事例で解説!よくあるECサイトの課題別解決法まとめ【第5回】

花田周明

この連載では中小企業の皆様が「ECサイトを活用して売上を伸ばしていくためのヒント」をご紹介します。

【第1回】中小企業がECサイトを活用できていない3つの理由 :
https://www.ecnomikata.com/column/10932/
【第2回】ECサイトの成功の鍵とは?成否を分ける「リピート顧客」攻略法:
https://www.ecnomikata.com/column/11848/
【第3回】ECサイトを成功に導くターゲットの設定のポイントとは?:
https://www.ecnomikata.com/column/12166/
【第4回】【初心者向け】ECサイトの運営計画をつくる5ステップ:
https://www.ecnomikata.com/column/13087/

ECサイトの運営で大切なのはPDCA

ECサイトの運営で大切なのはPDCA

今回はECサイトの新人担当者に向けて、私が担当してきた通販のお客様の事例をもとに「どのようにECサイトの運営を実行していくべきか」をお話します。ECサイトの運営において、とても重要なのは上記のPDCAサイクルです。

①目標の明確化
いつまでに売上を〇〇円や粗利を〇〇円などの目標を、必ず明確にしてください。お客様に目標を聞くと「目標が明確ではない」「現実的ではない」方が非常に多くいらっしゃいます。そのため計画もあいまいになり、実行もうまくいかなくなる場合もあります。

②計画
目標が明確であれば計画が見えてきます。こちらはいつまでに誰が何をするのか。目標と計画を分けて作成をしてください。計画についてはこの連載の第4回でも説明しているので、ぜひご覧ください。

③実行施策の優先順位づけ
これは計画の実行施策の中で何を優先的にやるかの順位付けをします。自分がやりたい施策ではなく、目標に対してインパクトが大きいものから順に優先順位をつけてください。

④最優先テーマの実行
実際のECサイト運営の中では、上司の依頼で優先順位と違うものを実行するなどの場合はもあると聞きます。しかしすでに優先順位をつけているので、必ずその順番通り実行してください。

⑤計画と実績の振り返り
目標を立て、その通りに施策を実行すると何がうまくできていて、何が改善できるのか?を振り返ることができます。よく広告代理店にお任せでという広告主の方がいますが、それでは振り返りがない為に社内に知見がたまらず、売上増加ができません。振り返りの時間は、必ず作ってください。

これを繰り返していけば、徐々に目標に近づき、ECサイトの成功につながります。

事例で解説!健康食品ECサイトの場合

事例で解説!健康食品ECサイトの場合

では実際のケーススタディを使って、計画をどのように実行していくかを具体的に解説します。上の表は、ある健康食品の単品通販の1商材に関する1年間売上データの計画と実績をまとめたものです。

計画:21,737,295円 / 実績:20,088,375円 / 達成率:92.4%

目標から計画を作成しましたが未達に終わりました。ここからその理由を詳しく見ていきます。


┃目標未達の理由を詳細に分析

・販売件数 計画:3,713件 / 実績:4,126件 / 達成率:111.1%
・平均顧客単価 計画:5,855円 / 実績:4,869円 / 達成率:83.2%

詳細に内容を見ていくと、販売件数は目標達成しているのに平均顧客単価は目標が未達です。つまり平均顧客単価が未達の要因です。

この商品は新規顧客用商品と定期顧客用商品は販売価格を分けており、新規顧客用商品は安価です。

つまり平均顧客単価が低かった理由は、定期顧客用商品の販売数(定期販売件数)が少なかったことにあります。

そしてさらに順番にたどっていくと、定期販売件数が低い理由はリピート率で、特にリピート率が低下しているのは3回目、5回目、6回目、7回目)のタイミングでした。

ここまで順番にたどれば何が課題で、売上最大化を目標とするならば何を優先的にすべきかが明確になります。

売上増加の為の実施すべきことは多々ありますが、上記のケースで優先順位をつけると解決すべき課題は下記の3つです。

・課題1:3回目ユーザーのリピート率の改善
・課題2:5回目以降のユーザーのリピート率の改善
・課題3:1,2が完了後、初回件数の増加


┃課題に対する対策の考え方

これらの課題に対する対策もいくつかありますが、私なら下記のような対策を取ります。

・課題1:3回目ユーザーのリピート率の改善
 →3回目購入してくれる人に関しては値引きやポイント付与をする

・課題2:5回目以降のユーザーのリピート率の改善
 →5回目のユーザーに関してのみ特別な年間契約をコールセンターから提案して購入してもらう

・課題3:1,2が完了後、初回件数の増加
 →課題1、2が解決すれば顧客あたりの生涯売上が伸びるので、1件当たりの広告費を上げて件数をとりにいく

そして再度実施した結果に対して振り返り、目標を現実可能性の高いものに再設計し、計画を立て、対策を優先順位順に実施をしていき、売上を伸ばしていきます。

このように丁寧に振り返っていけば、課題が何か?を特定でき、対策を立てられます。

よくあるECサイトの課題別のおすすめ解決法まとめ

最後に実際によく出てくるであろうECサイトを運営する中でお悩みの主な対策をまとめました。もちろん他にも方法はありますが、よく使われるものとして目を通してみてください。

―課題1:新規のお客様の流入が少ない

┃解決方法1-1:アフィリエイト広告

アフィリエイト広告は、成果報酬型の広告です。特に新規流入が少ないときはポイントバック型のアフィリエイト広告がおすすめです。リピート率などの課題はありますが、流入や件数は取りやすくなります。

┃解決方法1-2:ディスプレイネットワーク広告
ディスプレイネットワーク広告は、キーワードを検索したときに検索されるサイト内に表示される広告です。Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)などは流入数を増やすのにおすすめです。


―課題2: 2回目から3回目、4回目へのリピート顧客が少ない。リピート率が低い

┃解決方法2-1:メールマガジン

2回目や3回目のユーザーに対してファンになってもらえるようなお得情報を送るのがおすすめです。

┃解決方法2-2:値段の変更
何回目でリピート率が激減する場合は、その回数をつづけた場合値段を割引するのも解決策になります。
例)4回目から5回目のリピート率が低い場合、5回目の商品の購入時にプレゼントや1,000円引きなどの特典をつける。

┃解決方法2-3:コールセンターのトーク変更
コールセンターのトーク変更によって、引上げ率が上がることもあります。

まとめ

EC通販は、地道な世界です。時間もお金もかかり、計画を立てる知見と時間が必要です。

この記事のような考え方を理解していても、「人手」「お金」「知識」のどれかが不足していて、実行に移せない方が多いのではないでしょうか。

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著者

花田周明 (HANADA NORIAKI)

中央大学法学部法律学科卒業。
教育会社の立ち上げ、3年後倒産。
マーケティングの重要性を感じ、WEB広告未経験からソウルドアウト社に入社。
リスティング広告、月広告費平均2,000~4,000万円/10社運用(婚活サイト、美容、アパレル、化粧品、コンタクト業界 など)
現在販売代行サービスを立ち上げメンバーとして、企画、営業、運用を担当。

http://www.sold-out.co.jp/