楽天 河野氏語る!9月開始 楽天市場の品質維持施策
ネットに秩序をもたらす、楽天の一歩
正しくないものは、正しくない。
いまや、インターネットが日常に当たりまえのように存在してはいるけれど、でも、できたのは、わずか20年ほど前の話である。登場して以来、あらゆることが新しくて、あらゆるビジネスだって、そこには生まれてきたけれど、行きすぎたこともたくさんあった。
二重価格の問題にしても、本来、3000円程度の商品にもかかわらず、現実的ではない定価10,000円を設定して、あたかも割引しているかのように2980円といって販売していて、問題がないわけはない。今から2年ほど前、それが大きな問題となったのは、記憶に新しい。新しく急激な成長と、その成長に追いつかず生まれた無秩序の世界において、そこにビジネスがなりたてば、あたかも正解のように思え、それがテクニックだと、堂々と言っているメーカーや問屋すらあった。だが、それは大きな間違いで、意識から変えることが重要だ。
9月から、楽天株式会社(以下、楽天)は、安心安全についての新たな施策に着手するという。これまでも模倣品販売など不正に関する問題には着手していたものの、今回、 新たな施策として取り入れるのは、大きくわけて、二つだ。
低レビューに対して、積極的な傾聴施策
一つは、レビューへの傾聴施策だ。レビューが、3点未満のものに関しては、お客様とネットショップの両方との間に、楽天が、程よく介在して、直ちにお客様に楽天が直接、電話によりヒヤリングを行う。平日、土日祝日 9時〜20時、お客様には毎日連絡していくとしており、その本気度がうかがえる。
程よく介在して、と書いたのは一方的に、お客様の声を取り入れるというわけではなく、たとえば、それがお客様による勘違いによるものではないかを確認し、本当にそれが店に起因するか、を確認するということであり、もしも店に起因すれば、ECコンサルとともに、その打開策を考えていくことになる。これがひいては、お客様における、その店に対する信用を取り戻す機会となるだろう。
実際、なぜに、レビューの傾聴施策なのか。楽天のデータによれば、レビュー点数に1をつけた人ほど、リピート率が95.2%と高いことから、こうしたお客様の声に耳を傾けること、それが本当にふさわしいECの環境が整うものと考えられたからだ。本当の狙いは、そこにある。
そして、傾聴施策によって、ユーザー起因、店舗のパートナー起因、楽天起因、店舗起因と事例ごとに、細かく原因を特定するのは、店舗自体はしっかり業務に取り組んでいるのに、そういう事例が起こってしまうことに対して、どう向き合うかを考えるためでもあるだろう。実際、店舗起因の場合は、1件あたり¥700 を調査活動費用の一部として負担をすることになっているものの、一ヶ月単位で5件を超えたときに限るとしており、悪質な店舗以外は、なかなかここに触れることもないと考えられる。
繰り返しを防ぐ。違反基準の見える化
もう一つは、そのルールについても、見える化を実施していく。違反点数制度の導入だ。これまで、楽天においては「何かあると退店させられる」という具合に、一見すると、それが何でもYesかNoか2択の判断でやられてしまうような受け止められ方が一部であった。ただ、その一方で、実際、何かの事象があった際には、個別の対応していたこともあり、店舗へのペナルティの基準が曖昧であった。そこで、全店に共通する、ルール決めを行い、それをオープン化して、そのレベル感に合わせた正確な処置を行っていくことで、店舗も心配感だけを煽られることなく、店舗運営をしていける環境をと整えていく。客観的な指標を設けることで、店舗運営において何に注意して進めていくのが大事なのかを、認識しながら進めていけることが大きい。未然に防ぐことができ、それが、結果的に、運営品質の向上にもつながる、とした。
必ずしも、店舗のそうした点を咎めるものではなく、純粋に、同じ行為を繰り替えさないということに重きを置いているのが特徴だ。一部の店舗にかぎるが、同じ行為を繰り返しやっていくところがあり、それが大きな問題に至っている場合が多い。そのため、その違反行為が蓄積された時に、その中身を具体的な違反点数として表現していくという。
例えば、連絡困難などは、軽微な違反に該当し5点、各種表記ガイドライン違反などは、通常の違反に相当し20点、検索文字列 消費期限切れ食品や外部サイト誘導などは、深刻な違反がそれにあたり、35点となっていく。年単位で考え、累積で35点となれば7日間、ランキング掲載の制限や検索表示順位が下げられるほか、違約金が10万円、55点となればその制限が14日間となり、違約金が40万円となる。
正しくないものは正しくないと言えるECに
楽天の言葉を借りれば、大多数の店舗がそれには該当しないというが、規約・ガイドライン違反の一例というものに関しては、どのようなものがあげられるだろう。例えば「レイバン風◯◯」「ヴィトン風◯◯」のいったものは、商品表示におけるガイドライン違反といえるだろう。その他でも「たった3週間でマイナス23kg!」といった表記なども、医薬品と誤認を与える効果効能を記載しているわけであり、規約・ガイドライン違反に該当する。
キャンセルに関しても、考え方を少しずつ変えていく。これまでも一部の店舗は購入履歴から、キャンセルや注文の変更ができるよう機能を解放していたが、それでも、店舗によっては個別でメールでお問い合わせくださいといった対応をするところもなくはない。だからこそ、それを、お客様が自分でキャンセル、変更ができるよう推奨していくという。実際、楽天市場のステータス設定別のキャンセル率を見てみるに、購入履歴から、キャンセルや注文の変更ができるようにした店舗とそうではない店舗との間で、ほぼ変わりがないというデータも出ており、店舗にとってはメリットが大きいのではないかとしている。一見すると、踏み込んだ施策と見えるが、この一歩が、本当の意味での健全なネット通販を作る上で、何年か後、大事な一歩であったと言われるような世の中になっているに違いない。