人に言いにくいお悩みを解決するプロダクトで成長 アンファーの戦略

田中凌平

アンファー株式会社 取締役 吉岡真実子氏

スカルプDシャンプーやまつ毛美容液など、幅広い商品を扱うアンファー株式会社は、健やかな生活を送るためのサポートをするヘルスケアカンパニーだ。芸人を起用したテレビCMで認知が広まり、現在は自社ECやECモールを活用してお客様と継続的な関係構築を実現している。アンファー株式会社のプロダクトの特徴やEC戦略を同社 取締役 吉岡真実子氏に伺った。

全てのプロダクトはドクターの声から生まれている

——貴社ではスカルプDシャンプー以外にも、酵素ドリンクやお出汁などの食品、サプリメントなど幅広く展開されています。どのような経緯でヘアケア・スキンケア商品以外を取り扱うようになったのでしょうか。

アンファーはすべての方が「美しく」「健やかに」生活を送れるようなプロダクトを開発しています。グループでクリニックも展開しているのですが、治療の領域はクリニックで、予防の領域はプロダクトでというイメージです。

——現場の声からプロダクトが誕生しているのですね。

基本的にプロダクトを作る時は、ドクターと相談しながら進めています。プロダクトの考え方や成分にドクターの意見が反映されていることは、よりアンファーのプロダクトを安心して使っていただけるポイントです。

ヘアケアのイメージが強いかもしれませんが、アンファーグループにはAGAなどの総合クリニックであるDクリニックが関連事業にあり、その他にも「ファストクリニック事業」や「オンライン診療事業」や「女性健診事業」を展開しているヘルスケアカンパニーです。各事業からプロダクトが誕生していくので、カテゴリーはどんどん幅広くなっていますね。

基本的にプロダクトを作る時は、ドクターと相談しながら進めているという。

自社ECとECモール、それぞれでお客様に最大限のサービスを提供

——ECの売上に手応えを感じるようになったのはいつ頃でしょうか。

2005年からECサイトでの販売を開始しましたが、手応えを感じるようになったのは、2008年の「K-BO-BO-プロジェクト」のプロモーションを行ったことでしょうか。芸人さんを起用したことがきっかけで認知が広まって売上も伸びました。

——自社ECはフルスクラッチで構築されたと伺いました。

最初はパッケージをカスタマイズしながら使用していたのですが、よりお客様のご要望に応えられるサイトにしようと2020年にフルスクラッチで構築しました。モールには楽天市場のポイントの利便性やAmazonであれば配送の速さという強みがあると思いますが、アンファーの自社サイトとしてはお客様が長く商品を使い続けていただきやすいサービス提供が強みとなるように、システムも含め一新したイメージです。

具体的には、自社ECで定期購入してくださるお客様は「アンファー ブルーメンバーズ」という特別な会員になってポイント付与率などが上がることや、定期購入する商品で同じラインであれば入れ替えができることが挙げられます。スカルプDシャンプーはオイリーやドライ、ストロングオイリーなどの種類があります。これらは季節的要因で使用する種類が変わることもあるので、毎回定期購入を解約しなくてもその時に適した商品が選べる仕様にしました。

アンファーを有名にしたスカルプDシャンプー

——ECモールでの工夫などもお聞かせください。

お客様のお悩みや求めているキーワードに対して見つけやすくすることを意識しています。EC運営をしているとユーザー視点を忘れがちになってしまいますが、何をどのようにサポートできる商品なのかをお客様目線でわかりやすく伝える商品ページを心掛けています。

また、楽天市場のスーパーセールのような大きなイベントの波には乗るようにしていますね。お祭りであることを期待して、来訪してくださるお客様が多くいらっしゃると思いますので、特別感が出るようなページやサービスを意識しています。

もちろん購入いただいて終わりではなく、ECモールでもできる限りCRMを大切にしています。ご案内を商品配送の際に同梱したり、決められたルールの中で最大限のコミュニケーションをとったりしていますね。

人には相談しにくいお悩みを愉しく解決したい

——現在はどのようなプロダクトに力を入れているのでしょうか。

今はスカルプDに続く第2、第3の柱となるような商品を生み出したいと考えています。私たちは男性特有・女性特有のお悩みに特化したソリューションを持っているのが強みです。そこで、2022年に男性不妊をサポートすることを目的とした新ブランド「HOMTECH(オムテック)」、女性のデリケートゾーンのケアブランド「Femtur(フェムチャー)」を立ち上げました。

男性不妊の予防ケアから社会課題解決に貢献するメンズウェルネスブランド「HOMTECH(オムテック)」

女性のデリケートゾーンのケアをする商品「Femtur(フェムチャー)」

アンファーは、なかなか人には言えないようなお悩みを解決して成長してきました。AGAも今でこそ認知が広まっていますが、当初は人には言いにくい悩みだったんです。そのような悩みを気分良く解決できるプロダクトをこれからも作り続けたいですね。

——人に言いにくい悩みを解決する商品の詳細をじっくり読めるのはECの特長と言えますね。

例えば男性不妊を解決するプロダクトがあっても、なかなかお客様は店頭でじっくり眺めることはしないと思います。その商品のことを詳しく知りたいですし、比較もしたいですよね。ECでは商品ページに必要な情報は全部載せて、お客様が納得いただけるまで比較できます。なので、店頭でじっくり選べないような商品とECの相性はとてもよいと感じることがあります。

ブランドごとに異なる全てのお客様に満足いただけるショップを

——今後のショップ展開についてお聞かせください。

今はアンファーストアで全てのUI/UXが同じなのですが、プロダクトごとに変えたいと考えています。例えば、お届けの梱包ひとつとってもスカルプDシャンプーを購入した時は何が梱包されているのかわからない状態がいいこともありますし、まつ毛美容液は可愛くラッピングされている方がいいかもしれません。スカルプDシャンプーを購入されるお客様とまつ毛美容液を購入されるお客様では、好まれるサービスや体験が異なります。

また、最近は学生さんの購入なども考慮して、クレジットカード以外の支払い方法も充実させなくてはいけません。アンファーはターゲットとなるお客様がブランドごとに大きく異なるので、それぞれのお客様が満足いただける買い物体験を提供したいですね。

——EC運営で大切にしていることもお聞かせください。

当たり前のことですが、お客様が購入したプロダクトが間違いなく「希望の日時」に「希望の状態」で届くことを徹底しています。どんなに魅力的なブランドでも、この点をおろそかにしてしまうと信頼を失ってしまいます。これからも当たり前のことを当たり前のように行って、お客様のお悩み解決に貢献していきます。

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記者プロフィール

田中凌平

フリーライター。東京都生まれ。ラグジュアリーブランドでの接客経験を活かし、話し手に寄り添ったインタビューが得意。上場企業の経営層から個人まで幅広く対応。ジャンルを問わずSEO記事やコラムも執筆し、取材記事を含めてこれまで300本以上の記事を執筆。

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