【第2回】売れる!ヒントはお客さんが持っていた
タキシード、燕尾服、モーニングコート、フォーマルスーツ・・・
メイドインオオサカの紳士礼服を製造販売するフォーマル専門店ノービアノービオ。1952年に礼服の生地問屋として創業、今は製造から小売(ネットと実店舗)まで手がける、いわゆるSPA企業ですが、小さな小さな町工場です。
バブル最盛期、従業員230人 年商65億円、紳士礼服メーカーとして業界2位。バブル崩壊後、従業員20人、負債45億円、在庫は倉庫に14億円分。
「ウチの会社、負債最高いくらあったと思う?・・45億!在庫は14億円!」
今でこそ、笑い話にもできますが、約100億円のジェットコースターを下りきった頃、服の「フの字」も知らない素人だった僕は楽天市場店のスタッフとして、この会社にやってきました。
順調に伸びていた頃、相次ぐ大手の参入で再び窮地に。首の皮一枚すらちぎれそうなとき、次々と訪れた出会いと気付きと・・・たくさんの先達に出会い、学び、SNSを使ってV字回復。
SNSは次々にピンチをチャンスに変えてくれました。
子供の頃から大好きだった僕の「ヒーロー」に自社のタキシードを着てもらえ、「僕より僕のことを知ってる日本一のファン」と抱きしめてもらえた・・・。
SNSをやってたら、売上が伸びて子供の頃から大好きだった方に約30年越しで対面が実現、これまでの想いを伝えることができ、夢がかなった瞬間。
スタッフ数人の小さなECサイトのごくごく平凡な僕に起こったウソみたいなお話。
これから記させて頂くことは特筆すべき秀でたスキルなど何もない普通の僕がやってきた、「今日から誰にでもできるお話」です。
このお話を通じ、皆さんのお店のコンバージョン率+0.1%~に少しでもお役に立つことができればと、経験した全てをお伝えしていきたいと思います。
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納期に追われる毎日、お客さん不在の仕事をしていました
紳士礼服SPA(製造小売)のノービアノービオに入社する前職、僕は小さなゲームの下請け制作会社にいました。
キャラクターや背景などを請け負うことが多く、自分の仕事が操作性やストーリー性に影響することはほぼありませんし、その作品がヒットしても、自分ゴトとして捉えることなど皆無でした。
納期に追われタスクをこなす日々に「ユーザー=お客さん」ということを考える余裕もなく、誰のための何の仕事なのかということを見失っていました。
そんな仕事に追われる毎日が、買い手都合のコト売りに気づくまで時間がかかった原因のような気もします。
1日中ヘッドフォンをして、隣席の同僚ともチャットでやり取り。
工期が押してくると会社に泊まり込むのも当たり前。日付が変わる頃にスーパー銭湯に出かけ、会社に戻り深夜の会議。午前4時頃に会社の椅子を3つ並べてベッド代わりに就寝、朝出勤してきた事務職の方に起こしてもらう。会社で暮らすような過酷な労働環境に心身をやられ退職するスタッフも続出していました。
幼少の頃からゲームが好きで、自分の中では夢が叶ったはずが、日毎、自分から何かがどんどん失われているような気がして、僕は退職を決意しました。
逆にこれ以上いたら、僕は好きなゲームを嫌いになってしまう、その前に業界を去ろう。結果的にこの判断は正しかったと思います
そんな時、ネットの求人広告で見つけたのがノービアノービオです。
以前のゼロから立ち上げたネットショップの大変さと面白さ。それが残っていました。
アニメと漫画とゲームで生きてきた僕にとって、格式やしきたり、伝統を重んじる欧州貴族や社交界にルーツを持つフォーマルは完全に異世界でしたが、王侯貴族の装いなどファンタジーゲームなどに通ずる点を見つけてからは、のめり込むようになり、メルマガやブログにも積極的に採用していきました。
皆さんに馴染み深い作品でも美少女戦士セーラームーンに登場する「タキシード仮面」や名探偵コナンの「蝶ネクタイ」もフォーマルに関連するもの。実は意外と身近にあるんですよね。
第1回目に書いた、メルマガへの感想やお客さんからの電話によって、少しずつお客さんが自分たちに望んでくださること、求めてくださることを探るようになりました。
お客さんの受注内容、新規かリピーターなのか、お客さんの住まれている場所などに目を配るようになりました。
お客さんとの関係構築が始まる「発送メールって人が書いてるんですか?」
ある時、受注一覧をみていて気になるお客さんがいました。カマーバンドと蝶ネクタイを何度も購入されているお客さんでした。
カマーバンドはタキシードを着るときにお腹に巻くもので、蝶ネクタイと共にタキシードの正装時には不可欠なものです。
しかし礼装のルール上、シルク製の黒が正統派なので、一度購入すればリピートするものではないと思っていました。
当時はカマーバンドや蝶ネクタイの色柄の在庫が豊富にあり、それをネットショップに出品していて、そのお客さんは文字通り「色々」購入してくださっていたのです。
僕は気になって、発送メールに下記のような文章を追記して送りました。
「○○様にお買上げいただいたカマーバンドと蝶ネクタイのセット、僕もお気に入りなのでとても嬉しいです。
よく、カマーバンドをご購入頂いているので印象に残っていまして。
今後の商品開発の参考のため、どのような用途で使われるのか教えてくださいませんか。
もしかして、マジシャンやパフォーマーをされているんでしょうか。
もし、お気づきの点、ご要望、改善点などあればお気軽に仰ってください」
(本当はちゃんと畏まった文体だったはず・・・)
すると数十分ほどで返信がきました。
「発送メールって自動で送られてるのかと思っていたのでびっくりしました!人が書いてるんですか?関心をもってもらって嬉しいです!
