楽天✕Google「YouTubeショッピング アフィリエイト プログラム」 動画から楽天に直結する“新たな購買体験”
(左から)Google 日本法人 代表 奥山真司氏、Google 日本法人 YouTube Japan 代表 山川奈織美氏、Nous Inc. 代表取締役/ヘア&メイクアップアーティスト 小田切ヒロ氏、楽天グループ株式会社 代表取締役会長兼社長 最高執行役員 三木谷浩史氏、楽天グループ株式会社 専務執行役員 コマース&マーケティングカンパニー プレジデント 松村亮氏
すでにニュースでお伝えしているように、2026年2月、楽天グループ株式会社はGoogle社と「YouTubeショッピング アフィリエイト プログラム」のパートナーシップを国内で初めて締結したことを発表。この提携により、ユーザーはYouTubeの動画などから「楽天市場」の商品をよりシームレスに購入できるようになる。
本稿では、楽天・Googleの両経営陣およびクリエイターが登壇した2月19日の共同記者発表会をレポート。そこで語られたプラットフォームとしてのYouTubeショッピングの強みや、日本市場における「YouTubeショッピング アフィリエイト プログラム」発展の展望を紹介する。
●参考記事【楽天市場、商品をYouTubeからシームレスに購入できる「新しい購買体験」を提供】
https://ecnomikata.com/ecnews/ecmall/49658/
収益化・販売導線が多様化するYouTube
楽天とGoogle社の「YouTubeショッピング アフィリエイト プログラム」は、「楽天アフィリエイト(※1)」とは別で設定される、一定の資格要件を満たしたクリエイターに対して解放されるYouTube上の機能。自身のチャンネルを管理するダッシュボード「YouTube Studio」内の「収益化」メニューから参加でき、コンテンツに商品を紐づけることで商品情報が視聴者のYouTube上に表示される。
冒頭に登場したGoogle 日本法人 代表 奥山真司氏はYouTubeが日本のGDPに4600億円の貢献を果たしていることや、日本の視聴者の76%が「YouTubeを最も信頼できる動画プラットフォーム」と回答しているなどのデータを引用し、視聴者、クリエイター、EC事業者の全員にとって「三方良し」のエコシステムであると語った。
続けて登壇したGoogle 日本法人 YouTube Japan 代表 山川奈織美氏は、「メンバーシップ」や「スーパーサンクス」など、YouTubeを収益化する方法が多様化し、コンテンツ自体も長尺動画から文字投稿まで多様化している点を指摘。収益化方法の多様化がEC事業者にも広がっていると語る。
※1:「楽天市場」の商品やサービスをブログ・SNSなどで紹介し、そのリンク経由で商品が購入されると、商品価格に対する成果報酬が「楽天キャッシュ」や現金として還元される仕組み

「クリエイターへの信頼に根差したショッピング体験は、小売業者に対してエンゲージメントの非常に高いファンコミュニティにリーチするための新しい販売チャネルを提供する」と山川氏。日本に先駆けて本プログラムが公開されている海外の成功事例も紹介され、収益を40倍以上に伸ばした韓国のテック系クリエイターもいるとのこと。
楽天グループ株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏は祖業であるECの強化となる今回の発表を、「革命的なパートナーシップ」と評価。シームレスな購買体験により、「熱量を維持したままの送客」が可能になることへの期待を表明した。

また、楽天グループ株式会社 専務執行役員 コマース&マーケティングカンパニー プレジデント 松村亮氏は販売機会の増加に加え、「YouTubeのクリエイターエコノミーを、楽天エコシステムに統合できることをうれしく思う」と語り、両者提携のシナジーを強調した。
視聴者の「熱量」をショッピングにシームレスにつなげる
発表会の後半では山川氏とNous Inc. 代表取締役/ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロ氏による対談が行われた。小田切氏は本アフィリエイト プログラムの早期テストに参加しており、その手ごたえやファンとのコミュニケーションをいちクリエイターとして語った。
小田切氏のこだわりは「自分が実際に使ったもの」「本当に良いと思ったもの」を、「なぜいいのか」「人生がどう豊かになるのか」という切り口で伝えることだと語る。加えて、クリエイターとして「チャンネル運営は信頼と対話の積み重ね」という言葉も。
信頼してコンテンツに触れた視聴者には購買意欲がある。しかし、従来の検索を介して商品ページへ送客する導線では「熱量が落ちてしまう」と小田切氏。「ショッピング機能がついたことで、視聴したときの熱量のまま購入につながる」と、ファンから利便性を評価されたコメントも交えながら語った。

クリエイターとしては「アップロードの流れの中で自然に商品をタグ付けできる」ため、動画編集の工数が増えないことも好感触だという。そしてアップロードされた動画は削除しない限り残るため、過去に投稿した動画の収益性を高めることも可能だ。
小田切氏は今後への影響について、買い物するにあたって商品や自分への影響を深く理解できるようになることで、「YouTubeから買い物をする人が増えるのではないか」と語る。あわせて視聴者との信頼関係から生まれるコミュニケーションが購買行動を生み、購買がコメントを生むサイクルも紹介した。
楽天✕YouTubeがつくり出す「新しい購買体験」
質疑応答パートでは松村氏と山川氏が記者からの質問に回答。松村氏は今後の目標について、具体的な数値目標の回答を避けたものの、一方で「新しい付加価値、流通を形作っていく」と本アフィリエイト プログラムのミッションを提示。また、楽天市場に出店する事業者としては販路が増加したことで、「販売のモチベーションを生む流れになるだろう」と期待を寄せた。
山川氏は今後の機能拡張について「自動タグ付け」「AIによる商品の推薦」を具体的な開発内容として挙げた。コンテンツプラットフォームとして、編集負荷を高めないことが目的だと語った。

Googleが2025年7月に発表した米国での調査において43%の回答者が動画が「製品購入への関心を高めた」と回答している(※2)ように、購買前の判断材料として動画の重要度は高まっており、消費者はYouTubeなどに投稿されるUGC(ユーザー生成コンテンツ)も注視している。
事業者側にとっては、動画での露出や好感度を獲得する重要性が高まっているのはもちろんのこと、今後AIによる商品紹介が本格化していくにつれ、動画SEO(VSEO)やAIO(AI最適化)といった複合的な対策が販売成績に直結する日がやってきそうだ。
※2 YouTube 広告は認知を超えて購買プロセス全体に影響力 —— 優れている「注目」「関連性」「信頼」(Google)


