2024年7月30日、楽天市場のクーポン機能「RaCoupon」が新たに強化され、より柔軟なプロモーション施策が可能になりました。
本記事では、これらの新機能の詳細と効果的な活用方法を解説します。

まだ「RaCoupon」を使ったことがない方も、この記事を参考にして、基礎的な操作方法やクーポンのメリットを理解していただければと思います。
新機能の紹介の後、基本操作についても詳しく説明しますので、初心者の方は「基本操作のおさらい」のセクションをご覧ください！

新機能の概要

2024年7月30日に楽天市場のクーポン機能「RaCoupon」が大幅に拡充されました。
このアップデートにより、店舗運営者はクーポンの発行においてより細かい条件を設定できるようになり、特定のユーザーをターゲットにしたプロモーションがより効果的に行えるようになりました。
具体的には、ユーザーの性別、年齢、購買履歴、居住地などの詳細なセグメントに基づいたクーポン発行が可能になり、マーケティングの精度が向上しました。

料金プラン変更の概要
また、2024年4月1日から、楽天市場のクーポン料金プランが変更されました。
この変更により、各店舗が発行するクーポンのうち、月間の利用枚数が50枚を超えた分に対して、1枚あたり一律50円（税別）のシステム利用料が発生するようになりました。
この「システム利用料_ショップクーポン」は、2024年4月1日以降にユーザーが利用したショップクーポンに適用されます。

なお、2024年4月1日から2025年3月31日までの初年度には、システム利用料が30％減額される特典が提供されています。
楽天社は、これまで無料キャンペーンとして提供されていた有償サービスへの移行に伴い、マーケティング機能の拡充もセットで行うことをアナウンスしていました。

これらの新しい機能と料金プランの変更により、「RaCoupon」を利用する店舗運営者は、より効率的にクーポンを活用し、売上や顧客獲得の向上を図ることが求められます。

RaCouponの新機能と仕様

「RaCoupon」の新機能は、特にターゲティングの強化とクーポンの公開設定の柔軟化に焦点を当てています。
このセクションでは、各新機能の詳細とその仕様について解説します。

ユーザーセグメント機能の強化
新たに導入されたユーザーセグメント機能により、店舗運営者はクーポンの対象ユーザーを細かく設定できるようになりました。
具体的には、以下のようなセグメント設定が可能です。

●購買履歴
　・新規：過去24か月間に購入履歴がないユーザーに限定したクーポン提供
　・リピーター：特定期間内に購入履歴があるユーザーをターゲットにしたクーポン発行
●性別：男性または女性をターゲットにしたプロモーションが可能
●年齢：特定の年齢層をターゲットに設定
●誕生月：誕生日特典として特定の誕生月のユーザーにアプローチ
●居住地：都道府県ごとのクーポン提供が可能で、地域限定キャンペーンに最適

これらのセグメント設定により、特定の顧客層に焦点を絞ったキャンペーンを実施し、より効果的なマーケティングが期待できます。

クーポン公開設定の柔軟化
新たに追加された公開設定機能により、クーポンの有効期間中でも公開設定を変更できるようになりました。
これにより、以下のような柔軟な運用が可能になります。

・誤発行クーポンの即時非公開
クーポンの誤発行が発生した場合、即座に非公開設定にすることで、誤って発行されたクーポンによる損失や顧客の混乱を防ぐことができます。

・プロモーションの変更に対応
キャンペーンの内容や対象を急遽変更する必要が生じた場合でも、公開設定の変更を行うことで迅速に対応が可能です。
例えば、特定の商品の売り切れに伴い、対象商品を変更する際などに役立ちます。

基本的な活用方法

ここでは、「RaCoupon」の基本的な活用方法について解説します。
特に、新規顧客と既存顧客へのアプローチの違いを活かした効果的な施策について説明します。

新規顧客と既存顧客のセグメント化
新機能の導入により、新規顧客と既存顧客に対するプロモーションを個別に設計できるようになりました。

新規顧客への特典
初回購入時の特典として、通常より高い値引き率のクーポンを提供することで、新規顧客の獲得を目指します。
「初めてのお買い物で10％オフ」といったプロモーションが効果的です。
既存顧客のロイヤリティ向上
過去に購入したことがあるリピーターには、購入頻度や購入金額に応じた特別なクーポンを提供します。
「累計購入回数3回以上の方限定20％オフ」などのクーポンを発行し、リピーターの育成を図ります。

誤発行クーポンの対処法
クーポン発行時のヒューマンエラーを防ぐために、クーポン内容の確認は欠かせません。
しかし、万が一誤発行が発生した場合でも、新機能を活用して即時にクーポンを非公開にすることで、被害を最小限に抑えることが可能です。
これにより、意図しないユーザーへのクーポン提供を防ぎ、企業の信頼を保つことができます。

応用的な活用方法

「RaCoupon」の新機能を応用的に活用する方法について解説します。
広告効果の測定やオフライン施策との連動など、実践的な応用例を紹介します。

広告効果の測定
楽天市場の広告メニューには、直接コンバージョンデータが提供されないものがあります。

たとえば、ターゲティングディスプレイ広告（TDA）はビュースルーコンバージョンを中心に計測されますが、クーポンコードを用いることで、広告のクリック後の具体的な購買行動をトラッキングできます。
特定のクーポンコードを設定し、その利用状況をRMSで分析することで、広告経由の売上を可視化することが可能です。

