越境ECのハードルを下げる！　アジア初の真贋鑑定拠点は日本のセラーにメリットあり　

イーベイ・ジャパン株式会社 カテゴリーマネージメント部 部長 北村直樹氏

eBayは2023年末、越境ECの心理的ハードルを下げるため、アジアでは初となる真贋保証・配送の拠点として「eBay Authentication Japan Center/eBay真贋鑑定・配送サービス 日本センター」を東京都内に開設した。プロの鑑定士が特定商品の真贋を判定することで、日本のセラー（売り手）と海外のバイヤー（買い手）間の取引の安全性を担保するサービスだ。今回、真贋鑑定と海外への配送サービスを行う拠点が東京にできたことによって、海外に商品を販売するセラーにはどのようなメリットが生まれたのか。イーベイ・ジャパン株式会社の北村直樹氏に、日本センター立ち上げの狙いやサービス内容について聞いた。

高額なブランド商品を安全に取引するために

──日本のセラーが販売する中で、海外で人気があるのはどういった商材でしょう。

海外ではハンドバッグや時計、ジュエリー、スニーカーなどが売れ筋で、特にラグジュアリーなアイテムが伸びています。もちろん、世界中にファンがいる日本のアニメ・キャラクター関連グッズやゲーム、トレーディングカード類もよく売れます。また近年はオートパーツ（自動車部品）やカメラ、楽器、スポーツ用品などが注目されています。

──アニメ関連やゲーム、トレーディングカード類はイメージがありますが、ラグジュアリー・アイテムやカメラ、スポーツ用品などは扱う国が多そうです。日本のセラーが販売するこれらカテゴリーの商材が、海外で人気なのはなぜでしょうか。

eBayでは新品も中古品も取り扱っていますが、日本の中古品は圧倒的に状態がよく、クオリティーが高いことから海外のバイヤーの方々に高く評価されています。また、サステナビリティ、SDGsの観点から世界的に中古・リユース品の需要が高まっていることもあり、2024年以降も“日本人気”は続くと考えられます。

──eBayでは日本のセラーに向けて、2020年11月から「真贋保証サービス」を提供されています。どのようなサービスか、改めてお聞かせください。

eBayで販売される特定カテゴリーの商品について、販売後にそれが本物か偽物かを無料で鑑定するサービスです。アメリカのセラー様に向けては同年9月からサービスを提供していましたが、日本のセラー様に向けても同様のサービスを提供することになりました。

──なぜ「真贋保証サービス」を提供することになったのでしょう。

eBayは190を超える国と地域に展開する世界最大規模のオンラインマーケットプレイスで、常時20億点が出品され、世界中で売買が行われています。それだけ巨大マーケットに成長しているからこそ、取引における安全性の担保が必要だと考えています。特に高額商品に関してはeBayとしては売り手と買い手が安心して取引ができる環境を整えることが重要と考え、「真贋保証サービス」を提供するに至りました。

東京のセンターは、ハンドバッグを取り扱うeBayの拠点としては世界で6番目となる

プロの鑑定士が商品の真贋や状態を厳しくチェック

──商品が売れてから、購入者の手に渡るまでの流れについて教えてください。

日本のセラー様の対象商品がeBayで売れた場合、まずセラー様からアメリカの鑑定センターに商品を送っていただき、そこでプロの鑑定士が商品の真贋や状態をチェックします。問題がないと鑑定されたら、梱包後に独自の鑑定カードとセキュリティタグを貼付し、バイヤー様に商品を送るという流れです。

返品が発生した際は、その商品が発送時と同じものかどうかを判定するため、再び鑑定センターを経由してセラー様に商品をお戻しします。これによりバイヤー様には安全・安心なお取引の機会を提供できますし、セラー様は返品時のリスクを回避できるようになります。

──昨年12月には、アジア地域では初となる「ebay真贋鑑定・配送サービス 日本センター」を東京都内に開設したそうですね。

冒頭お伝えしたように、海外のバイヤー様の日本の商材への関心は非常に高いです。ebay本社も取引額の増加から日本を重要拠点の一つと位置付けていることから、今回、アメリカと同様の鑑定センターの都内開設に至りました。