私は開業医なのですが、海外に行く機会も多く、学会、カンファレンス、フォーラムなどでパーティーがあります。
自然と毎回似たようなメンバーになるので、また同じ蝶ネクタイかと思われないために、着回しできるように買い足しているのです。
海外だとサイズが合わず、とはいえ国内ではあまり色柄の選択肢がないので、カラフルな商品が多い御社を利用しています。私のように困っている人はたくさんいると思いますよ」
このメールに目からウロコが大フィーバー状態ですよね。
「お医者さん」「学会」「フォーラム」「カンファレンス」「着回し」「買い足し」
これまでカマーバンドの利用シーンで意識したことのない言葉ばかりです。
たった一度のメールの往復でこんなにもキーワードが出て来るものかと興奮しました。
発送メールはテンプレート化して自動配信。どこのお店もそうだと思いますが、一文追記するだけで、お客さんもこんなに驚いてくださるのか、と。そして、発送メールも読んでくださる方は読んでくださっているのだと。
ある時は、こう。
ご注文頂いたお客さんの地域に台風の被害が出た事をニュースで観ていたので、
「先日の台風は大丈夫でしたか?」と一文追加すると
「酒匂さんありがとう!私の住んでいるところは高台にあるので大丈夫でした。町中では被害の出たところもあったようですが・・・」
と、時にはお客さんからの呼び名が「さん」になって返ってくることもありました。
更には
「酒匂さん、この度は結構な品をありがとうございました」
こんなメールもありました。僕がプレゼントしたわけではないですよね、お客さんがお買上げ下さったものなのに。
でも、自分に置き換えてみると確かにそうですよね。いつも利用しているお店なのに、テンプレートのままの受注確認、発送メールだと寂しいですよね。
これは数ヶ月前、自分がお客として体験したことです。チェックボックスの入力を失敗し、色を間違えて注文してしまい交換をお願いしました。
すぐに交換対応してくださり、その対応の素早さ、メールの文面に感激して、「僕もECに関わっていますので、交換対応がお店にどれだけご負担をかけたのか分かります。ですので、今回の貴店のご対応に感激しました。」
そんなお礼のメールをお送りしたら、交換品の中に手書きの手紙が入っていました。
「私たちは半年前にネットショップを始めたばかりで右も左もわかりません。3人で運営している小さなお店です。同じネットショップをされている方にお褒め頂き、スタッフ一同感激しました。これからもより良いお店を目指してまいりますので、よろしくお願い申し上げます」
と。
もう、これでこのお店のファンになりますよね。頑張って!って感じです。10数年前の自分と重なるところもありましたが、こういった偶然の共感みたいなことが意外とロイヤルカスタマーを育むのではないかなと思います。
1日の注文数が多いお店さんでは中々難しいと思いますが、お客さんのご注文やご注文回数で「!」「?」があれば、臆せず飛び込んでみることをオススメします。
もちろん、一気に距離を詰めてくることを歓迎する方ばかりではないので、この「間合いの取り方」は経験値がモノをいうとは思います。時々、間合の詰め方の天才もいますけど・・・。
不自然なく、お客さんとの関係を作っていくのはフォローメールですよね。
「先日、お届けした商品はどうですか?」でも違うと思いますし、もう少し踏み込むと「今回、お買上げ頂いた商品と前回お買い上げいただいた商品のコーディネートもオススメです」というメールを送ると「そのつもりで買いました!お店の人に言われると自信がつきます」と返ってくることも。
「お店が自分のことを知ってくれている、覚えてくれている」
このアプローチが、とんでもないヒントを頂くきっかけになることも。お客さんとの関係構築はお店の地力をつけていくと感じはじめました。
そうして、この会社にやってきて数ヶ月。ECだけで初めて月商1,000万円を突破することができました。
能動的に取りに行くことで、得られる情報は増える
ありがたいことに、現在ではこのような体験を元に売上を伸ばしたり、お手伝いしたお店の事例を基にした内容で年間5、60回の講演をさせて頂くことがあります。
その中でよく使うのが
能動的(アクティブ)なお客さんと
受動的(パッシブ)なお客さんです。
