自動化プラットフォーム「AnyLogi」をリリースしたAnyMind Group株式会社に話を聞いた。
※出典元:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
海外配送のすべてのプロセスを自動化
AnyMind Group(エニーマインドグループ)株式会社(以下「AnyMind」)は2016年にシンガポールで創業。現在はアジアを起点に13の国と地域に拠点を持ち、EC(D2C)マーケティングを中心とした領域で独自のプラットフォームを開発・提供している。
同社では2021年6月からD2C・EC事業者向けの物流管理プラットフォーム「AnyLogi」の提供を開始しており、「豊富な機能がアプリ感覚のシンプルな管理画面で使える」と利用者が急拡大している。その中で越境ECを手がける事業者の海外配送業務の煩雑さに対する悩みを耳にすることが多かったことから、2023年4月に「海外配送自動化機能」を提供開始。海外に複数拠点を展開するグローバル企業ならではの知見とネットワークを生かして幅広くEC事業者の支援を行なっている。
AnyMindのAnyLogiセールス担当である松山和磨氏によると、海外配送における障壁は主に「商品や国によって最適な配送会社の選定」「送り状・インボイスの発行や集荷依頼が面倒」「送料や関税の金額が不透明」の3つ。
「AnyLogiの管理画面から、特定の配送会社のアカウント登録や送り状及びインボイス発行、集荷依頼を画面上からワンストップで行うことができます。海外配送において不透明だった関税の確認ができる機能や、これまでは手入力だった住所の英語表記を自動翻訳して入力する機能もありますので、登録から約1時間で利用可能となり、国内配送と同じ感覚で手軽に海外配送ができます」(松山氏)
越境ECは国内のECに比べて返品率が高く、その対応の難しさも越境ECを展開する上での大きなネックの一つとなっているが、AnyLogiでは、商品が海外に到着後の返品対応がシステム上でできる機能の実装を目指しているという。
発送規模に関わらず、AnyLogiの特別送料割引を受けられる
AnyLogiのもう一つの特長は、世界220以上の国や地域でサービスを展開する国際宅配便・総合物流大手のUPS(ユーピーエス)との日本初の連携を実現したこと。これにより、個人事業者でも最低数量条件なしで大幅な割引が適用可能になる。つまりAnyLogiではUPSの配送サービスを簡単に登録・利用できるだけでなく、海外配送が自動化できるうえ、競争力のある価格での商品の海外配送までもが可能になるのだ。
AnyMindでAnyLogi事業責任者を務める久保銘中氏は、UPSとの日本初の取り組みにより、EC事業者はAnyLogiを利用するだけで、より簡単に海外配送できるようになったと言う。
「AnyLogiの海外配送機能を開発するにあたっては、お客様が抱えている課題を綿密にヒアリングしました。UPSと協力することで、両社の強みと専門性を活かし、お客様に堅牢なソリューションを提供できると確信しました。これを実現できたのは、当社とUPSがいずれもグローバル企業として相互理解があったためだと思っています」(久保氏)
今から越境ECを始めたい人へのサービスも充実
「越境ECに可能性は感じているし、挑戦したいが、売れるかどうか不安」と踏み切れずにいる事業者も多い。久保氏によると、越境ECを始めるにあたっての障壁は「物流手段」「決済方法」「外国人人材の不足」「モール出店型or自社サイト型の選択」の4点に分類できるが、このすべてにAnyMindで対応しているため、越境ECに関して知見が全くない事業者でも、安心してスタートできるという。特に自信を持っているのが、豊富な海外拠点を利用した現地でのテストマーケティングだ。
「越境ECを成功させるには、現地に合わせたローカライズをした上で、出店国で好まれるブランドにし、販売することが重要です。それには販売先国の市場調査とそこから見えてくる自社商品の立ち位置を十分に理解することが必要なのですが、それをせずに始めてしまい、余計なコストと工数がかかるといった失敗例をよく目にします」(久保氏)
AnyMindはグローバル展開をしている強みを生かし、各国オフィスの現地人による適切なマーケティング施策を行うことで、これらの課題すべてに対応している。中には現地モールに出品して簡単なテストマーケティングができ、1万円から始められるプランなどもあり、クライアントの予算や展開規模感に合わせた柔軟な提案が可能だという。
AnyLogiの認知を拡大しEC事業者の『次の一手』に
越境ECへの関心は急速に高まっているが、海外配送の煩雑な作業を簡素化するソリューションはまだまだ少ない。AnyLogiでは、利用開始までのハードルを極限までに下げ、簡単に利用できる仕組み作りに尽力。
「越境ECは日本国内のマーケットよりもはるかに大きく、その分、成長スピードも速い。『次の一手』を考えている事業者であれば、挑戦しない理由はないと考えています。これまでは障壁が大き過ぎるとためらっていた方こそ、当社を頼って欲しいと思っています。当社の海外ネットワークを使い倒し、十分な準備をしたうえでAnyLogiを活用して、越境ECをスムーズに成功させてほしいですね」(松山氏)
「日本の商品は本当に素敵なものが多いですが、マーケティングも物流でも『届ける』手段が不足しています。AnyLogiが普及し、海外配送の障壁が取り除かれれば、日本の素晴らしい商品をより簡単にお届けすることができ、今後の日本経済を推進できる可能性もあり、ワクワクしています」(久保氏)。
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