【韓国越境EC事情】自社ECでベビージュエリー市場開拓、越境ECにも展開「カイユ」
韓国のECサイトは、越境ECに積極的な動きを見せていて、現地向けカスタムサービスの提供を受けることにより、日本のユーザーからも関心が高まっています。このコラムでは、ECプラットフォーム「cafe24」を通じて、海外展開に取り組む様々なヒットショップとその理由について、ご紹介します。
今回は、大切な赤ちゃんへのファーストジュエリー販売を手がけるEC発ブランド「Kaiu(カイユ)」を紹介します。同社は、04年から自社EC展開に取り組み、韓国国内で認知度を高め、越境ECにも積極的に参入し、成長を遂げているヒットショップです。
韓国国内で赤ちゃん向け「ベビージュエリー」カテゴリーのニーズがまだ少なかった時代、EC発ブランド「カイユ」は、積極的に市場を開拓、成長を遂げた企業として知られています。
カイユを率いる金ヒョンミCEOは、ECのメリットを活かしたビジネス展開に向け、2004年「カイユ(http://kaiujewelry.jp)」を立ち上げました。事業当初、サイト構築から商品デザイン、製作、経営に至る業務を総括しながら、顧客確保や商品カテゴリーの認知度向上に注力したと言います。
「単なるアクセサリーではなく、実用性を充実させるため、電話番号や赤ちゃんの名前を刻印した「迷子防止グッズ」で差別化に取り組みました。これに加え、弊社ならではのデザインを取り入れ競争力強化に注力、1歳の誕生日プレゼントとして人気を集めるようになりました」(金CEO)
韓国代表ブランドとして成長、越境ECにも参入
EC発ブランドでありながらカイユが国内で上げた成果は、ジュエリー業界で高く評価されています。実際「ギャラリア百貨店(大手ハンファグループが運営)」をはじめ、「新羅インターネット免税店(流通大手Shinsegaeが運営)」など大手運営の有名ショップへの出店に成功しています。また、ECモール「11Street(大手SKグループが運営)」でジュエリーカテゴリー1位に選定されるなど、韓国ベビージュエリーを代表するイメージ構築に成功しました。
こうした成果の原因について金CEOは、こう話しています。
「迷子防止機能の提供や差別化されたデザインで、競合との競争力確保に成功したことが原因だと見ています。また、新たな市場創出への強い意志で開発•研究を重ね、自社EC運営に取り組んだこともよかったと思います」
国内では、赤ちゃん名前入りのブレスレット、ネックレスなどが人気ですが、近年、海外からのニーズも増え、韓国伝統デザインを取り入れた商品への問い合わせも増え続いているようです。
海外ユーザーに対応するため、カイユは、グローバルECプラットフォーム「cafe24」で、英語•中国語•日本語サイトを開設し、越境ECも積極的に展開しています。
去年10月に米ラスベガスに開かれた「2017 ABC Kids Expo」に参加、多数のバイヤーと協議を進めるなど、海外展開の一環として展示会も活用しています。今後も、カイユは自社EC運営にも力を入れながら、海外展示会を含む海外販路拡大に拍車をかける計画です。
[カイユ金CEOとの一問一答]
--越境EC事業のきっかけと日本市場に参入した理由は。
韓国商品への関心やニーズが高まっている現状で、海外消費向けには、ECを販売チャネルとして活用すると効果的だと見ています。特に、グローバル向けサイトを通じた商売は、コスト削減による価格競争力の確保、自社ECへの集客や顧客管理などメリットが多いです。
日本は、1歳の誕生日に赤ちゃんにベビーリングをプレゼントする文化など、韓国と類似点も多く、ベビーリング市場も活発になっているようです。また、距離も近い、海外配送時に発生するリスクが低い点も参入を決めた理由です。
--海外展開における顧客対応戦略について
グローバル展開において、マーケティングチャネルの発掘が重要だと思います。このため、海外マーケットプレイスへの出店や、インフルエンサーの活用、海外展示会参加など販路拡大に注力しています。自社ECへのアクセス向上に向けSEO整備やキーワード広告も行っています。
また、自社サイトにアクセスする海外顧客に、詳細な商品ページを提示することで、説明不足によるサイト離脱や問合せを最小化することも行っています。
--今後の計画について
グローバルECの活性化が進み、ECのメリットをうまく活用すると、海外展開が可能な時代です。
海外でもベビージュエリーのニーズが徐々に高まっているだけに、グローバルでも通じるブランドを目指します。今後も、自社ECで10年以上培ったノウハウを基に、積極的に販路拡大に取り組んでいく予定です。
ECのミカタ編集部の見解
今回紹介された「Kaiu」の大きなポイントは、他社との差別化。その差別化された点がデザイン性を保ったまま実用性を兼ね揃えているというのですから、購入者も選びやすいのではないでしょうか。
日本ではハーネス型や手首につけるタイプの「迷子ひも」の利用が話題になっていますが、いくら注意していても、一瞬の隙をついてしまうのが子どもたちです。大切な子どもが迷子になってしまった時、手がかりになるものがないと怖いもの。ですから、さらに「Kaiu」の認知が広がれば、その分だけ購入される可能性があるのではないかと考えられます。
また、「Kaiu」のECサイトを見ると「制作の舞台裏 ベビージュエリーができるまで」というページがあります。こうした商品へのこだわりやストーリーが見えることで、より贈る側の思いも強くなります。こういった部分も他社との差別化になっているのではないでしょうか。