自らスマホやPCで検索をして、商品や情報を探してくださる能動的な方。友人から聞いて調べる、普段流し読みしているSNSのフィードで目にしたことをきっかけに行動を起こすといった受動的な方。
と、いうように分けて「お客さんの属性」を見極め、接触方法や度合いを選んでいきます。弊社やお手伝いしている先での具体例は今後、ご紹介していきますね。
この、能動・受動はお店にも言えることです。メーカーさん、仕入先さん、職人さん、バイヤーさん、その商品を生み出し、世に送り出す人に聞いてみると、商品スペックだけに現れていない有益な情報が隠されていることが思いのほかあります。
当時、当店には社交ダンス関連商品がありました。その商品は仕入れ商材、モール内にも複数同一商品が販売されていました。
大手メーカー品でもなく、社交ダンスという市場、それでも当時15店舗ほどで同じ商品を扱っていましたから、
価格かポイントか送料か・・・そんな勝負に陥りそうになっていました。
そんな時、メーカーさんとお話していると、とんでもない情報が出てきました。
「これ、あの映画(大ヒット作)で○さん(これまた大御所俳優)が使ってたやつですよ」
検索すると当時のモールのブログも残っているのですが、かなり時間が経過しているため、伏せ字・匿名とさせていただきます。
その時ですら10年前の映画、でも社会現象になるほどヒットした作品、これはもしかするとと思い、メーカーさんに聞きました。
「それって、インターネットで書いてもいいんですか?」
「うん、作品名と俳優さんのお名前の掲載許可は出てるから大丈夫ですよ」と。
すぐに商品名に追記しました。
「映画○○で○○さん使用・提供商品」と。
すると、まぁまぁ!次々とご注文の入ること。これまで在庫は多くて3個ほどしか積んでいませんでしたが、それでは間に合わないほどでした。13,000円ほどの商品で、ある程度受注オーダーにも応じて下さっていたので、これはとんでもないことになったぞと。
しかし他店舗さんも、それを見逃すはずはありません。次々と商品名には同じ文言が並び、また横並びに。
しかし、当店はブログがありました。モール内だけではなく、モールの外からの集客導線を持ち、戦える幅を広くもっていました。
すると、そのブログを観たというテレビ局の方からお電話がかかってきました。
「○○という番組で○さん(若手人気演歌歌手)と○さん(ベテランタレント)さんに貸してもらえないですか?」と。
人気演歌歌手は紅白歌合戦も常連、これはお茶の間に訴求するチャンス!すぐにOKをしました。
これで15店舗ほどが扱う商品に
「映画○○で○○さん使用・提供商品」
「テレビ番組○○で○○さんと○○さんに小道具協力しました」
と2つのキャッチが並びます。
前者はメーカーさんのもので全店舗が使えるキャッチです。後者は当店が直接提供しましたので、自社だけが使えるキャッチです。一度は横並びになった商品に、今度は他店が真似できない差別化ができたのです。
「同じネットのお店なのに、ほとんどがノービアさんからの発注だけど何が違うの?」
取引条件は同じ、下限売価も設定されている商品ですから、違いを見せるには送料無料か、ポイントか、アフィリエイトか、ページ。
お客さんにとって魅力的でも自店が疲弊しては意味がありません。当店はページ=商品名と、その商品に引き込む導線で他店と差別化できていたのです。
今では国民的アイドルグループから大御所俳優さん、芸人さんに至るまで数多くの衣装提供のオファーを頂きます。
セミナーでこのお話をすると、「酒匂さんのところは衣装提供があるから」と言われたりしますが、この通り、元々あったわけではなく、情報を取りに行くことできっかけが生まれたのです。
また、「衣装提供や美術協力を取るにはどうしたらいいんですか?」とご質問頂くことがあります。
これは、どの店舗でも必ず再現性のあるお話ではないので申し訳ないのですが、これについては
「自社の商品を陽が当たるところに出して並べておく」ですね。
面白い話では、コレクターが稀に買い求めるような死に筋も死に筋の中古のガラケーが、ドラマの小道具で重宝されているなんてことも聞きました。
再現VTRなどでスマホ以前の映像を撮る時に必要だったりするわけですね。主戦商品は中古スマホのお店が、いわゆる死に筋商品のガラケーに対して「懐かしいガラケーもあります」と書いて陽を当てたことで、ガラケーきっかけにお店のPRのチャンスを得た。こんな話は珍しくありません。
