新生活市場とセール動向から読む、2024年の3大ECモール市場の変化と2025年の可能性【Nint セミナーレポート】

ECのミカタ編集部

EC市場の動向をつかめば、自社ECサイトで本当に力を入れたい商品や時期が見えてくる。新生活が始まる4月を目前に控え、需要をしっかりキャッチしてトレンドの流れに乗りたいと考えるEC担当者は多いだろう。

株式会社Nintは、ECモールに特化したデータ分析の分野で豊富な実績を持ち、その専門性は多くの企業から高く評価されている会社だ。2024年12月に開催されたECのミカタカンファレンスでは、1900社以上の導入実績を持つ主力分析ツール「Nint ECommerce」を活用して2024年の市場動向を詳細に分析し、その結果から2025年のEC市場の展望を明らかにした。同社のデータアナリスト・山本真大氏のセミナーから、EC戦略に役立つ動向をレポートする。

EC市場と3大ECモール市場

山本氏は、このセミナーでは特に3大ECモール(楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon)における新生活市場とセール動向に着目することを掲げた上で、まずは3大ECモール市場がEC市場全体においてどのような立ち位置にあるのかを分析した。

山本氏によると、2019年から2023年までの市場成長率はEC市場全体がプラス46%に対し、3大ECモールはプラス57%と、市場全体を大きく上回る成長を記録。市場構成比においても、EC市場全体に占める3大ECモールの割合は約68%と、市場の約7割を占めていることが明確になった。このデータは、3大ECモールの存在感が非常に高いことを示している。

画像提供:株式会社Nint(カンファレンス登壇資料より)

2024年新生活市場の分析結果~家具・寝具が低調ななか、高単価なテレビやケトルが好調

次に山本氏は、2024年3月の新生活市場動向における分析結果を示した。3大ECモールの新生活市場は右肩上がりで成長しており、売上規模はトップが家電、次点が家具・寝具、次に服飾雑貨、生活雑貨と続く。

ただし3月単月の平均単価推移を見ると、家具・寝具カテゴリー、生活雑貨カテゴリーが前年割れしており、特に家具・寝具カテゴリーは平均単価が下がっている。これは、消費者の購買チャネルが多様化していることや、購入タイミングの分散など、消費行動に変化が見られる可能性があるという。

一方で2024年好調ジャンルの「テレビ」「電気ケトル」では高単価商品が伸長しており、電気ケトルは「0.8L」「電気ポット」とついた商品名が増えている。またテレビではネット動画対応や4K対応といった高機能製品が市場を牽引している。

こういった価格帯・売れ筋商品の特徴などから、山本氏は「価格帯別で売れ筋商品などの特徴をチェックし、消費者ニーズを掴む必要性が高まっています」とした。

画像提供:株式会社Nint(カンファレンス登壇資料より)

2024年、セールの動向は? セール後の売上に注目

2024年1月から6月、7月から12月の各モールの大型セールをまとめたところ、各モールでセール期間の増減や開催時期の変更など、様々な変化が見られた。特にAmazonでは、プライムデーやプライム感謝祭で先行セールが導入されるなど、セール期間の長期化が進んでいる。3大ECモール全体で見ると売上は増加傾向にあり、ビッグセールが依然として重要な販売機会であることが改めて示された。

セール時の売れ筋ジャンルは、2024年1月~7月の上半期は各モールとも家電が一位であった。9月から12月の下期は、モールごとの特徴が現れるが、衣類・服飾雑貨は安定したニーズがある。

また、山本氏は重要な発見として「セール期間後の売上はセール期間前よりも高い傾向が2024年より顕著に出ています」と発言。セール前日と比較すると2023年はプラス0.1%であった売上率が、2024年はプラス61%と、セール期間後の方が伸びている。「セール期間後、数日間は様子を観るようにしてください」と提言した。

画像提供:株式会社Nint(カンファレンス登壇資料より)

2025年のEC市場予測~成長ジャンルは衣類、服飾雑貨、化粧品

山本氏は最後に、2024年の分析結果を踏まえた2025年のEC市場予測を示した。

直近の3大ECモールの動向を見ると、食品ジャンルが2024年上半期から若干マイナスに転じつつも、7月から10月では回復傾向にある。

一方、衣類、服飾雑貨はかなり好調だ。「衣類・服飾雑貨」と「生活雑貨・インテリア」ジャンルは単月でみても前年割れせず、継続成長中。さらに2ジャンルは、経済産業省の「令和5年電子商取引に関する市場調査」でEC化率の上昇が高いジャンルと同じであることが山本氏により指摘された。

さらに山本氏は、ジャンルごとの成長率に関するデータを用いて、ジャンル粒度の重要性を示した。「化粧品、医薬品」ジャンルに注目し、ジャンル粒度が大きいと成長率はプラス5%と見えるものの、「化粧品」「医薬品」似分類すると、化粧品が医薬品を大きく牽引している。このことから、「見たいジャンル粒度で物事を見ていくことが非常に重要です」とコメントした。

画像提供:株式会社Nint(カンファレンス登壇資料より)

重要性を増すデータに基づいた戦略立案

山本氏は最後に、「各モールとも11月、12月が売上高の多い月となっており、新生活が目前となる3月も売上が多くなる傾向にあります」とデータを示し、2025年も類似傾向があるのではと分析したうえで「変化の激しいEC市場において、データに基づいた戦略立案はますます重要性を増しています」とまとめた。

画像提供:株式会社Nint(カンファレンス登壇資料より)

ECサイトの戦略において、データの重要性がますますあらわになった今回のセミナー。様々なツールを使いこなし、今のトレンドを押さえて今後の傾向を予測しながら、サイトの舵取りをしていきたい。

山本 真大
株式会社Nint マーケティング・セールスディビジョン データアナリスト
株式会社明治の菓子営業としてキャリアをスタートし、主に店頭での販促施策を担当。その後IT業界・流通業界・他業界のメーカー職を経験し、オフライン市場における、製造・流通に携わる。EC業界の今後に魅力を感じ株式会社Nintへ入社。営業・カスタマーサクセスを経て現在、ECデータアナリストとして、数々のブログや電子書籍の執筆、セミナー登壇に関わる。セミナー登壇数は30を超え、オフラインの経験とオンラインのデータ分析をもとにした、セミナー内容は参加者からも好評をいただいている。