BtoB-EC市場拡大の背景と請求業務において押さえるべきポイント【マネーフォワード ケッサイ セミナーレポート】

ECのミカタ編集部 [PR]

株式会社マネーフォワード ビジネスカンパニー ERPセールス本部 Fintechセールス部 岡本創氏

ECのミカタが主催し、BtoB-ECをテーマに開催したオンラインカンファレンス「BtoB-ECの全体像と落とし穴を知る1日」から、今回は株式会社マネーフォワード ビジネスカンパニー ERPセールス本部 Fintechセールス部 の岡本創氏によるセッションをレポート。岡本氏は、①BtoB-ECでデジタル請求が増えている背景、②BtoB-ECにおける請求業務で押さえるべきポイント、③BtoB-ECでのデジタル請求の活用事例という3つについて、拡大するBtoB-EC市場の現状を踏まえて実践的に紹介した。

マネーフォワード ケッサイの資料はこちら

BtoB-EC市場の動向とデジタル請求が増えている背景

マネーフォワードケッサイ株式会社は、多彩なクラウド会計サービスを提供している株式会社マネーフォワードのグループ企業として、企業間後払い決済・請求代行サービス「マネーフォワード 掛け払い」ほかを開発・提供している。決済代行関連業務に長く携わる岡本氏はその豊富な知見をもとに、まず「BtoB-EC×デジタル請求が増えている背景」について解説した。

近年のBtoC-EC市場の成熟と成長鈍化により、多くの企業が桁違いに市場規模の大きいBtoB-ECに注目している。岡本氏によると、中でも増えているのが「BtoC-ECをやっていた事業者様がそのWEBマーケィングのノウハウをそのままBtoBに織り込んで成功するケース」。BtoBでは現在もFAXでの受注や請求書の郵送といったアナログな手段が多く使われているものの、こうした新しい企業の参入によってデジタル化の流れが進んでいるという。

物販BtoC-EC、物販BtoB-ECの市場規模とEC化率(出典:電子商取引に関する市場調査〈経済産業省〉、ヤマト運輸株式会社IRからマネーフォワードケッサイ株式会社が独自集計〈カンファレンス登壇資料より〉)

岡本氏は「紙を電子化する」根本に日本の労働人口の減少があることも指摘。「国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」ほかのデータによれば、今から10年後には労働人口(15~64歳人口)が10パーセント減ると予測されています。つまり、100人でやっていた仕事を10年後には90人で運用できるようにしておかないと、仕事が回らなくなるということです」(岡本氏)。採用難に加えて、物流の2024年問題、FAX受注をはじめとするアナログな業務環境に失望する若年層が多いことも、BtoB業界の人手不足に拍車をかけていると同氏は分析する。確かに、これらの課題を解決するには業務のデジタル化が不可欠と言えるだろう。

そうした社会情勢の中で受発注の電子化(BtoB-EC)の追い風となっているのが2023年に始まったインボイス制度と、改正された電子帳簿保存法(以下、電帳法)だ。「インボイス制度と電帳法により、これまで郵送で請求書をやりとりしていた会社、電話や紙で受発注を行っていた企業が、それらをデジタルに切り替えています。電子化に消極的だった取引先様にも『法制への対応なので』ということであれば、受け入れられやすいと思います」(岡本氏)。この請求・受発注のDXで生まれたリソースを、先述のBtoC-ECのノウハウを転用したWEBマーケティング施策に使うことで、“攻めのBtoB-EC”につなげることができると、岡本氏は提言する。

請求業務におけるBtoC-ECとBtoB-ECの違い

岡本氏によれば、BtoC-ECをやっていたEC事業者がBtoB-ECに参入する場合、請求業務の違いをしっかりと押さえておくことが必要だという。まず、BtoC-ECの支払い手段はクレジットカードやID決済が多いが、BtoB-ECではインボイス制度と電帳法への対応が必要であることから請求書払いが多い。また支払いサイクルに関しても、BtoB-ECでは注文ごとの請求となるが、BtoB-ECでは“月末締め翌月末払い”“〇月締め〇日払い”というように企業・商品ごとの処理が求められる。さらにBtoB特有の商習慣への対応も必須となる。「例えば、内部統制上、与信や反社(反社会的勢力)チェックが必要になりますし、1注文当たりの金額も買い手の規模によって大きく異なります。こういったBtoB特有の商習慣も含めて請求の仕組みを考えておかなければなりません」(岡本氏)。

