ECサイトの成功の鍵とは? 成否を分ける「リピート顧客」攻略法【第2回】
中小企業の皆様が、ECサイトを活用し、売上を伸ばしていくためのヒントをご紹介します。今回は、私が担当してきたリピート通販の成功事例を基に、これからECサイトを始める方や、ECサイトの新人担当者の方に向けて、リピート通販の構造や取り組み方をまとめます。
前回までのコラム
【第1回】中小企業がECサイトを活用できていない3つの理由https://www.ecnomikata.com/column/10932/
ECサイトの成否を分けるのは、「リピート購入者」
こちらの図の左側は成功しているECサイト、右側は失敗しているECサイトです。
そもそもECサイトの顧客は、
・初めて購入してくださる「新規購入者」(図の青色)
・繰り返し(2回以上)購入してくださる「リピート購入者」(図の赤色)
に分けられます。
ECサイトの成功事例では、リピート購入者数が増え、売上も伸びているのがおわかりでしょうか?対して、ECサイトの失敗事例では、新規購入者数は増えているものの、売上はあまり伸びていません。
なぜリピート購入者数が、ECサイトの成功・失敗に影響するのでしょうか?
こちらの図は、1発送あたりの新規購入者とリピート購入者の収支構造を表しています。
はじめに、収支構造を整理します。売上をリピート購入で構成するタイプの“リピート通販”は、まず商品を試してもらい、使い心地や効能効果などを知っていただく必要があります。
そのため、図の左側の新規のお客様の場合は、まず「お試し商品」や「初回限定価格」などで価格をおさえて販売をするのが一般的です。
そのため初回購入者は購入金額が低くなりやすく、さらに新規のお客様なので広告費も上乗せされるため、新規のお客様はリピート購入していただかなくては赤字になってしまいます。
したがって、どんなに新規顧客数を増やしても、リピート購入者数が増えなければ、売上の伸びは限定的で、かつ赤字は肥大化していくので、前述のECサイトの成功事例のようにはなりません。
リピート購入者数を増やすための取り組みは2つ
ここまでは、ECサイトの成功事例と失敗事例から、リピート購入者数がECサイトの成功・失敗を左右することを説明してきました。では、リピート購入者数を増やすために何をすればいいのでしょうか。
それは、
・新規購入者数を増やす仕掛け
・新規購入者を、リピート購入者にする仕組み
この2つの設計です。
どのような打ち手があるのか、簡単にご紹介します。
広告媒体の特性を知ると、新規購入者を増やす仕掛けづくりができる
広告媒体にはたくさんの種類があります。代表的なものをご紹介します。
・芸能人や著名人のブログ
・ランキングサイトやレビューサイト
・ポイントサイト
・ニュースサイト
などはイメージしやすいのではないでしょうか。
新規購入者数を増やすといっても、今回はリピート購入者の候補探しが目的なので、購入の質も維持する必要があります。例えば、ポイントサイトからはたくさんの購入が見込めるのですが、ポイント目当ての購入が一定数含まれるので、リピート購入につながりにくく、闇雲に出稿するわけにはいきません。
反対に、ランキングサイトやレビューサイト経由の購入者はリピート購入につながりやすく、芸能人や著名人のブログからは、その芸能人や著名人のファンからの購入が見込めます。
またニュースサイトの来訪者は、あくまでも記事を求めているので、売り込みに徹するのではなく、理解度を深めてもらい、結果的に購入してもらえるよう、悩みのメカニズムや解決策を記事風にまとめてみても、いいかもしれません。
このように、広告媒体によって特徴は異なります。ECサイトの成功事例では、複数の広告媒体に出稿した結果を基に、その後の広告費の投下を判断しています。
例)
<広告A>1人の新規顧客にかかる広告費5,000円×継続率50%×購入件数150件
<広告B>1人の新規顧客にかかる広告費6,000円×継続率75%×購入件数800件
<広告C>1人の新規顧客にかかる広告費7,000円×継続率75%×購入件数50件
広告を配信した後は、継続率の高い媒体を評価し、広告費を集中していきます。
ECサイトの成功事例の場合、継続率と購入件数から、「B」の媒体に広告費を集中しました。ちなみに、「B」はランキングサイトです。
自社のファンになってもらい、リピート購入者にする仕組みとはどのようなものなのでしょうか。次のページへ。
リピート購入者にする仕組み=ひとりひとりをもてなす仕組み
せっかく試してくれた新規顧客に、より長く続けていただくために、リピート通販ではステップメールや同梱物で、おもてなしする必要があります。
購入日からに、「挨拶やお礼」「商品開発の背景」「商品の使い方」「使用感の確認」「他のお客様の声」のほか、「お得情報」「豆知識」など、商品に関することにこだわらず、購入者の悩みを解決する情報を提供し、商品や会社のファンになってもらえるよう努めましょう。