一見ECとかけ離れたように見えますが、ネット上からいかに自店舗に誘導し、結びつけるか。正解・不正解ではなく、お店の数だけ方法はあると思います。
次の段では、お客さんから「面白い叱られ方」をしてヒントを掴んだ話です。
売れる!ヒントはお客さんが持っていた
ニッチ過ぎて死に筋商品と思っていた商品が、売れ筋商品に化けたのです。そのきっかけは、これまたお客さんからの1本の電話でした。
アスコットタイは結婚式やパーティーで着用するネクタイ。シャツの内側に巻く、ふわっとしたネクタイです。100人いるセミナー会場で「アスコットタイお持ちの方いらっしゃいますか?」と聞くと、多くて2~3人。
そんなニッチな商材です。
この商品も僕の中では「売れるわけがない」と思っていた商品でしたし、ラインナップも豊富とは言えないものでした。しかし、現在の当店では3本の指に入る売れ筋商品です。社内でも見向きもされなかった死に筋商品が売れ筋商品になったきっかけは、これもまたある時サポートにかかってきた1本の電話でした。
その電話、出るなりお客さん少し不機嫌なのです。
クレーム?と思いきやお買上げ頂いた方ではありません。
「アスコットタイを探しているけど、思っている商品がない。ネットで色々調べてるけど、どんなに調べ方を変えてもおたくのお店が出て来る。その度に期待してクリックするけど、やっぱり売ってない!なんとかして欲しい!」
まるで「毎回、期待させやがってこの野郎」とでも言わんばかり。なんとかして欲しいと言われても・・・。どういうことだろうと思って、受話器を首に挟んだ状態でお客さんの発したキーワードを入れると、どれもこれも自社サイトのページやブログが上位にヒットするのです。
これには本当に驚きました。自社のコンテンツがどういう風に表示されるか自分で調べることもありませんでしたし、それまでピンと来なかったSEOを強く意識するきっかけとなった出来事です。
「ウチで買ったわけじゃないのに、なんだよこのクレーム」
以前ならそう思っていたかもしれません。
しかし、このお客さんは「困りごと」があって、電話をかけるという高いハードルを越えて、当店に駆け込んで来てくれているわけです。これがチャンスなんですね。
そこでお客さんにどういう理由か伺いました。
「私は10年ほどドイツに住んでいて、そこでアスコットタイに出会ってハマったんです。だけど、日本に戻ってきたら思うようなアスコットタイが売っていない」
どうやら、海外で購入したお気に入りのアスコットタイが擦り切れ、買い直したいが理想のものが売ってないので作って欲しいとのことでした。
当店はメーカーでもありますから、作ることができます。お客さんに、作れる保証はできないが、できるかどうか検討するとお伝えし、写真を送って頂くと、それは少し変わった形で当店にない色合い、そして観たことのない金具パーツがついていました。
協力工場に聞くと、どうやら特許関係の問題がからむパーツのようで、入手できないとのこと、似た色の生地を探して製作し、パーツは従来品で代用することは可能、オーダーメイドなので、高価になることをお伝えすると、
「それでもいい作って欲しい」
お客さんは少し高揚した感じで仰ってくださいました。
果たして喜んでくれるだろうか、期待と不安の中で納品すると、
「品質もいいし、色合いも思っていたとおりで感激しました。たった1本のネクタイにここまでしてくれてありがとう。満足したので、この色とこの色でもお願いします」
まさかの追加オーダーです。もちろん、追加分も大変満足頂きました。
そしてお客さんから、こんな一言を頂きました。
「これ、商品化しないんですか?私のように探しているけど無いから諦めている人がいるかもしれない。商品化してネットに出せば売れるんじゃないですか?」
衝撃的な一言でした。実際、このお客さんのオーダーで製作したアスコットタイを定番商品化したら注文が入りました。目的商材のアスコットタイですから爆発的にというわけではありません。しかし、自社で生産し、在庫もコントールできる商品ですから、コツコツ出てくれるだけで十分。
ロングテールの尻尾の先を束ねたら、太くて強いロープのようになる。そんな体験でした。