オフライン施策との連携
地域限定のクーポン発行が可能となったことで、オフライン施策と連動したマーケティングも効果的に行えます。

例えば、新聞折込チラシやDMで地域限定のクーポンを配布し、オンラインストアでの購入を促進することができます。
これにより、オフラインとオンラインを融合した統合的なマーケティング戦略が実現し、特定の地域に特化したプロモーションを効果的に展開できます。

利用上の注意点

新機能を効果的に利用するためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
特に、クーポンの獲得条件の設定やユーザーへの情報提供について解説します。

クーポンの獲得条件設定
クーポン発行時には、獲得条件を明確に設定し、それをユーザーに伝えることが重要です。

例えば、「このクーポンは新規顧客のみが対象です」といった説明を明示することで、ユーザーの混乱やクレームを未然に防ぐことができます。
これにより、透明性の高い運営が可能となり、顧客との信頼関係を強化します。

ユーザーへの情報提供
クーポンの利用条件や有効期限など、必要な情報を正確に提供することで、顧客体験の向上が図れます。
適切な情報提供により、顧客がクーポンを効果的に利用できる環境を整えることが大切です。

（初心者向け）基本操作のおさらい

「RaCoupon」を初めて使用する方のために、基本的な操作方法を説明します。
このセクションでは、クーポンの作成から配布、利用確認までの流れを紹介し、併せてクーポンコードの利用方法やクーポンの併用条件などの重要な情報も解説します。

そもそもRaCouponとは
「RaCoupon」とは、楽天が提供するクーポンサービスの総称です。
新規ユーザーの獲得や既存ユーザーの再利用促進に利用でき、特別な申し込みは不要です。

RaCouponでできること
●配布型クーポン
店舗がメルマガやキャンペーンページなどを通じてユーザーに配布するクーポンです。
定額値引き、定率値引き、送料無料などの値引きプランを設定できます。

●サンキュークーポン（自動付与型）
特定の条件を満たしたユーザーに対し、お買い物完了時に自動で付与されるクーポンです。
リピート購入の促進に有効です。

ユーザーのクーポン利用方法
ユーザーは下記の流れでクーポンを利用します。

・商品を選択し、買い物かごに入れる
・注文内容確認ページでクーポンを適用
・クーポン適用後の金額を確認

クーポンの適用には有効期限や条件がありますので、ユーザーには事前に確認を促しましょう。

クーポン対象商品の表示と管理
ユーザーはmyクーポンページからクーポン対象商品を確認できます。

クーポン対象商品の表示仕様
以下の商品はクーポン対象商品欄には表示されません。

・サーチ非表示設定がされている商品
・倉庫に入っている商品
・闇市設定されている商品

また、以下の商品はクーポン対象にできません。

・定期購入商品
・予約商品
・頒布会商品

クーポン発行後、対象商品が表示されるまで最大48時間かかる場合があります。

クーポンの併用条件
クーポンの併用は、以下の条件を満たす必要があります。

・併用するクーポンが全て併用可能なクーポンであること。
・併用するクーポンの種類（店内全商品、対象商品指定、送料無料）が重複していないこと。

【併用の可否】
・併用可能な場合：クーポンの利用商品が異なる場合。
　例：クーポン1は対象商品A、C、D。クーポン2は対象商品A、B、D。
・併用不可な場合：1つの商品に2つ以上の対象商品指定クーポンは利用できません。

【特記事項】
・定率値引きクーポンと定額値引きクーポンが重複する場合：
　定率値引きクーポンが優先して適用されます。
・複数の対象商品指定クーポン（定額値引き同士・定率値引き同士）が併用可能な場合：
　原則、有効期限が近いクーポンが優先して適用されます。

～RaCouponの設定の流れ～

【STEP 1: クーポンの作成】
R-Storefront クーポン設定機能を使用して、クーポンを登録します。
店舗では「配布型クーポン」と「サンキュークーポン」の2種類を作成できます。

【STEP 2: クーポンの配布】
●配布型クーポン
メルマガ（R-Mail）や店舗ページ（R-Storefront）にクーポン獲得URLを掲載して配布します。
●サンキュークーポン
条件を満たしたお買い物をしたユーザーに、自動的にクーポンが付与されます。
ユーザーはお買い物完了画面やmyクーポン画面で獲得したクーポンを確認できます。

【STEP 3: クーポン利用受注の確認】
R-Backoffice 受注管理機能を通じて、利用されたクーポンや金額などを確認できます。
CSVダウンロードやWEB APIでも確認可能です。

【STEP 4: クーポンの効果測定】
R-Karte クーポン効果測定機能を使用して、クーポン利用による売上を確認します。
これにより、クーポン施策の効果を評価し、今後の改善に役立てることができます。

【注意事項】
クーポンは通常商品のみ適用可能です。クーポンとポイントの併用が可能ですが、キャンペーンページに商品名や説明文にクーポンコードを直接記載することは禁止されています。
配布型クーポンは、複数のクーポンを1商品に対して発行することができますが、ユーザーが併用可のクーポンを指定した場合、すべてのクーポンが適用されます。

これらの基本操作と条件を押さえることで、「RaCoupon」をスムーズに利用し、効果的なプロモーションを実施できます。

まとめと今後の展望

「RaCoupon」の拡充により、楽天市場のクーポン機能はさらに進化しました。
新機能を活用することで、EC担当者はより精密なターゲティングと柔軟なクーポン管理が可能となり、売上の増加や顧客満足度の向上を実現できます。

楽天市場は今後もマーケティング機能の強化を図り、EC事業者のビジネスをサポートしていくことが期待されます。
新しい機能を積極的に活用し、競争力のある店舗運営を目指しましょう！