【韓国越境EC事情】おしゃれでアーバンスタイルを提案、ファッション通販「インスタイルフィット」
韓国のECサイトは、越境ECに積極的な動きを見せていて、現地向けカスタムサービスの提供を受けることにより、日本のユーザーからも関心が高まっています。このコラムでは、韓国ECプラットフォーム企業「cafe24」を通じて、越境ECに取り組むヒットショップとその理由について、ご紹介します。
東大門ファッション専門家から越境ECに取り組む経営者へ
東大門ファッションタウンは、韓国定番の観光スポットである明洞とともに人気の観光名所でありながら、韓国ファッションの聖地として数多くのネットショップが開業された場所です。日本EC市場にも参入した「instylefit(以下、インスタイルフィット:http://jp.instylefit.com/)」もこの東大門からスタートしました。
南相旭 (ナム·サンウク)代表は、2000年代初、「東大門ファッション専門家」として韓国放送で紹介されるほど、有名人でした。かつて、アパレルEC市場における成長の可能性に注目し、2008年、ネットショップを通じて個人ブランドを立ち上げました。事業の舞台を東大門からECへ完全に移したわけです。
「実店舗よりECへの取り組みが、ファッションに関する専門性を発揮しやすいと判断しました。東大門を訪れない多くの 潜在顧客を見込み客へ変化する方法はECだと思います。」と南相旭 (ナム·サンウク)代表は話します。
ファッション専門家とECインフラのシナジー効果により、売り上げUPにつながりました。2016年度、売上60億ウォン(約6億円)は、2011年前に比べ、2倍以上向上した数値です。韓国を含むアジア各地に生産ラインを構築するようになりました。
また、アパレル市場における主要顧客である20〜30代女性たちに「有名ブランド」として認識された「ブランディング効果」も注目する必要があります。数年間、「インスタイルフィット」に関するキーワードは、韓国女性服カテゴリーで検索順位上位を維持いています。
過剰なデザインは排除、おしゃれファッションを提案
デザインの特徴としては「アーバン」と「おしゃれ」を表現しているところです。南代表とデザイナーたちがモダン(modern)スタイルに基づき、よりフィット感を強調しています。これが、単品購入より、詳細写真の商品をセットで購入するユーザーが多い理由だそうです。
同時に派手すぎないデザインを商品に取り入れ、こだわることは、リピーター確保戦略にも効果があるとも言えます。
「より綺麗に魅せる派手さも必要ですが、弊社の得意分野に集中的に取り組むことが、ブランドアイデンティティを発揮できると思います。」と南相旭 (ナム·サンウク)代表。
品質を最優先に考えることも重要な成長動力となっています。特に、客離れを未然に防ぐため、自社内で生地の検品から衣類の検品、仕上げまで徹底的な管理システムを構築しています。
韓国通販ならではの魅力、日本でも人気上昇中
越境ECへの取り組みは、2015年から始まっています。わずか1年で優れた実績をあげています。ECプラットフォーム「cafe24(カフェ24)」を通じ、構築した日本向けECサイトは、訪問者数が毎月倍ずつ増えています。韓国ファッション情報を探す20〜30代日本女性たちが主な顧客です。
日本を含む海外ユーザーに向けてペイパル(PayPal)やEXIMBAYなどの決済サービス機能や商品説明から、お知らせに至る情報を日本語で提供しているため、シームレスに商品購入ができます。
最近、日本で売り切れが続いている商品としては「7分袖ミニワンピース」があります。Vネックのラインを通じて女性らしさをアピールするとともに、レアな袖で個性を強調できることから人気を集めています。
南相旭 (ナム·サンウク)代表は「おしゃれに対する女性の好みに関しては、韓国と日本が非常に似ていると思います。今後も日本女性のファッションコーデーにおいて、大きな力になれるよう努めてまいります。」と話します。
インスタイルフィットの越境ECへの取り組みは、中国でも活発に行っています。中国向けECサイトが主な販売チャンネルで、アリババの「天猫国際(Tmallグローバル)」にも出店しています。中長期的にアジア市場を越え、欧米への進出も計画しています。
総評
インスタイルフィットの迅速なブランドアイデンティティの確立や品質管理への徹底した取り組みが、売り上げ増加の理由とも言えるのではないでしょうか。このような戦略が日本ユーザーからも支持を得ていることは、越境ECに取り組むEC事業者が注目する必要があると思います。