意外と多い通販システムリプレイスの失敗。成功のポイントとは?
通販事業が拡大してくるとそれまで使用していたシステムでは機能不足だったり、データ処理に時間がかかる、業務負荷が大きいなどの業務効率の問題があったりなど、さまざまな不満がでてきます。そうしたとき検討されるのが通販システムのリプレイスです。しかしながらシステムリプレイスは多くの時間と費用がかかる上、思ったように進まなかったり、うまく行かず結局もとのシステムに戻ったりと失敗がつきものです。そうした失敗をなくし、成功させるためにはどのようにすればいいのでしょうか?
システムリプレイスのよくある失敗
一般的なシステムリプレイスの場合、数社コンペを行い、それぞれ時間をかけて質問会やデモを行い最終決定となります。さらにしっかり時間をかけてキックオフミーティングを行い開発に進んでいきます。こうして何度も打ち合わせを行いながら進めているにも関わらず、失敗してしまうという例は少なくありません。失敗例をいくつかあげると以下のようなものがあります。
・プレゼン時、ベンダー側の営業がやれるといったことが結局できなかった
・スケジュールが大幅に遅れてしまった
・当初の見積もりより結果高くなってしまった
・パッケージにある機能で出来るるはずの機能が出来ずに、結局カスタマイズすることになった
・リプレイス前に出来ていたことが出来なくなってしまった
・データの移管がうまくいかず、作業効率アップにならなかった
・データが重すぎて動きが遅くなってしまった
・リプレイスしたもののうまく作動せず、テストに時間がかかってしまった
このような失敗を防ぐためには2つのポイントを抑えておく必要があります。
一つは、コンペ時に必要な要件を十分に用意しておくこと
もう一つは、信頼できるベンダーを見極めることです。
リプレイスに関する必要な情報を十分準備しておく
最初に、コンペ前に用意しておくべき情報について説明いたします。
●現状の課題を洗い出す
現在使用しているシステムの問題点や変えたいことなどを洗い出します。できるだけ現場の声を聞きながら細かい内容までピックアップしておきましょう。
●今できていることを洗い出す
リプレイスで忘れがちになってしまうのが、「今できていること」です。現状のシステムの不満点だけに気を取られ、今できていてこの先も使う機能についてしっかり確認しておかなないと、リプレイス後に大変なことになるので要注意です。
●目的を明確にする
リプレイスする目的は特に重要です。目的は「売上を上げたい」「使いやすくしたい」といったあいまいなものではなく、できるだけ具体的にしておきましょう。例えば「定期コースの変更を何回先でも登録できる」とか「ステップメール以外にSMSも配信できる」、「媒体ごとの広告分析ができる」、「顧客情報が1画面で見られるようにする」といったものです。
●成長した先を描く
現在の年商が5億だった場合、この先10億、50億になった場合のイメージを持つことが大切です。そうなると月間どれだけでの出荷数になるのか、返品やキャンセルといった対応が1日何件発生するのか、そうした場合オペレーションがどうなるのか、など考えておくことで必要となる機能が見えてきます。もし現時点で手作業でやっているこがあれば、それをシステム化しておかないと、売上が伸びたとき対応できなくなってしまいます。
●前提条件(現在の状況:受注件数、顧客数、データの種類、月間の新規獲得数、リピート回数など)を明確にする
前提条件が明確に解らないと、現在の事業の規模感が湧かないため、しっかり項目ごとに出しておきましょう。
●データ移管する内容を洗い出す
リプレイスするにあったって必要な情報や不要な情報を精査し、移管するデータの内容を洗い出します。その際、データ件数やデータの項目なども必要です。また、現在バラバラに管理されているデータを統合したい場合は、それぞれについてまとめておくようにしましょう。
●現在のシステムの相関図とリプレイス後の相関図
現在使用している関連するシステムや連携先などを図にしておきます。また、リプレイス後にどんな形にしたいかもできればあるといいでしょう。
●スケジュール
いつ頃ベンダーを決定するのか、キックオフの時期、いつまでにリプレイスを完了したいのかといった希望するスケジュールを作成します。実際にはベンダーとの打ち合わせによってスケジュールは決まりますが、事前に要望という形で出しておくといいでしょう。
このような情報をそろえた上で、コンペを行うようにしましょう。またコンペで出た質問などはまとめて各コンペ参加ベンダーに情報提供します。
信頼できるベンダーを見抜く
では、どんなベンダーを選べばいいのでしょうか?
●システム担当者が通販業務を熟知している
●過去に同様の通販システムのリプレイスをした経験がある
大手のシステム会社の場合は、さまざまな業種に対応したシステムを開発していることが多いものです。そのため、システムリプレイス自体に経験は豊富でも、肝心の通販システムについてはあまり経験のない場合があります。システム担当者が実際の通販業務がどんなものなのかをよく知らないと、想定されるリスクなど事前に予測することが難しくなります。そのため、通販をよく理解して、過去に同様のシステムリプレイスをしたことのあるベンダーを選ぶといいでしょう。
●できることはできる、できないことはできない、を正直にしめす
システム導入には多額の費用がかかるため、どうしても受注したいという思いが強くなります。基本的に数社をコンペで戦わせるために発注者にいい条件ばかりを出したくなるものです。しかしながら、それで受注した後に結局できなかった、というトラブルは多いものです。そうならないためにも、最初から「できる」「できない」をはっきりと言えるベンダーを選ぶようにしましょう。
●リプレイスの目的を理解し、提案してくれる
仮に上記で「できない」と答えても、「こうすればできる、その分これだけの費用がかかる」という提案をしてくれるベンダーは優秀です。きちんとこちらの目的を理解し、その上で一緒に解決方法を探っていけるベンダーがおすすめです。
また、費用に関しても正直に言ってくれることも重要です。後から見積もりを出されて予算オーバーとならないようにしましょう。
●担当のSEがつきっきりで対応してくれる
リプレイスにあたっては事前の確認から、移行時のテスト、運用のサポートまでメインとなる担当者が途中で変わることなく見てもらえることが理想的です。通常リプレイスには長い期間が必要となりますので、専任の担当者がつけられる体制なのかよく見極めることが重要です。
●保守・サポート体制がしっかりしている
●その後のカスタマイズにも柔軟に対応できる
売上規模が5億の時と、10億の時、50億になった場合と、それぞれのステージで必要な機能は変わってきます。さらに新しいツールや決済システムなど、状況はどんどん変化するため、システムは入れて終わりではありません。そのため、入れた後も柔軟にカスタマイズができたり、定期的にコミュニケーションが取れるなどサポート体制もしっかりしているところがいいでしょう。
いかがでしたでしょうか?
もしシステムのリプレイスを検討されている方はご参考にしていただければと思います。