現在は一部のセラー様のみではありますが、アメリカの購入者に向けた500ドル以上2500ドル未満のハンドバッグと財布を対象に、日本国内で真贋鑑定を行っています（2500ドル以上の商品はアメリカで対応）。対象ブランドはBalenciagaやHermès、Louis Vuittonなど16ブランドです。

──鑑定にはどれくらいの日数を要するのですか。

商品がセンターに届いたら、基本的にはその日のうちに真贋鑑定を行い、即日海外配送いたします。国際宅配便を利用して、アメリカであれば2～3日でお届けが可能です。

──日本に鑑定センターができたことで、セラー様にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

これまでは真贋鑑定を受けるため、自己負担で対象商品をアメリカに送る必要がありましたが、今後は国内配送で済むようになります。鑑定後の商品はeBay側で梱包し、責任を持ってバイヤー様にお届けするので、輸送面の負担が軽減されるメリットもあるでしょう。

図内の略語は以下。※1「AG JP Hub」＝eBay真贋鑑定・配送サービス 日本センター　※2「AG US Hub」＝eBay真贋鑑定・配送サービス 米国センター　※3「PSNAD（Partially Significantly Not As Described）」＝実際の商品の一部が商品ページの説明と大きく異なる　※4「SNAD（Significantly Not As Described）」＝商品状態が著しく記載されている状態と違う

越境ECのハードルを下げ、セラーの売上拡大に貢献

──類似サービスを提供する他の越境ECプラットフォームと比較して、eBayの「真贋保証サービス」の優位性はどこにあるとお考えですか。

ebayが他の越境ECプラットフォームに比べて圧倒的に勝っている点は、真贋鑑定の“経験値”です。ebayでは毎日大量の商品が取引されており、各カテゴリー専門の鑑定士が判定する商品の数も膨大です。

鑑定士は商品の真贋を見極めるポイントや、ブランドごとに異なる本物と偽物の見分け方などを熟知しており、取引の安全性を担保するため日々高い精度で鑑定に取り組んでいます。こうした真贋鑑定の知見や手法、技術、実績は、他社のそれらを凌駕するものだと自負しております。

「真贋保障サービス」は商品の買い手と売り手、双方にメリットがあると語る北村氏

──「真贋保証サービス」分野において、今後の計画や展望があれば教えてください。

現在日本センターでの取り扱いは、16ブランドのハンドバッグと財布だけですが、今後は取り扱いブランド数を38にまで拡大する予定です。また、年内には新規カテゴリーとして時計の取り扱いを開始します。将来的には高額取引の多いジュエリーやスニーカー、ハイブランドストリートウェア、トレーディングカードなどにも対応していくつもりです。

──取り扱うカテゴリーやブランドを広げていくことは、御社が目指す“安全・安心な取引”の実現に大きく貢献しそうですね。

そうですね。当社の使命は、越境ECのハードルをいかに下げるかということだと心得ています。真贋鑑定サービスの無償提供はその一環で、これにより世界中のバイヤー様はebay内で安心して商品を購入できるようになり、結果として日本のセラー様の売上拡大に貢献できると信じています。

──最後に、越境ECを検討している事業者様にメッセージをお願いします。

人口減少が続く日本市場はシュリンク傾向にありますが、海外に目を向けるとまったく違った世界が広がっています。日本ではあまり価値のなかったアイテムがアメリカで爆発的にヒットしたり、国内とは異なる売れ方をしたりすることが少なくありません。同じ商品でも、売る場所や相手が違えば、新たな価値を生む可能性が十分に考えられます。

越境ECのハードルは決して低いものではありませんが、eBayはそれを少しでも下げられるよう日々努力していますので、越境ECにチャレンジする際はぜひeBayをご活用ください。

※「真贋保証サービス」の適用エリアはアメリカ本土及びハワイ、アラスカ。ただしPO BOXは左記であっても対象外。プエルトリコや米国バージン諸島を含む非法人領域や軍事郵便局の場所は「真贋保証サービス」には現在対応していない