請求業務におけるBtoC-ECとBtoB-ECの違い(カンファレンス登壇資料より)

加えて岡本氏は、BtoB-ECの請求業務に関するいくつかのポイントを挙げた。「BtoB-EC専用カートならインボイスの発行まではできますが、それでも電帳法の対応は別途考える必要があります。また、外部の請求サービスの導入を検討する場合、大口・既存の取引先なら与信や保証サービスはほぼ不要ですが、中小法人・個人事業主様の場合は与信などに課題が出てくるので、顧客レンジや属性によってサービスを使い分けるのが効果的です」

BtoB-ECの請求業務におけるインボイス制度・電子帳簿保存法の対応(カンファレンス登壇資料より)

マネーフォワード ケッサイの資料はこちら

BtoB-ECの請求業務におけるアウトソーシングサービス活用事例

では実際に外部サービスを利用した場合、請求業務の流れはどのようになるのか。下の図は、マネーフォワード ケッサイが提供するサービスの利用イメージで、左側がサービス利用企業、右側が取引先(買い手)となる。

取引先が利用企業のBtoB-ECサイトに会員登録したタイミングで行われる与信審査を経て、取引先はすぐに売り掛けでビジネスをスタートできるようになる。取引先がBtoBのEコマース上で注文して決済方法を選択すると、その請求データはマネーフォワード ケッサイへ。同社はインボイス制度・電帳法に対応した請求書を取引先に送り、代金もマネーフォワード ケッサイの口座に支払われる。利用企業には同社から手数料控除後の代金が入金されるという仕組みだ 。仮に取引先からの支払いが遅れたり支払われなかったりした場合も、『マネーフォワード ケッサイ』が督促対応や、未入金時の入金保証(※1)も行う仕組みだ。「請求業務を丸ごとアウトソースできる。つまり、BtoC-ECにおけるクレジットカード払いや後払いと同様なものと捉えていただければと思います」(岡本氏)。

マネーフォワード ケッサイのサービス概要(カンファレンス登壇資料より)

最後に岡本氏は、同日のカンファレンスに登壇した株式会社Daiが運営する「Bカート(※2)」の公式BtoB決済サービスであり、同社とマネーフォワード ケッサイが共同で提供する「Bカート掛け払い powered by Money Forward Kessai」における【入金保証あり(新規・小中法人向け)】【入金保証なし(既存・大企業向け)】それぞれの利用モデルを紹介しつつ、セッションを締めくくった。

「請求業務をアウトソースすることで、少人数・低コストで請求業務を回せます。デジタル請求に切り替えていただく場合にEコマースとセットで導入いただくとよりスムーズに進む場合が多いので、まずはEコマースの仕組みを入れていただき、そこにうまくデジタル請求のサービスを組み合わせて使っていただくのが良いと思います」(岡本氏)。

「Bカート掛け払い powered by Money Forward Kessai」の利用イメージ(カンファレンス登壇資料より)。

※1:所定の場合に限る

※2:「Bカート」は株式会社Daiが提供する、受発注・請求・営業をDX推進するBtoB専用のECプラットフォーム。詳しくはこちらの記事を参照

岡本 創(おかもと そう)
株式会社マネーフォワード ビジネスカンパニー ERPセールス本部 Fintechセールス部 業務改革・デジタルトランスフォーメーション・事業開発支援のコンサルタント。新卒でコンサルファームに入社後、大手自動車メーカーやSIerのプロセス短縮のコンサルティング、システム化支援、組織変革支援。その後、ネットベンチャー、大手物流会社を経て2019年にマネーフォワード入社。営業企画、パートナーアライアンスを担当するかたわら、複数社の事業立ち上げやBtoB-EC立上げを支援。セミナー登壇も年25回超。

マネーフォワード ケッサイの資料はこちら


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事