ハインリッヒの法則ってありますよね。ヒヤリ・ハットとも言いますね。1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというもの。
僕はECなど商いにもこれがあると思っています。もちろんクレームもそうですが、ヒット商品にも。
アスコットタイの例の様に、1つのお客さんからの強いニーズの下には29人ぐらいは、無くて諦めていて、あれば購入するお客さんがいて、その背景には300人ぐらいの購入機会が潜んでるいんじゃないか、そう考えています。
その為にもお客さんが
1:自社にたどり着いたきっかけ
なぜ、その商品が必要になったのか、どういうキーワードでたどり着いたか。
その商品をどのように使用するのか。自社に辿り着く前に他にも探していたキーワードも大事。
2:自社を選んだ理由
価格、値段、送料、ポイントもですが、レビューやページの雰囲気、写真が気に入ったというような
フィーリング部分もすごく大事にしています。
これを押さえるだけでも、売り手都合から離れ、買い手都合の俯瞰で、自社の商品やお店のことを見る力を培えるのではないかと思います。
実店舗OPEN!O2Oの先駆け!のはずが閑古鳥の日々
2006年~2010年、うちのお店が最も激動し、激変した期間です。
2006年に入り、ECサイトの売上が、よく言えば「安定」悪く言えば「伸び悩んでいました」。当時はまだ広告費も売上の10%~15%かけていました。
そんな時、度々起きたことがあります。ECサイトの会社概要のところを見て、その住所を印刷して事務所を訪ねて、直接お買い物しに来られる方が出てきたのです。
当時、社長と通っていたECの勉強会で「クリック・アンド・モルタル」という言葉がありました。今で言う「O2O(OtoO)=オンライン・トゥ・オフライン」ですね。
ネットでサイトを観てもらい、実店舗へ来て頂く。この流れだ、というタイミングで事務所の下階が空いたので、店舗を作ることになりました。
2006年7月、1,000万円近く改装費をかけて販売スタッフを3人正社員で雇用、これでウチもウハウハやでぇ!と思っていたのも束の間、店舗初年度の平均月商は100万円ほど。
最初にお店を作ったのは、大阪の谷町四丁目と天満橋の間、大阪城の近くです。官公庁街、土日に人など歩いていません。まして、タキシードや燕尾服は多くがオーダーメイドですから、平日採寸オーダーにお時間を取れるお客さんが多く来られるわけもなく。
一度つながりかけた首の皮がベリベリっと剥がれるような思いですよね。店舗がいいのは初月だけ。よく聞きますが、まさにその通りでした。
販売員が3人いて、平均月商100万円。あ、これはヤバイな。誰でもわかる潔いほどのヤバさですよね。この店の売上が、2年後に4倍になるなんて思いもしませんでした。
ここで取り組んだのが店舗ブログです。既にタレントブログは隆盛を極めていましたし、ECでもブログは継続していましたので、内心ではブログを増やしてどうにかなるのか?と思っていたのですが、これが命運を分けることになりました。
しかし、この後、僕は大きな挫折と苦悩を味わうことになり、失意の中、1年半ほどECを離れることになりました。
スーツの生産現場に入り、ものづくりを学ぶことに。後ろ向きなどん底の日々、僕を救ってくれたのはSNSという言葉もなかった時代、当時日本に入ってきたばかりのtwitter、そしてブログでした。
第2回、今回はかなり長文ですみません。ひとつの流れでお伝えしておきたいところでしたので、最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。
前回もご感想など頂いて本当に嬉しかったです。
ぜひぜひ皆さんの温かいお言葉をよろしくお願いします。
http://www.machicollege.jp/contact
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次回のお話は、挫折と苦悩、ECを離れた日々の中、ものづくりの現場で学んだこと。そして広告費1,300万円の年間広告費を0円にしていく冒険の旅のはじまり。
第3回:「ブログが呼び込んだ奇跡。年間販売数1着の商品に200着のオーダー」
https://ecnomikata.com/column/18210/