売れる商品を見逃していませんか?

幸田 八州雄

商品づくりで日夜、あーでもない、こーでもないと、思案を繰り返しておりますと、驚きの宝物に出会うことがあります。

これは私の体験なのですが、ある健康食品を開発するべく、情報をかき集めていた頃のことです。ある地方の研究メーカーに訪問したところ、ゴマ由来の原料の説明を受けていたところ、ゴマ由来の●●●●●●という成分のハナシが一瞬出てきました。

「要するにセサミンの、約10倍の抗酸化力がある成分なのですが、それは本筋と関係ないから置いといて・・・」

ちょっと待って!!!それは置いとかない。全然置いとかないですヨ!!!

当時はサントリーさんのセサミンが全盛期で、テレビもインターネット上もどこもかしこもセサミンセサミンでした。私は研究メーカーの男性に聞きました。

「えっ!!!セサミンも10倍の抗酸化力?!同じゴマ由来で??」男性は答えます。

「はい。とても強い抗酸化力を持っていますネ。エビデンスもあります」「これは何か売れない理由があるのですか?例えば誰かの特許に引っかかるとか??」と私は尋ねましたが、男性の回答は

「いえ~、特にそういう訳じゃないですが、単にあまり広まっていないダケですね」というものでした。

ここまでお読みいただいた読者様は、きっと、【この素材を使って、セサミンのマーケットにぶつけたらどうなるだろう?】とお考えになったのではないでしょうか? はい、私もそう考えました。

話はそこから遡ること2~3年前、私が【おからクッキー】の二番煎じ商材の事業に関わったことがありました。(一応)ライバル企業である、某おからクッキーの業界TOP企業が広告を盛んにしている頃は、とてもよく売れました。でもTOP企業がおからクッキーの広告を止めたら、ウチのおからクッキーもピタッと売れなくなってしまったのです。要するに、TOP企業の広告で製品の認知が上がって、その結果ウチの【おからクッキー】も売れていたというわけです。

私はその経験から、今、このゴマ由来の●●●●●●という成分を使って、セサミンのライバル品を作って仕掛けたら、爆発的に売れるのではないかと思いました。なぜなら、想像を絶する広告費を使って天下のサントリーさんがセサミンの広告をしているのです。セサミンの売りは抗酸化力です。そこへ、同じゴマ由来で、セサミンの約10倍の抗酸化力ですよ!という打ちだしで攻め込めば、漁夫の利もあって、相当な売れると思いました。

・・・という妄想です。
 
現実にはこのプランは実行されることはありませんでした。私が人事異動となり、商品の開発から外れてしまったのです・・・。

今の私であればOEM企画製造メーカーの立場ですから、様々なクライアント様にこのアイデアを持ってサプリメントのご提案ができることでしょう。当時は通販会社の管理職の立場でしたから、異動と同時に案件も消えてしまいました。

もちろん今、セサミンの広告は、すっかり落ち着いていますから、同じことをやっても売れる見込みは薄いと思います。ですが、この件で私は、仕掛け方次第で起爆する可能性がある素材・ネタがいくらでも埋もれているのだということを知った一件でした。

ちなみに、その●●●●●●という成分はその後、大手サプリメントメーカーのサプリメントに採用されました。しかしそのサプリメントは●●●●●●にフォーカスすることなく、ゴマのサプリメントとして販売しています。よって●●●●●●の世間一般での認知度は限りなくゼロのままであることをご報告しておきます。


著者

幸田 八州雄 (Yasuo Kouda)

OEM化粧品のメーカーとして『物』を売るのではなく
『お客様の売れるをつくる』を方針に掲げ、商品プロデュース、
販売戦略、インフラの提案に至るまでお手伝いしております。

企業URL:http://www.tenshindo.ne.jp/